赤緯とは何か?天の赤道を基準線とした天球上における天体の南北の位置関係の定義と北極星(ポラリス)の実際の赤緯の値
前回の記事で書いたように、天球と呼ばれる地球から観測されることになる夜空に輝くすべての星々が見かけ上配置されていくことになる仮想的な球面においては、
地球における北極と南極と赤道にあたる地点として、天の北極と天の南極と天の赤道と呼ばれる三つの概念が定義されていくことになるのですが、
そうした天球上に配置されていくことになる夜空における大小さまざま星々の位置関係のあり方は、基本的には、
こうした天の赤道と呼ばれる大円の位置を基準としてその具体的な位置座標のあり方が定められていくことになると考えられることになるのです。
天球の位置座標における赤緯の定義と天の赤道との位置関係
そうすると、まず、上記の図において示したように、
こうした天球における天体の位置座標のあり方のうち、
赤緯(せきい)と呼ばれる値においては、天の赤道と呼ばれる地球における赤道が位置する平面と天球との交線として描かれていくことになる大円を基準として、
天の北極を北として位置づけた場合の天球上における天体の南北の位置関係を指し示すことになる天球における緯度のあり方が定められていくことになると考えられることになります。
そして、
こうした赤緯と呼ばれる天球における位置座標の値においては、天の赤道と呼ばれる基準線の部分が赤緯0度にあたる天球上の位置として定義されたうえで、
そうした天の赤道から天の北極の方向へと近づいていくにつれて赤緯における緯度の値が高くなり、天の北極にあたる地点が赤緯90度にあたる地点として位置づけられことになります。
そして、それとは反対に、
天の赤道から天の南極の方向へと近づいていくにつれて赤緯における緯度は0度を超えてさらに低くなり、天の南極にあたる地点が赤緯-90度にあたる地点として位置づけられことになるのです。
北極星(ポラリス)の赤緯の値と天の北極との位置関係
それでは、実際に、
こうした赤緯と呼ばれる天球における位置座標のあり方を用いて、天球上に配置されている個々の天体における位置関係のあり方を指し示していくことにすると、
例えば、
現在の北極星(ポラリス)にあたるこぐま座のα星の赤緯における位置座標は、上記の図において示したように、約89度、より正確には、赤緯89度15分として位置づけられることになります。
そして、
そうした北極星(ポラリス)の位置座標にあたる赤緯89度15分という緯度の値は、前述した天の北極における赤緯90度という緯度の値に極めて近い値をしていて、両者は実際に極めて近い位置関係にあると考えられることになることから、
こうした北極星と呼ばれる星は、地球上における北の方角の目印なる星として利用されていると考えられることになるのです。
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次回記事:赤経とは何か?春分点を通る天球上の経線を基準線とした天体の位置座標のあり方と北極星(ポラリス)における実際の赤経の値
前回記事:天の赤道とは何か?天球における天の北極と天の南極との位置関係とそれぞれの概念の幾何学的な定義
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