桿菌に分類される細菌の大きさの比較、全部で36種類の桿菌に分類される代表的な細菌の長径の長さの違い
前回の記事では、桿菌(bacillus、バチルス)と呼ばれる細胞の形が棒状の形状をしている細菌のグループに分類される細菌のなかでも、
人間に対する細菌感染症の病原体となる細菌や、皮膚や腸内における常在菌として位置づけられることになる代表的な36種類の細菌の種類について一通りまとめて記述してきましたが、
今回の記事では、こうした全部で36種類の代表的な桿菌の種類について、それぞれの細菌の種類における細胞体の長径の長さを互いに比べて図示していく形で、そうした桿菌に分類される細菌の大きさの比較を行っていきたいと思います。
桿菌に分類される36種類の代表的な細菌の大きさの比較
詳しくは、前回の記事でまとめたように、こうした桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類としては、
大腸菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、セレウス菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、破傷風菌、
百日咳菌、肺炎桿菌、緑膿菌、結核菌、らい菌、インフルエンザ菌、軟性下疳菌、レジオネラ菌、ジフテリア菌、リステリア菌、ブルセラ菌、
ペスト菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフス菌、炭疽菌、ビブリオ・バルニフィカス、
そして、枯草菌、納豆菌、乳酸桿菌、ビフィズス菌、セラチア菌、エンテロバクター、バクテロイデス、フゾバクテリウム、プレボテラ、プロテウス菌、アシネトバクター、アクネ菌
といった全部で36種類におよぶ代表的な桿菌の種類の名を挙げていくことができると考えられることになります。
急性胃腸炎や食中毒の原因となる桿菌および破傷風菌の大きさの比較
そして、このうち、
はじめに挙げた一般的な細菌性胃腸炎などの原因となる最も代表的な桿菌の種類として位置づけられることになる
大腸菌(Escherichia coli、エシェリキア・コリ)は、幅0.5~1.5マイクロメートル、長さ2~6マイクロメートルくらいの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
サルモネラ菌(salmonella)は、幅0.5マイクロメートル、長さ2マイクロメートルくらいの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus、ビブリオ・パラヘモリティカス)は、幅0.3マイクロメートル、長さ2マイクロメートルくらいの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
セレウス菌(Bacillus cereus、バチルス・セレウス)は、幅1~1.5マイクロメートル、長さ3~10マイクロメートルくらいの大きさのグラム陽性の好気性桿菌、
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum、クロストリジウム・ボツリヌス)は、幅0.9~1.2マイクロメートル、長さ4~6マイクロメートルくらいの大きさのグラム陽性の嫌気性桿菌、
ウェルシュ菌(Clostridium perfringens、クロストリジウム・パーフリンジェンス)は、幅0.9~1.3マイクロメートル、長さ3~9マイクロメートルくらいの大きさのグラム陽性の嫌気性桿菌としてそれぞれ位置づけられることになり、
そうしたボツリヌス菌とウェルシュ菌と同じくクロストリジウム属と呼ばれる細菌の種族に分類されることになる
破傷風菌(Clostridium tetani、クロストリジウム・テタニー)は、幅0.3~0.6マイクロメートル、長さ4~8マイクロメートルくらいの大きさのグラム陽性の嫌気性桿菌の一種として位置づけられることになるのです。
呼吸器系の感染症や人獣共通感染症の原因となる桿菌の大きさの比較
そして、その次に挙げた、主に、呼吸器系の感染症の原因となる代表的な桿菌の種類の種類として位置づけられることになる
百日咳菌(Bordetella pertussis、ボルデテラ・パーツシス)は、幅0.3~0.5マイクロメートル、長さ1.0~1.5マイクロメートルくらいの大きさのグラム陰性の好気性桿菌、
肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae、クレブシエラ・ニューモニエ)は、幅0.3〜1.5マイクロメートル、長さ0.5〜5マイクロメートルくらいの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa、シュードモナス・エルギノーザ)は、幅0.5マイクロメートル、長さ1.5~4.0マイクロメートルくらいの大きさのグラム陰性の好気性桿菌、
結核菌(Mycobacterium tuberculosis、マイコバクテリウム・ツベルクローシス)は、幅0.3~0.5マイクロメートル、長さ1~4マイクロメートルくらいの大きさのグラム陽性の好気性桿菌としてそれぞれ位置づけられることになり、
そうした結核菌と同じくマイコバクテリウム属と呼ばれる細菌の種族に分類されることになる
らい菌(Mycobacterium leprae、マイコバクテリウム・レプラエ)は、幅0.2~0.5マイクロメートル、長さ1~8マイクロメートルくらいの大きさのグラム陽性の好気性桿菌として位置づけられることになります。
また、その他にも、
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae、ヘモフィルス・インフルエンザ)は、長さ1~1.5マイクロメートルほどの棒状や球形といった様々な形状を示す多形性のグラム陰性の嫌気性桿菌、
そうしたインフルエンザ菌と同じくヘモフィルス属と呼ばれる細菌の種族に分類されることになる
軟性下疳菌(Haemophilus ducreyi、ヘモフィルス・デュクレー)は、前述したインフルエンザ菌と同じ長さ1~1.5マイクロメートルほどの棒状や球形といった様々な形状を示す多形性のグラム陰性の嫌気性桿菌として位置づけられることになり、
レジオネラ菌(Legionella)は、幅1マイクロメートル、長さ2~5マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の好気性桿菌、
ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae、コリネバクテリウム・ジフテリア)は、幅0.5~1マイクロメートル、長さ2~5マイクロメートルほどの大きさのグラム陽性の好気性桿菌、
人獣共通感染症の原因菌としても位置づけられることになる
