クレタの迷宮からのテーセウスの脱出とアリアドネの糸、ギリシア神話の英雄テーセウスの物語⑥

前回書いたように、生まれ故郷であるトロイゼーンを出発して、テーセウスの六つの功業とも呼ばれる六つの偉業を成し遂げていったのち、

彼の父親であったアイゲウスが治めるアテナイの地へとたどり着くことになったテーセウスは、

この地で、アイゲウス王の後妻であった王妃メーデイアの陰謀を退けたのち、アイゲウス王から彼の後継者であることを正式に認められることによって、アテナイの人々からもやがてこの国を統べることになる王子として歓迎されていくことになります。

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ミノタウロスへの生贄の列へと加わる英雄テーセウス

ところで、

テーセウスアテナイの王子として、この国の人々に受け入れられていくことになった当時、この国では、かつて行われたアテナイとクレタとの戦争講和条件として、

脱出不可能とされているラビュリントスと呼ばれる通路が複雑に入り組んだ巨大な迷宮であったクレタの迷宮に閉じ込められている牛頭人身の怪物であるミノタウロスへの生贄として、

毎年、武器を持たない七人の少年七人の少女を船に乗せてクレタ島へと送ることになっていたのですが、

そうしたミノタウロスへの生贄としてクレタ島へと送られようとするアテナイの子供たちの姿を目にしたテーセウスは、

自ら進んでミノタウロスへの生贄の列に加わり、クレタの迷宮へと乗り込んでミノタウロスを打ち倒すことによって、こうした悲劇の船旅を自分の手で終わらせることを誓うことになります。

そして、

こうしたテーセウスの申し出を聞いたアイゲウス王は、自分の大切な跡継ぎであったテーセウスの命を惜しんで、彼のことを必死に止めることになるのですが、アテナイの人々のために自らの身を供するというテーセウスの決意が固いことを知ると、

彼が乗ることになるクレタ島へと向かう船に掲げる印として、テーセウスが生きて帰ってきたときには白い帆を張り、テーセウスが死んでしまったときには黒い帆のままで戻ってくるように申し付けたうえで、

泣く泣く彼の最愛の息子であったテーセウスのことを怪物が待つクレタの地へと送り出すことになるのです。

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クレタの迷宮からのテーセウスの脱出とアリアドネの糸

そして、その後、テーセウスは、

長い船旅を経て、ミノタウロスへと捧げられる生贄の一人としてクレタ島へとたどり着くことになるのですが、

この時、こうした祖国の人々のために自ら進んで自分の命を捧げようとするテーセウス尊厳ある勇敢な姿に心を打たれたクレタの王女であったアリアドネは彼に恋心を抱くことになります。

そして、アリアドネは、

こうしたラビュリントスと呼ばれるクレタの迷宮を築き上げた名工であったダイダロスに、テーセウスが見事にミノタウロスを打ち倒すことができたときに、彼が道に迷うことなく迷宮を脱出することができるように導く方法はないかと尋ねることになり、

それに対して、ダイダロスは、

アリアドネが持つ糸玉をテーセウスへと与えて、彼がその糸玉を引いて糸を繰り出しながら迷宮の奥へと進んで行った後、ミノタウロスを倒した後で、今度はその糸を巻き戻しながら帰っていくことで、迷宮の出口へとたどり着くことができるだろうと語ることになります。

そして、その後、テーセウスは、

この言葉を聞いたアリアドネから糸玉を渡されたのち、クレタの迷宮の中へと入っていくことになるのですが、

迷宮の最深部において、牛頭人身の怪物であるミノタウロスと遭遇したのち、武器を持つことを許されていなかったテーセウスは、

この怪物を素手で殴って打ち殺したとも、懐に隠し持っていたアイゲウス王の剣によって切り殺したとも語り伝えられています。

そして、

こうしてクレタの迷宮の主であったミノタウロスを倒したテーセウスは、その後、アリアドネの糸をたどって出口までたどり着くことによって、脱出不可能と言われていたクレタの迷宮からの脱出を果たすことになり、

その後、テーセウスは、彼のことを助けてくれたクレタの王女アリアドネを連れて、彼女と共に、アテナイへの帰還を目指す船旅へと赴いていくことになるのです。

・・・

次回記事:アテナイへと向かうテーセウスの船旅と酒の神ディオニュソスの妻となったアリアドネ、ギリシア神話の英雄テーセウスの物語⑦

前回記事:王妃メーデイアの陰謀とマラトンの牡牛退治へと赴くテーセウス、ギリシア神話の英雄テーセウスの物語⑤

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