リケッチアの具体的な三つの特徴とリケッチアを病原体とする代表的な細菌感染症の種類
前回の記事では、リケッチアと呼ばれる細菌の種族の名称の由来や、一般的な細菌との大きさの比較、さらには、偏性細胞内寄生菌と呼ばれる特殊な性質といった点について詳しく考察してきましたが、
今回の記事では、
こうしたリケッチアが持つ細菌としての具体的な特徴について改めて整理して記述したうえで、そうしたリケッチアと呼ばれる細菌の種族に分類されることになる代表的な細菌の種類について取り上げていきたいと思います。
リケッチアと呼ばれる細菌の種族の具体的な特徴のまとめ
そうすると、まず、
こうしたリケッチアと呼ばれる細菌の種族の具体的な特徴について整理していくと、以下で述べるような三つの具体的な特徴を挙げることができると考えられることになります。
①宿主となる生物の細胞の内部においてだけしか増殖することができず、生物の体外の自然環境の中ではすぐに死滅してしまうという偏性細胞内寄生菌として位置づけられる。
②球形や棒状の形状、さらには、連鎖状や繊維状といった様々な形状へと変化していく多形性の細菌の種族である。
③球形や棒状といった基本的な形態においては、直径0.3~0.5マイクロメートルくらいという非常に小型の細菌として分類される。
つまり、一言でまとめると、
こうしたリケッチアと呼ばれる細菌の種族は、
①偏性細胞内寄生菌、②多形性、③非常に小型の細菌という三つの特徴を持つ特殊な細菌の種族として位置づけられることになると考えられることになるのです。
リケッチアを病原体とする代表的な細菌感染症の種類
そして、次に、
こうしたリケッチアと呼ばれる細菌の種族に分類されることになる代表的な細菌の種類としては、
発疹チフスやロッキー山紅斑熱、その他にも、日本紅斑熱やツツガムシ病といった細菌感染症の原因菌となる細菌の種類が挙げられることになるのですが、
こうしたリケッチアを原因とする細菌感染症は、すべてマダニやシラミ、あるいは、ツツガムシといった昆虫を媒介として人間に対して感染することになる感染症の種類として位置づけられることになります。
そして、このうち、はじめに挙げた
発疹チフスは、シラミを媒介として引き起こされる細菌感染症であり、10日~14ほどの潜伏期間の後に、高熱や激しい頭痛、四肢の痛みといった症状が現れたのち、腹部を中心として全身に広がっていくことになる赤く細かい発疹が現れることを特徴として、重症の場合には、意識混濁やせん妄などといった脳症状が引き起こされることになると考えられることになります。
それに対して、その次に挙げた
ロッキー山紅斑熱(ロッキーさんこうはんねつ)は、マダニなどのダニ類を媒介として引き起こされる細菌感染症であり、2日~14ほどの潜伏期間の後に、高熱や頭痛、悪寒や戦慄といった症状が現れたのち、手足から全身へと紅斑が広がっていくことを特徴として、重症の場合には、点状の皮下出血や血小板減少や肝機能異常といった症状や、意識障害や腎不全、間質性肺炎や心不全などの症状が引き起こされるケースもあると考えられることになります。
そして、その次に挙げた
日本紅斑熱は、前述したロッキー山紅斑熱と同様に、マダニなどのダニ類を媒介とし
て引き起こされる細菌感染症であり、2~10日ほどの潜伏期間の後に、高熱や紅斑性の発疹、リンパ節が腫れといった症状が引き起こされていくことになるものの、一般的には、ロッキー山紅斑熱と比べる軽症の状態にとどまるケースが多いと考えられることになります。
そして、最後に挙げた
ツツガムシ病は、ダニの一種であるツツガムシを媒介として引き起こされる細菌感染症であり、5日~14ほどの潜伏期間の後に、高熱や頭痛といった症状が現れたのち、腹部を中心として全身へと紅斑性の広がっていくことになり、前述したロッキー山紅斑熱ほどではないものの、重症の場合には、髄膜炎や脳膜炎といった命に関わる症状が引き起こされるケースもあると考えられることになるのです。
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次回記事:マイコプラズマという細菌の名称の由来と一般的な細菌との大きさの比較
前回記事:リケッチアという細菌の名称の由来と一般的な細菌との大きさの比較および偏性細胞内寄生菌としてリケッチアの具体的な性質
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