赤経とは何か?春分点を通る天球上の経線を基準線とした天体の位置座標のあり方と北極星(ポラリス)における実際の赤経の値
前回の記事で書いたように、天球上に配置されていくことになる夜空における大小さまざま星々の位置関係のあり方は、天の赤道を基準とした赤道座標と呼ばれる天体の位置座標の記述の仕方においては、
まずは、赤緯と呼ばれる天の赤道と呼ばれる基準線の部分を赤緯0度として、天の北極を赤緯90度、天の南極を赤緯-90度として位置づけていく座標のあり方によって、天の北極を北として位置づけた場合の天球上における天体の南北の位置関係が示されていくことになると考えられることになるのですが、
こうした赤道座標と呼ばれる天体の位置座標の記述のあり方においては、赤緯のほかにもう一つ赤経と呼ばれる座標のあり方においても天体の位置関係についての記述がなされていくことになります。
天球の位置座標における赤経の定義と春分点と黄道との位置関係
こうした天球における天体の位置座標のあり方のうち、
赤経(せきけい)と呼ばれる位置座標の値においては、前回説明した赤緯と呼ばれる天球の位置座標の基準線ともなっていた天の赤道と呼ばれる大円の円周が東回りに24分割されたうえで、
上記の図において示したように、
太陽の位置がそうした天の赤道と呼ばれる天球上の大円との関係において、天球における太陽の通り道である黄道と天の赤道と呼ばれる二つの大円における二つの交点のうち、
太陽が天の赤道を天の南極の側の半球から天の北極の側の半球へと横切っていって、そこから夏至へと向けて緯度を上げていくことになる昇交点にあたる天球における春分点と呼ばれる地点を通る経線、
すなわち、春分点と天の北極と天の南極を結ぶ基準線が赤経0時にあたる天球上の位置として定義されることになります。
そして、こうした赤経と呼ばれる座標のあり方においては、
そうした春分点を通る経線を赤経0時として、そこから、時計の針を動かしていくように、天球上における座標の位置が東へと移動していくにつれて、経線が0時から1時、2時、3時、4時、…そして23時と数えられていくことになり、
前述したように春分点を通る天球上の経線が赤経0時と位置づけられることになるのに対して、夏至点を通る経線は赤経6時、秋分点を通る経線は赤経12時、冬至点を通る経線は赤経18時としてそれぞれ位置づけられていくことになると考えられることになります。
また、
こうした赤経と呼ばれる天体の座標表記のあり方において用いられている「1時」と呼ばれている角度の単位のあり方は、一般的な角度の表記のあり方においては、360分の24度、すなわち、15度の角度に対応することになるので、
こうした春分点と夏至点と秋分点と冬至点と呼ばれる四つの基点を通る赤経の座標は、上記の図においても示したように、それぞれ、
春分点における赤経0時は、一般的な角度の表記のあり方においても0度、
夏至点における赤経6時は、一般的な角度の表記のあり方においては90度、
秋分点における赤経12時は、一般的な角度の表記のあり方においては180度、
夏至点における赤経18時は、一般的な角度の表記のあり方においては270度、
としてそれぞれ位置づけられていくことになると考えられることになります。
そして、以上のように、
赤経と呼ばれる天体の位置座標の表記のあり方においては、
こうした春分点と天の北極と天の南極とを結ぶ線を基準とした位置関係のあり方が示されていくことによって、それぞれの天体における天球上における経度のあり方が定められていくことになると考えられることになるのです。
赤経における時分秒の角度表記のあり方と北極星の赤経の実際の値
また、
こうした赤経と呼ばれる天球上の位置座標の表記のあり方においては、「時」よりも細かい経度の単位は、やはり、時間の数え方と同じように、1時を60分割した角度が「分」、そして、1分を60分割した角度が「秒」としてそれぞれ定義されていくことになり、
通常の赤経の表記のあり方においては、こうした「時」と「分」と「秒」という赤経の位置座標の表記のあり方には、
英語において「時」を意味するhourと、「分」を意味するminuteと、「秒」を意味するsecondというそれぞれの単語の頭文字をとって、
「h」と「m」と「s」というアルファベットを用いた表記のあり方が使用されていくことになると考えられることになります。
例えば、
前回の記事でも取り上げた現在の北極星(ポラリス)にあたるこぐま座のα星の赤道座標における位置座標のあり方は、
赤緯89度15分、赤経02h 31m 49sと表記されることになるのですが、
こうした北極星における赤経の値にあたる02h 31m 49s、すなわち、2時31分49秒という座標の値は、一般的な角度の表記のあり方に直すと約37.954度となり、
つまり、
こうした北極星における赤経の値からは、この星が春分点と天の北極とを結ぶ線から東回りに約38度ほど離れた天球上の経線に位置しているという位置関係を読み解いていくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:赤緯と赤経の違いとは?赤道座標において天球の緯度と経度を定める二つの座標の定義と具体的特徴の違いのまとめ
前回記事:赤緯とは何か?天の赤道を基準線とした天球上における天体の南北の位置関係の定義と北極星(ポラリス)の実際の赤緯の値
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