新型コロナウイルスはインフルエンザと比べてどのくらい致死率が高いのか?WHOと厚労省の統計データに基づく致死率の比較

201912中国の武漢市において最初の症例が確認されたのち、日本を含む世界各地へと感染を拡大していくことになった

2019-nCoVと呼ばれる新型コロナウイルスの感染を原因とするCOVID-19と呼ばれるウイルス性の呼吸器疾患においては、

発熱や乾いた咳呼吸困難や肺炎などを主症状とする急性呼吸器疾患が引き起こされることになるとされていますが、

それでは、こうした新型コロナウイルスによって引き起こされる感染症の致死率は、最も一般的なウイルス性の呼吸器系疾患であるインフルエンザ、そのなかでも、

世界の各地で冬の時期を中心毎年流行することになる一般的なインフルエンザにあたる季節性のインフルエンザと比べた場合、

現時点の知見においては、具体的にどれくらい高い致死率になると想定することができる考えられることになるのでしょうか?

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WHOの知見に基づく新型コロナウイルスの致死率の推定

そうすると、まず、

こうした新型コロナウイルスの感染を原因とするCOVID-19と呼ばれるウイルス性の呼吸器疾患致死率の具体的な推定については、

WHO(世界保健機関)の報告において、2020217224の時点において、それぞれ異なる観点から提示された二つの推計が示されています。

そして、このうちの前者にあたる

2020217に行われたWHO(世界保健機関)テドロス・アダノム事務局長の記者会見によれば、

COVID-19の致死率は2%程度であり、高齢者になるほどその致死率が高くなると語られています。

(出典:https://www.who.int/dg/speeches/detail/who-director-general-s-remarks-at-the-media-briefing-on-covid-2019-outbreak-on-17-february-2020

そして、それに対して、

 2020224に行われたWHO(世界保健機関)の同じくテドロス・アダノム事務局長の記者会見によれば、

COVID-19の致死率は、このウイルスの発生地にあたる武漢では24にもおよぶ一方で、それ以外の地域では0.7にとどまっているということが示されています。

(出典:https://www.who.int/dg/speeches/detail/who-director-general-s-opening-remarks-at-the-media-briefing-on-covid-19—24-february-2020

ちなみに、

武漢市において他の地域と比べて非常に高い致死率が記録されている理由としては、都市封鎖後の武漢市の内部における社会混乱医療崩壊大きな悪影響をおよぼしたと考えられることになるのですが、

こうしたWHOの発表に基づく二つの推定から総合的に判断した場合、

現時点での知見においては、新型コロナウイルスに感染した時の日本を含む武漢以外の地域における一般的な致死率は、0.7%から高くても2%程度と推定することができると考えられることになるのです。

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季節性のインフルエンザの致死率の推定と新型コロナウイルスとの比較

それでは、それに対して、

世界の各地で冬の時期を中心毎年流行することになる一般的なインフルエンザにあたる季節性のインフルエンザの致死率はいったいどれくらいなのか?というと、

それについては、日本を含む世界各地の専門機関において実に様々な推計値が示されていて、

例えば、詳しくはWHOのデータに基づくインフルエンザの致死率の推計」(リ)の記事で考察したように、

WHOの統計データに基づくと、季節性のインフルエンザ一般的な致死率0.1%未満、より詳しく計算していくと、だいたい0.06%程度であると推計することができると考えられることになります。

そして、それに対して、「インフルエンザの日本国内での致死率の超過死亡数と人口動態調査に基づく二つの推計」の記事で書いたように、

日本国内における季節性インフルエンザの致死率については、インフルエンザを直接の死因とする死者の実数値に基づく計算では0.02となるのに対して、

二次感染持病の悪化などによる関連死なども含めた拡大解釈された死亡者数の推計にあたる超過死亡数に基づく推計では0.08と推計されることもあります。

高齢者への予防接種法によるインフルエンザのワクチン接種が開始されることになった2002年以降超過死亡率に基づく推計)

そして、

こうしたWHOや厚生労働省の統計データに基づく一連の推計値から総合的に判断した場合、

一般的なインフルエンザにあたる季節性のインフルエンザの致死率、そのなかでも、特に、日本国内における季節性インフルエンザの致死率は、0.020.08という二つの推計値の間0.05%程度と推定するのが比較的妥当な推定となると考えられることになります。

・・・

そして、以上のような一連の考察に基づいて、

新型コロナウイルスの致死率0.7%~2

季節性インフルエンザの致死率0.05

とそれぞれ推定することができるとすると、

一般的に言って、

新型コロナウイルスによって引き起こされる感染症は、冬の時期を中心毎年流行することになる一般的なインフルエンザにあたる季節性のインフルエンザと比べて、

少なくとも14最大で40くらい致死率が高いと推定することができると考えられることになります。

そして、より実践的な意味においては、こうした二つの推定値の間をとって、

新型コロナウイルスによって引き起こされる感染症は季節性のインフルエンザと比べて27倍くらい致死率が高いと想定しておくのが現時点の知見の範囲内においては比較的妥当な推定となると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:新型コロナウイルスの検査を軽症患者に広く行わない方がいい理由、PCR法における感度と特異度および偽陽性と偽陰性の関係

前回記事:新型コロナウイルスの感染形態はノロウイルスに近いのか?感染爆発の形態の類似点とウイルスの種族自体の性質の類似点

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