天の赤道とは何か?天球における天の北極と天の南極との位置関係とそれぞれの概念の幾何学的な定義
前回の記事で書いたように、地球から観測されることになる夜空に輝くすべての星々は、天球と呼ばれる一種のプラネタリウムのような仮想的な球面のうえに見かけ上は配置されていくことになると考えられ、
こうした天球と呼ばれる星々を乗せた仮想上の球面は、地球の自転運動と公転運動にそれぞれ対応して、地球上の観測者からは天球の日周運動と年周運動と呼ばれる二つの動きが合わさった回転運動を行っているように観測されていくことになると考えられることになるのですが、
こうした天球において観測されていくことになる星々の位置関係のあり方は、一般的に、天の赤道と呼ばれる天球上の大円を基点として定められていくことになります。
そこで、今回の記事では、まずは、
天文学の分野における厳密な定義においては、こうした天の赤道と呼ばれる天球上の大円のあり方は具体的にどのような概念として定義されることになるのか?ということについて詳しく考えていきたいと思います。
幾何学における大円の定義と地球における赤道の幾何学的な定義
そうすると、まず、
そもそも、幾何学の分野において、大円(だいえん)とは、球体の中心を通る平面とその球体の表面すなわち球面との交線として描かれていくことになる円のことを意味する概念として定義されることになり、
それは、一つの球面上に描かれる円のなかでは、最も大きい円のあり方として位置づけられることになるのでこうした「大円」という言葉で呼び表されることになると考えられることになります。
そして、こうした幾何学的な意味における大円の定義のあり方に基づくと、
通常の意味における赤道、つまり、地球における赤道とは、北極と南極を結ぶ線にあたる地軸に直角な平面と地表との交線として描かれていくことになる地球表面における大円のあり方、
すなわち、
北極と南極のちょうど中間地点に位置することになる地球上の大円のあり方として定義されることになると考えられることになるのです。
天球における天の赤道と天の北極と天の南極の位置関係とそれぞれの概念の幾何学的な定義
そして、それに対して、
地球から観測されることになる夜空に輝くすべての星々が見かけ上配置されていくことになる仮想的な球面である天球上においても、
天文学の分野においては、こうした地球における北極と南極そして赤道といった地点のそれぞれに対応する地点が定められていくことになると考えられ、
具体的には、上記の図において示したように、
地球上の北極と南極を結ぶ線にあたる地軸と天球との交点にあたる二つの点のうち、北極の側の地軸と天球の交点が天の北極、と呼ばれることになるのに対して、南極の側の地軸と天球の交点が天の南極と呼ばれることになると考えられることになります。
そして、それに対して、
地球における赤道が位置する平面と天球との交線として描かれていく大円のあり方が天球における赤道、すなわち、天の赤道として定義されることになると考えられることになるというように、
こうした天球における天の北極と天の南極と天の赤道と呼ばれる三つの概念の位置関係のあり方は、地球における北極と南極と赤道との位置関係のあり方とそのまま対応していくような形で捉えていくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:赤緯とは何か?天の赤道を基準線とした天球上における天体の南北の位置関係と北極星(ポラリス)の赤緯の値
前回記事:天球における日周運動と年周運動の違いとは?夜空に見える星座の移り変わりと天球の年周運動との関係
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