サバトと安息日の関係とは?魔女の集会や悪魔崇拝を意味する言葉としてのサバトと魔女たちの闇の集会が開かれる具体的な日時
サバト(Sabbat)という言葉は、現代においては、土曜日の夜などに行われるとされている魔女たちの集会や悪魔崇拝の儀式のことを意味する言葉として用いられることも多い言葉であると考えられることになりますが、
詳しくは前回の記事で書いたように、こうしたサバト(Sabbat)あるいは英語におけるSabbath(サバス)という言葉は、
もともとは、キリスト教やユダヤ教における神の安息日や、週のはじまりから数えて七日目の日に仕事を休んで神への祈りを捧げる聖なる日のことを意味する言葉であったと考えられることになります。
それでは、具体的にはどのような経緯から、本来は仕事を休んで神への祈りを捧げる聖なる安息日のことを意味する言葉であったサバトという言葉が、
こうした魔女たちの闇の集会といったそれとは正反対の意味を表すような言葉としても用いられるようになっていったと考えられることになるのでしょうか?
異教の女神から悪魔に仕える存在への中世ヨーロッパにおける魔女たちの位置づけの変化
そうすると、まず、
こうした夜になると時おり魔女たちが集まって魔法を使って旅をしたり不思議な集会を開いたりしているという魔女たちの闇の集会へと通じる伝承は、
すでに10世紀ごろの中世ヨーロッパの各地において広まっていた民間伝承の一種であると考えられ、
そうした中世ヨーロッパの民間伝承においては、
夜の集会を開く魔女たちは、ローマ神話における月の女神であるディアーナ(Diana)、英語読みではダイアナと呼ばれる夜の女王となる女神たちの後に付き従いながら、山羊や豚などの動物たちにまたがって夜の世界を闊歩していたと語り伝えられています。
そして、
こうした魔女たちの夜の集会のことを指して、サバト(Sabbat)という言葉が用いられていくことになったのは、
その後の14世紀ごろのフランスで行われていた異端審問すなわち魔女裁判などの場面においてであったと考えられ、
そうしたフランスの魔女裁判においては、
不思議な魔術を用いて人々の心を惑わす魔女たちは、夜の女王となる女神たちではなく、闇の王であるサタンすなわち悪魔に仕える女たちとして位置づけ直されたうえで、
こうしたサバトと呼ばれる魔女たちの夜の集会は、
悪魔に仕える魔女たちが、ホウキや動物にまたがって空を飛び、堕落した行いや悪事に耽る闇の集会のことを意味する言葉として捉え直されていくことになっていったと考えられることになります。
そして、それによって、
こうした魔女と呼ばれる存在も、異教の女神たちに仕える存在から、神の対立者である悪魔に仕える存在へと貶められていくことになっていったと考えられることになるのですが、
そういった意味では、
こうした中世ヨーロッパにおける異端審問や魔女裁判においては、
キリスト教において神を信じる人々が集まって神に祈りを捧げる聖なる日である安息日に対して、
神の対立者である悪魔に仕える魔女たちが集まってサタンを崇拝する儀式を行う闇の集会の日、すなわち、闇のサバト、あるいは、悪魔と魔女たちの安息日といった意味で、
こうした本来はキリスト教における神の安息日のことを意味する言葉であったサバト(Sabbat)という言葉が用いられるようになっていったと考えられることになるのです。
土曜日の夜に行わる魔女たちの闇の集会としてのサバトとワルプルギスの夜との関係
それでは、
こうした魔女たちの闇の集会としてのサバトが行われるとされている代表的な日時としては、現代の暦においては具体的にどのような日付と時間が挙げられることになるのか?ということについてですが、
そもそも、
こうしたサバトという言葉の大本の語源となったヘブライ語における一週間の曜日の位置づけにおいては、一週間は日曜日からはじまることになっていて、
もともと、こうした安息日すなわちサバトと呼ばれる日は、そうした日曜日からはじまる一週間の七日目の日すなわち土曜日に位置づけられることになっていたので、
魔女たちの闇の集会としてのサバトについても、そうした神の安息日としてのサバトと同じ日にあたる土曜日の夜に行われているとする考え方が広まっていくことになっていったと考えられることになります。
しかし、実際には、
こうした魔女たちの闇の集会が毎週土曜日といった曜日が決められた頻繁な形で開かれていたといった伝承はあまり伝わっておらず、
ヨーロッパの伝承においては、
こうした魔女たちの闇の集会としてのサバトが開かれる日として位置づけられている最も代表的な日としては、
春の訪れと農作物の豊穣を祝う祭りであった五月祭が行われていた5月1日の前夜にあたる4月30日の夜に行われるとされているワルプルギスの夜が挙げられることになるほか、
そのほかにも、
10月31日の夜に行わるハロウィンや、12月24日のクリスマス・イブなども、こうしたサバトと呼ばれる魔女たちの闇の集会との深い関わりがある日として位置づけられていると考えられることになるのです。
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次回記事:ワルプルギスの夜の由来とは?ゲーテの『ファウスト』における魔女たちの集会とドイツへの伝道の旅と赴いた聖女ワルプンガ
前回記事:安息日の語源とは?ヘブライ語で「休む」「止める」といった意味を表す言葉を語源とするシャバットとスペイン語の土曜日
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