オカルト思想の源流にある中世における四つの代表的な思想の潮流とは?①新プラトン主義における人間の魂と一者の合一

前々回前回の記事で書いてきたように、中世からルネサンスへと至る時代のヨーロッパにおけるオカルト思想の台頭の源となった代表的な思想家たちの名前としては、

フィチーノピコ・デラ・ミランドラパラケルススアグリッパといった15世紀から16世紀頃のイタリアやドイツにおいて活躍した哲学者人文主義者錬金術師魔術師といった人々の名を挙げることができると考えられることになるのですが、

こうした中世からルネサンス期のヨーロッパにおけるオカルト思想の源流となった古代思想神秘主義哲学理論などの代表例としては、

新プラトン主義ヘルメス主義カバラルスス主義といった四つの思想的な潮流を挙げることができると考えられることになります。

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新プラトン主義における一者を頂点とする一元論的な階層構造

このうち、最初に挙げた新プラトン主義(ネオプラトニズム、neoplatonism)とは、紀元前4世紀の古代ギリシアの哲学者であるプラトンの哲学思想を継承していくなかで生まれていた哲学思想の潮流であり、

特に、紀元後3世紀のギリシアの哲学者であるプロティノスを始祖としてその後の古代から中世にかけてのヨーロッパにおいて展開されていったプラトン主義の思想のあり方を指して、新プラトン主義という言葉が用いられることになります。

こうした新プラトン主義においては、世界を真なる実在としてのイデアが存在する知性的世界であるイデア界と、その似姿あるいは現れに過ぎない感覚的世界である現象界に分けて捉えるプラトンにおける二世界論を発展させていくなかで、

そうしたプラトンにおける真なる実在としてのイデアのあり方は、さらに、知性そして一者と呼ばれる三つの階層へと分けられていく形で捉えられていくことになります。

そして、

こうしたイデアの三つの階層のうちの頂点に位置する存在である一者は、あらゆる完全性を備えた不滅の存在である神のような存在としても位置づけられていくことになるのですが、

新プラトン主義においては、そうした神のような存在としての一者からは知性が、そして、知性からはが流出していくというように、すべての存在は、より上位なる存在からの流出によって創造されていくとする新たな創造の原理が語られたうえで、

すべての存在はそうした真なる実在としてのあらゆるイデアの根源にある一者と呼ばれる存在からの流出によって形づくられたものであるとする一元論的な階層構造を持った哲学理論の体系が築き上げられていくことになるのです。

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新プラトン主義における神秘主義と中世のヨーロッパにおけるオカルト思想との関係とは?

そして、

こうした新プラトン主義における一者を頂点とする一元論的な階層構造に基づく宇宙観においては、

人間の魂は、そうしたすべての存在の頂点に位置する神のような存在としての一者からの流出によって創造されたものであるとされることによって、

それが一者からの流出よりも前の段階においては一者の存在の内にあったものであったと考えられる以上、いずれは、そうした自らの始原である一者の存在の内へと還帰していくこともまた可能であると考えられていくことになります。

そして、

そうした神のような存在としての一者は、すべての存在の始原であると同時に、人間の魂が帰一していくべき究極の目標としても位置づけられていくことになるのですが、

その一方で、

そうした実在の階層において人間の魂をはるかに超越する存在である一者へと合一していくことは、人間の魂における通常の思考のあり方においては不可能なことであるとも考えられることになるので、

そうした新プラトン主義の思想における究極の目標である一者との合一の境地へと到達していくためには、

自らの魂を純粋なる知性へと浄化して限りなく高めていくことによって得られる神秘的な体験を得ることが必要であるとする神秘主義的な思想傾向が形づくられていくことになります。

そして、

前々回の記事で取り上げた中世ヨーロッパのオカルト思想を代表する思想家の一人である15世紀のイタリアの哲学者フィチーノによって唱えられた神を頂点とする五つの階層から成る宇宙論に基づく哲学思想も、

基本的には、こうした古代ギリシア哲学における新プラトン主義の神秘主義的な思想を土台とすることによって築き上げられていった哲学理論であると考えられることになるのですが、

以上のように、

こうした新プラトン主義における神秘主義の思想は、ヨーロッパの中世以降の時代におけるほぼすべての神秘主義的思想オカルト思想の源流となった思想の一つとして位置づけられることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:オカルト思想の源流にある中世における四つの代表的な思想の潮流とは?②ヘルメス主義における生命論的・汎神論的な世界観

前回記事:中世ヨーロッパのオカルト思想を代表する四人の人物の名前とは?②錬金術師パラケルススと魔術師アグリッパ

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