ワルプルギスの夜の由来とは?ゲーテの『ファウスト』における魔女たちの集会とドイツへの伝道の旅と赴いた聖女ワルプンガ

前回の記事で書いたように、魔女たちの闇の集会のことを意味する言葉としてのサバトが開かれるとされている代表的な日としては、

春の訪れ農作物の豊穣を祝う祭りであった五月祭が行われていた5月1日の前夜にあたる430日の夜に行われるとされているワルプルギスの夜と呼ばれる日の存在が挙げられることになるのですが、

こうしたワルプルギスの夜と呼ばれる日は、ヨーロッパの民間伝承においては、具体的にどのような日として位置づけられていると考えられることになるのでしょうか?

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ワルプルギスの夜の由来とドイツへの伝道の旅と赴いた聖女ワルプンガのため祭典

そうすると、まず、

こうしたワルプルギスの夜と呼ばれる日は、もともとドイツの民間伝承においては、

春の訪れ農作物の豊穣を祝う祭りであった五月祭の前夜にあたる430日の日没から翌日の51日の明け方に至るまで、

魔女たちドイツの北部における最高峰の山であるブロッケン山に集まって、一年に一度の大規模な集会と宴を開いて乱痴気騒ぎを引き起こす日として位置づけられることになります。

そして、

ドイツ語においては、こうしたワルプルギスの夜と呼ばれる日は、Walpurgisnacht(ヴァルプルギス・ナハト)と呼ばれることになるのですが、

こうしたワルプルギスの夜という言葉自体の由来としては、

五月祭が行われる51は、イングランドの地で修道女となったのち、女性の身でありながらドイツへの伝道の旅へと赴き、この地で大修道院長の座につくことになった

8世紀の女性宣教師であった聖ワルプルガ(Saint Walpurgaが聖人の列に加えられた日であり、彼女のことを思って祝われる祭典が営まれる日でもあったため、

そうした聖女ワルプンガの祭典が営まれる前日の夜に行われる魔女たちの祭典という意味で、こうしたワルプルギスの夜と呼ばれる名称が用いられるようになっていったと考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

こうしたワルプルギスの夜と呼ばれる日と、翌日に行われる聖女ワルプンガの祭典という二つの祭典においては、

前日の夜には悪魔に仕える魔女たちが跋扈し、翌日の朝になるとそうした闇の存在である悪魔や魔女たちはみな消え去って、その代わりに光の存在である聖女ワルプンガのための祭典が営まれていくことになるというように、

魔女と聖女闇と光というコインの裏と表に位置づけられる二つの存在互いに入れ違うようにして順番に主役として登場していくことになる不思議な日として位置づけられていると考えられることになるのです。

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ゲーテの『ファウスト』において「ワルプルギスの夜」の魔女たちが歌う奇妙な歌と「ウーリアンさん」

そして、

こうしたワルプルギスの夜と呼ばれる魔女たちの闇の集会についての具体的な描写が語られている古典作品としては、

18世紀後半から19世紀前半ドイツの詩人にして劇作家でもあったゲーテが書いた代表的な戯曲である『ファウスト』の存在が挙げられることになります。

そして、

こうしたゲーテの『ファウスト』における「ワルプルギスの夜」と題された章においては、そうしたワルプルギスの夜に行われる魔女たちの集会へと赴くために、

箒(ほうき)火搔き棒、さらには、豚や牡山羊といった動物たちに乗って飛んで行く魔女たちが歌う以下のような奇妙な歌が語られていくことになります。

・・・

魔女が押し出すブロッケン山へ刈り株は黄色で、苗は緑よ
そこに大勢寄り集まるのさ、ウーリアンさんが音頭をとってね

そこで岩や樹の根をこえてゆく。魔女は屁をひる、牡山羊はくさい。
バウボ婆さんが一人で来たよ。孕み豚に乗ってね。

偉い人なら崇めにゃならぬ。バウボの叔母御は先頭にお立ちよ。
豚は屈強、乗り手は叔母御だ、そこで魔女たち皆ついていゆく

(ゲーテ『ファウスト第一部』相良守峯訳、岩波文庫、281ページ。)

・・・

ちなみに、

上記の『ファウスト』における魔女たちの歌のなかで魔女たちを率いる主人として位置づけられている「ウーリアンさん」(Herr Urianという言葉は、

ドイツ語においては、氏名不詳の人物を意味する呼び名として用いられる言葉であり、ここでは、魔女たちが仕える魔王サタンのことを指して、この言葉が用いられていると考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

こうしたゲーテの『ファウスト』における「ワルプルギスの夜」の場面においては、

ちょうどイギリスの作家であるJK・ローリングが書いた世界的に有名な現代のファンタジー小説である「ハリー・ポッター」シリーズにおいて登場する

闇の帝王であるヴォルデモート卿が、そのあまりの恐ろしさゆえに、その名を直接口にすることすら憚られる人物という意味で、

「名前を言ってはいけないあの人(He-Who-Must-Not-Be-Namedという呼び名で呼び表されているのと同じような意味で、

そうした闇の王であるサタンと、サタンに仕える魔女たちの姿が語られていると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:教会暦の一日が前日の日没からはじまる理由とは?旧約聖書の創世記の天地創造における神によって定められた一日の期間

前回記事:サバトと安息日の関係とは?魔女の集会や悪魔崇拝を意味する言葉としてのサバトと魔女たちの闇の集会が開かれる具体的な日時

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