リステリア菌(Listeria)は、幅0.5マイクロメートル、長さ1マイクロメートルほどの大きさのグラム陽性の嫌気性桿菌、
ブルセラ菌(Brucella)は、幅0.5~0.7マイクロメートル、長さ0.6~1.5マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の好気性桿菌の一種として位置づけられることになるのです。
ペストやチフスなど重症の細菌感染症の原因となる桿菌の大きさの比較
そして、その次に挙げたペストやチフスあるいは炭疽菌などといった比較的重症の細菌感染症の原因菌となる代表的な桿菌の種類として位置づけられることになる細菌の種類のうち、はじめに挙げた
ペスト菌(Yersinia pestis、エルシニア・ペスティス)は、幅0.5マイクロメートル、長さ1マイクロメートルほどの大きさの卵円型の形状をしたグラム陰性の嫌気性桿菌、
赤痢菌(Shigella、シゲラ)は、幅0.4~0.7マイクロメートル、長さ2~4マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
チフス菌(Salmonella enterica serovar Typhi、サルモネラ・エンテリカ・セロヴァール・タイフィ)は、幅0.5マイクロメートル、長さ2マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
パラチフス菌は、前述したチフス菌と同じ幅0.5マイクロメートル、長さ2マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌としてそれぞれ位置づけられることになり、
その次に挙げた
炭疽菌(Bacillus anthracis、バチルス・アントラシス)は、幅1~1.5マイクロメートル、長さ4~10マイクロメートルほどの大きさのグラム陽性の好気性桿菌、
ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)は、幅0.3マイクロメートル、長さ2マイクロメートルくらいの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
枯草菌や納豆菌などの一般的な常在菌に分類される代表的な桿菌の種類
そして、その他にも、枯草菌や納豆菌といった一般的な常在菌に分類される代表的な桿菌の種類として位置づけられることになる細菌の種類のうち、はじめに挙げた
枯草菌(Bacillus subtilis、バチルス・サブティリス)は、幅0.5~2.5マイクロメートル、長さ2~10マイクロメートルくらいの大きさグラム陽性の好気性桿菌、
納豆菌(Bacillus subtilis var. natto、バチルス・サブティリス・ヴァル・ナットー)は、前述した枯草菌と同じ幅0.5~2.5マイクロメートル、長さ2~10マイクロメートルくらいの大きさグラム陽性の好気性桿菌、
乳酸桿菌は、幅0.5~1マイクロメートル、長さ1~2マイクロメートルくらいの大きさのグラム陽性の嫌気性桿菌、
ビフィズス菌も、そうした乳酸桿菌と同じく幅0.5~1マイクロメートル、長さ1~2マイクロメートルくらいの大きさのグラム陽性の嫌気性桿菌として位置づけられることになり、
その次に挙げた
セラチア菌(Serratia)は、幅0.5~1マイクロメートル、長さ1~5マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
エンテロバクター(Enterobacter)は、幅0.5~1マイクロメートル、長さ1~5マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
バクテロイデス(Bacteroides)は、幅0.5~1.5マイクロメートル、長さ1.5~8マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
フゾバクテリウム(Fusobacterium)は、幅0.3~0.7マイクロメートル、長さ1~2マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
プレボテラ(Prevotella)は、幅0.3~0.7マイクロメートル、長さ1~2マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
プロテウス菌(Proteus)は、幅0.5~0.8マイクロメートル、長さ1.5~4マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の嫌気性桿菌、
アシネトバクター(Acinetobacter)は、幅1~1.5マイクロメートル、長さ1.5~2.5マイクロメートルほどの大きさのグラム陰性の好気性桿菌、
そして、最後に挙げたニキビの原因菌としても有名な
アクネ菌(Propionibacterium acnes、プロピオニバクテリウム・アクネス)は、幅0.4~0.7マイクロメートル、長さ1~5マイクロメートルほどの大きさのグラム陽性の嫌気性桿菌としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
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そして、上記の図において示したように、
一般的な桿菌の大きさは、大腸菌やらい菌といった幅1マイクロメートル前後、長さ4マイクロメートル前後くらいの大きさをした細菌の種類を中心に、
炭疽菌などのような大きい桿菌の種類の場合には、長さが10マイクロメートルにもおよぶ種類もある一方で、
ペスト菌や百日咳菌などのような小さい桿菌の種類の場合には、一般的な球菌と同じくらいの大きさにあたる長さが1マイクロメートルにも満たないような細菌の種類も含まれることになると考えられることになります。
つまり、一言でいうと、
こうした桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる細菌の具体的な大きさとしては、
細胞体の長径の長さがだいたい1~10マイクロメートル (0.001mm~0.01mm)の範囲内に収まるような細菌の種類が分類されていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:リケッチアという細菌の名称の由来と一般的な細菌との大きさの比較および偏性細胞内寄生菌としてリケッチアの具体的な性質
前回記事:桿菌に分類される36種類の代表的な細菌の種類のまとめ、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑳
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