グラム陽性菌とグラム陰性菌の違いとは?両者に分類される代表的な細菌の種類と具体的な特徴
前回の記事で書いたように、細菌と呼ばれる生物の種族における最も一般的な分類法の一つとしては、グラム染色と呼ばれる染色法に基づく分類法が挙げられることになるのですが、
それでは、
こうしたグラム染色によって紫色に染色される細菌のグループであるグラム陽性菌と赤色に染色される細菌のグループであるグラム陰性菌は、それぞれ具体的にどのような特徴をもった細菌のグループであると考えられ、
両者の細菌のグループにはそれぞれ具体的にどのような細菌の種類が分類されることになると考えられることになるのでしょうか?
グラム陽性菌の具体的な特徴と分類される代表的な細菌の種類
まず、
こうしたグラム染色と呼ばれる染色法に基づく分類法において、前者のグラム陽性菌に分類される細菌の種族の具体的な特徴としては、
細胞壁の構造がペプチドグリカンと呼ばれる高分子化合物の分厚い層によって構成されていて、
一部の細菌の種族においては、
そうした分厚い細胞壁の構造をマイナス273℃の絶対零度に近いような超低温や200℃を超えるような超高温にも耐えられるような耐久性の高い特殊な細胞構造へと変化させた芽胞(がほう)と呼ばれる半結晶状態の休眠状態の構造体へと移行していくことができる点、
さらには、
放散菌と呼ばれるカビやキノコのように菌糸と呼ばれる糸状の細胞構造を形成して胞子によって生殖を行う細菌の種族もこうしたグラム陽性菌と呼ばれる細菌のグループの内に含まれるといった点などが挙げられることになるほか、
こうしたグラム陽性菌に分類される細菌の種族は、後述するグラム陰性菌に分類される細菌の種族と比べると人体に対して病原性を示す細菌が比較的少ないといった点なども重要な特徴の一つとして挙げることができると考えられることになります。
そして、
こうしたグラム陽性菌に分類される代表的な細菌の種類としては、具体的には、
肺炎球菌などの連鎖球菌や、黄色ブドウ球菌、リステリア、ボツリヌス菌や破傷風菌やウェルシュ菌などのクロストリジウム、
さらには、
結核菌やジフテリア、あるいは、ハンセン病の原因となるらい菌(癩菌)や炭疽菌といった細菌の種類が人体に対して病原性を示す細菌の種類として挙げられることになるほか、
納豆菌などの枯草菌(こそうきん)、あるいは、乳酸菌といった人体にとって病原性を示さない常在菌の多くもこうしたグラム陽性菌と呼ばれる細菌のグループの内に分類されることになるのです。
グラム陰性菌の具体的な特徴と分類される代表的な細菌の種類
そして、それに対して、
後者のグラム陰性菌に分類される細菌の種族の具体的な特徴としては、
細胞壁の構造が外膜と内膜と呼ばれる二重膜構造の間にはさまれた非常に薄い層によって構成されていて、
グラム陽性菌のように芽胞と呼ばれるような耐久性の高い特殊な細胞構造へと変化していくような種族や、放散菌のように菌糸や胞子を形成していくような変わった特徴をもった細菌の種族はほとんど見られないほか、
一般的に、人体に対して病原性を示す細菌の種族の多くがこうしたグラム陰性菌と呼ばれる細菌のグループの内に分類されるといったことが重要な特徴として挙げられることになると考えられることになります。
そして、
こうしたグラム陰性菌に分類される代表的な細菌の種類としては、具体的には、
大腸菌やカンピロバクター、ピロリ菌などのヘリコバクターや、サルモネラ菌やチフス菌などが挙げられることになるほか、
髄膜炎菌や緑膿菌、百日咳菌やインフルエンザ菌(風邪や肺炎などの原因になる細菌でありインフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスとは無関係)、
さらには、
ペスト菌、コレラ菌、チフス菌、赤痢菌、腸炎ビブリオや、人食いバクテリアとして知られるビブリオ・バルニフィカス、その他にも、淋菌、梅毒トレポネーマやクラミジアといった
人体に対して病原性を示す数多くの細菌の種類が挙げられることになるのです。
・・・
以上のように、
こうしたグラム陽性菌とグラム陰性菌と呼ばれる二つの細菌のグループのうち、
前者のグラム陽性菌は、外膜を持たずに細胞全体がペプチドグリカンと呼ばれる高分子化合物によって構成された分厚い細胞壁によって覆われているグラム染色において紫色に染色される細菌のグループとして定義されることになり、
こうしたグラム陽性菌に分類される代表的な細菌の種類としては、
納豆菌などの枯草菌(こそうきん)や、乳酸菌、肺炎球菌などの連鎖球菌や、黄色ブドウ球菌、リステリア、ボツリヌス菌、破傷風菌、ウェルシュ菌、クロストリジウム、結核菌、ジフテリア、らい菌(癩菌)、炭疽菌
といった細菌の種類が挙げられることになるのに対して、
後者のグラム陰性菌は、外膜と内膜と呼ばれる二重膜構造の間に薄い細胞壁の構造を持つグラム染色において赤色に染色される細菌のグループとして定義されることになり、
こうしたグラム陰性菌に分類される代表的な細菌の種類としては、
大腸菌、カンピロバクター、ピロリ菌などのヘリコバクターや、サルモネラ菌、チフス菌、髄膜炎菌、緑膿菌、百日咳菌、インフルエンザ菌、ペスト菌、コレラ菌、チフス菌、赤痢菌、腸炎ビブリオ、ビブリオ・バルニフィカス、淋菌、梅毒トレポネーマ、クラミジア
といった細菌の種類が挙げられることになると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:球菌と桿菌とらせん菌の違いとは?細胞の形状に基づく三つの細菌グループに分類される代表的な細菌の種類と具体的な特徴
前回記事:グラム染色とは何か?紫色と赤色のグループへの細菌の種類分けとグラム染色においてグラム陽性菌だけが紫色に染まる理由
「医学」のカテゴリーへ
「生物学」のカテゴリーへ