薔薇十字団とは何か?中世ヨーロッパにおける錬金術とサンジェルマン伯爵との関係、近現代における代表的なオカルト思想①

前回までの記事で書いてきたように、中世のヨーロッパにおけるオカルトあるいはオカルティズムと呼ばれる思想運動の背景には、

新プラトン主義ヘルメス主義カバラ思想ルスス主義に代表されるような古代ギリシア哲学ユダヤ教数秘学そして象徴主義などの思想が存在がしていたと考えられることになります。

また、以前に「オカルトとは何か?ラテン語の語源とスコラ哲学との関係」の記事でも書いたように、

オカルトオカルティズムといった言葉は、そのもともとのラテン語の語源に基づく意味においては、「それまで人々の目から隠されてきた秘密の知識」といった意味を表す言葉であったと考えられることになるのですが、

そうした「隠された真理や知識を明らかにする」といった神秘主義や啓蒙主義的な側面を持った本来の意味におけるオカルト思想の進展は、近現代における思想史や社会の流れのなかにおいても見いだすことができると考えられ、

そうした近現代におけるオカルト思想の展開の代表的な例としては、

17世紀のドイツを中心として近代ヨーロッパの各地へと広がっていった薔薇十字団と呼ばれる秘密結社や、18世紀初頭のイギリスにおいて国際的な活動を広げていくことになったフリーメーソンの活動などを挙げていくことができると考えられることになります。

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薔薇十字団の名称の由来と中世ヨーロッパにおける錬金術との関係

このうち、はじめに挙げた薔薇十字団は、ドイツ語の原語においては、Rosenkreuzer(ローゼンクロイツァー)と呼ばれることになるのですが、

こうした薔薇十字団という名称の由来は、薔薇十字団の伝説上の始祖として位置づけられているクリスティアン・ローゼンクロイツChristian Rosenkreutz)の名に求められることになります。

そして、

こうしたクリスティアン・ローゼンクロイツと呼ばれる伝説上の人物は、中世ヨーロッパにおけるオカルト思想を代表する人物の一人として数え上げられる錬金術師パラケルススとも同一視されていくことになるのですが、

いずれにせよ、こうした17世紀のドイツを中心として、その後、ヨーロッパの各地へと同じ思想運動の流れをくむ秘密結社が広がっていった薔薇十字団の思想活動においては、

そうした中世ヨーロッパにおける深淵なる錬金術の思想などを背景として、そこに、キリスト教のグノーシス主義や、ユダヤ教におけるカバラ思想などの宗教的な神秘主義の思想が幅広く取り入れられていくことによって、

そうしたそれまで人々の目から隠されてきた秘密の真理と神秘的な知識に基づいて、全世界の普遍的かつ総体的な改革を求めていく啓蒙主義的な思想活動が展開されていくことになっていったと考えられることになるのです。

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薔薇十字団とサンジェルマン伯爵やカリオストロとの関係

そして、

こうした薔薇十字団の活動に参加していたとされる具体的な人物としては、

例えば、

英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語といったヨーロッパにおける主要なすべての言語に加え、ギリシア語ラテン語アラビア語に、さらには、サンスクリット語中国語といった世界中の言語に精通し、これらの言葉を自由に巧みに操ることができたほか、

化学物理学、あるいは、催眠術などの心理学の分野についても精通していて、バイオリンとチェンバロの名手でもあったともされている

18世紀のヨーロッパの社交界を中心として活躍した博学の万能人であったサンジェルマン伯爵の名を挙げることができると考えられることになります。

そもそも薔薇十字団と呼ばれる団体は秘密結社であるので、そこに所属している団員自身が、外部の一般の人々に対して、自分が薔薇十字団に所属していると語ること自体はあまりなかったと考えられることになるのですが、

サンジェルマン伯爵は、そうしたあらゆる分野に秀でた才能を示す博学のなかでも、特に、化学や錬金術についての知識が豊富であり、フランスのシャンボール城において自らが主宰する化学実験室を持っていて、

そこで得た研究の成果によって不老不死の術を身につけていたとも語り伝えられています。

実際、彼がフランスの社交界で活躍を広げていた当時、サンジェルマン伯爵の年齢はすでに70歳近かったと考えられることになるのですが、

社交界において実際に目撃されていた彼の姿は、まるでまだせいぜい40代くらいにしか見えないような肉体の若々しさを保っていたとされているように、

こうした彼の姿は、様々な伝説を持ったとらえどころのない謎めいた人物として語り伝えられていくことになります。

そして、

こうした錬金術との深い結びつきや、不老不死などの秘密の知識などとの関係から、サンジェルマン伯爵の存在は、

当時のヨーロッパにおいて隆盛を極めていた、彼と同じく謎めいた秘密結社である薔薇十字団の存在とも結びつけて捉えられていくようになっていったと考えられることになります。

また、その他にも、

自分自身がこうした薔薇十字団と呼ばれる秘密結社の団員であることを自称していた有名な人物としては、

アニメ『ルパン三世』のシリーズのなかにも登場する18世紀ヨーロッパを代表する稀代の詐欺師であったカリオストロの名前なども挙げられることになるのですが、

こうした様々な謎めいた人物たちを巻き込んでいく形で展開されていった17世紀のドイツを中心とする薔薇十字団における思想運動は、

その後、次回取り上げるフリーメーソンにおける国際的な秘密結社の活動の広がりの内へと吸収されていくことによって、その中心的な役割を終えていくことになっていったと考えられることになるのです。

・・・

次回記事:フリーメーソンとは何か?魚ではなく人間をとる漁師、石ではなく人間の魂を磨く石工、近現代における代表的なオカルト思想②

前回記事:オカルト思想の源流にある中世における四つの代表的な思想の潮流とは?ルルス主義におけるキリスト教とイスラム教とユダヤ教の融合

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