環形動物と線形動物の具体的な特徴の違いとは?「環形」と「線形」という名前の由来と両者に分類される代表的な生物の種類
「線虫に分類される32種類の代表的な寄生虫の種類のまとめ」の記事などで詳しく書いたように、細長いひも状や円筒状の形状を特徴する生物の種族としては、
回虫や鞭虫や糸状虫といった寄生虫の種族が数多く分類されることになる線虫あるいは線形動物と呼ばれる生物の種族の名が挙げられることになるのですが、
その一方で、
そうした細長い円筒状の体を特徴する生物の種族としては、その他にも、ミミズやヒルといった生物の種族が分類される環形動物と呼ばれる生物の種族の名も挙げられることになると考えられることになります。
それでは、こうした環形動物と線形動物と呼ばれる生物の種族には、それぞれ具体的にどのような特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか?
環形動物の具体的な特徴と「環形」という名前の由来
まず、こうした細長い円筒状の体を特徴する二つの生物の種族のうち、
前者の環形動物(かんけいどうぶつ)と呼ばれる生物の種族には、
ミミズ(蚯蚓)やヒル(蛭)やゴカイ(沙蚕)といった土中や水中あるいは沼地や湿度の多い森林などに生息するぬめぬめとした細長い円筒状の体を特徴とする生物の種類が多く分類されていて、
こうした環形動物に分類される生物は、土中で生活するミミズなどの種族には目は退化して存在しないものの、ヒルやゴカイといった他の環形動物の種類には目や触覚あるいは感覚突起などが存在していて、
そうした感覚器官などのほかにも、血管などの循環器系や、腎菅といった排出器官なども備えた複雑な構造をもった生物の種族であると考えられることになります。
そして、
こうした環形動物に分類される生物は、環状すなわち輪のような円い形をした体節が直列に並んでいく形で体全体の構造が形づくられているため、
そうした体全体を構成する一つ一つの体節の輪っか型の形状のことを指して、こうした「環形」という名称が付けられることになったと考えられることになるのです。
線形動物の具体的な特徴と「線形」という名前の由来
そして、それに対して、
後者の線形動物(せんけいどうぶつ)あるいは線虫(せんちゅう)と呼ばれる生物の種族には、
人間の小腸の内部などに寄生する回虫や鞭虫や糸状虫あるいは急性胃炎を引き起こす食中毒の原因となることで有名なアニサキスといった寄生虫の種類が数多く分類される一方で、
土壌中や海底の泥の中などにおいて、通常の動物と同様に、自活生活を営んでいる線形動物の種族も数多く分類されることになります。
そして、
こうした線形動物に分類される生物には、前述した環形動物などに見られるような体節と呼ばれるような区画構造は一切存在せず、全体が一つ続きとなった一体的な構造をしていて、
食道や胃や腸などといった器官への分化がみられない一本の細長い消化管のみが体全体を貫いているだけで、
双器や双腺といった原始的な感覚器を持つものはいるものの、一般的な動物にみられるような目などの一般的な感覚器官は存在せず、
血管などの循環器系も一切存在しないという非常に単純な構造をもった生物の種族であると考えられることになります。
また、
こうした線形動物に分類される生物は、その名の通り、体全体の構造が複雑な体節構造などに分割されることのない一つにつながった一本の線のような単純な構造をしているために、
こうした「線形」という名称が付けられることになったと考えられることになるのです。
環形動物と線形動物の具体的な特徴の違いのまとめ
以上のように、
こうした環形動物と線形動物と呼ばれる二つの生物の種族は、どちらも外見上は細長いひも状あるいは円筒状の形状をした互いによく似通った姿をした生物の種族であると考えられることになるのですが、
その一方で、こうした二つの生物の種族は、
前者の環形動物には、ミミズやヒルやゴカイといった土中や水中あるいは沼地や湿度の多い森林などに生息する生物の種類が分類されていて、
環状すなわち輪のような円い形をした体節が直列に並んでいく体節構造によって体全体の構造が形づくられている血管などの循環器系や、腎菅といった排出器官なども備えた複雑な構造をもった生物の種族として位置づけられることになるのに対して、
後者の線形動物は、回虫や鞭虫や糸状虫あるいはアニサキスといった寄生虫と、土壌中や海底の泥の中などにおいて自活生活を営んでいる線虫の種族とに分類され、
環形動物などに見られるような体節と呼ばれるような区画構造は一切存在せず、全体が一つ続きとなった一体的な構造をしていて、
目などの一般的な感覚器官も存在しなければ、血管などの循環器系も一切存在しないという非常に単純な構造をもった生物の種族として位置づけられることになるといった点に、
こうした二つの生物の種族における具体的な特徴の違いが存在すると考えられることになるのです。
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次回記事:肝蛭(カンテツ)が蛭(ヒル)に分類されない理由とは?扁形動物である肝蛭と環形動物である蛭の具体的な特徴の違い
前回記事:鉤虫(カギムシ)と鉤虫(コウチュウ)の違いとは?肉食性の有爪動物と寄生性の線形動物の具体的な特徴と両者の名前の由来
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