三段論法とは何か?大前提・小前提・結論という三つの命題と一つの媒概念によって構成される間接推論の形式
「三段論法の語源とは?」の記事で書いたように、三段論法という論理学上の概念は、もともと、古代ギリシアの哲学者であるアリストテレスの論理学に出てくるシュロギスモス(syllogismos)という言葉に由来をもつ概念であり、
古代ギリシア哲学においては、こうしたシュロギスモスという言葉は、いくつかの前提となる事柄から、もとの前提とは異なる事柄が必然的に帰結する推論のあり方全般のことを指す言葉として用いられていたと考えられることになります。
そして、論理学においては、こうした古代ギリシア哲学におけるシュロギスモスの定義から派生して、一般的に、
大前提・小前提・結論という三つの命題から構成される間接推論の形式のことを指して三段論法という言葉が用いられるようになったと考えられるのですが、
こうした三段論法と呼ばれる推論の形式は、より正確には、どのような論理学上の区分に位置づけられることになり、
それは、具体的にどのような構造をもった推論の形式として捉えることができると考えられることになるのでしょうか?
論理学上の区分における三段論法の位置づけ
論理学においては、前提となる命題からの必然的な論理展開のみによって結論を導き出す推論のあり方が演繹的推論であると定義されたうえで、
こうした演繹的推論と呼ばれる推論のあり方は、大きく分けて、
一つの前提のみから直接的に結論が導き出される推論のあり方である直接推論(直接推理)と、
二つ以上の前提から段階的に結論が導き出される推論のあり方である間接推論(間接推理)という
二つの推論の種類へと区分されることになります。
そして、
このうちの間接推論(間接推理)に区分される推論形式の代表格として、三段論法と呼ばれる推論の形式が位置づけられることになるのです。
大前提・小前提・結論という三つの命題と一つの媒概念によって構成される間接推論の形式
冒頭で述べたように、一般的に、論理学においては、大前提・小前提・結論という三つの命題から構成される間接推論の形式のことを指して三段論法と呼ばれる言葉が用いられることになりますが、
より正確に言えば、
論理学上の概念としての三段論法においては、
大前提と小前提という二つの異なる前提が、媒概念(中項辞や中名辞などとも呼ばれる)によって結びつけられることによって結論が導き出されていると考えられることになります。
例えば、
大前提:すべての生物は死すべきものである。(すべての生物の命には限りがある)
小前提:すべての人間は生物である。
結論:すべての人間は死すべきものである。(すべての人間の命には限りがある)
という三段論法の推論においては、
大前提となる「すべての生物は死すべきものである」という命題と、小前提となる「すべての人間は生物である」という命題に共通して含まれている「生物」という言葉が媒概念となることによって結論が導かれていると考えられることになるのです。
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以上のように、
三段論法と呼ばれる推論の形式は、論理学上の区分においては、前提からの必然的な論理展開によって結論を導き出す推論のあり方である演繹的推論のうちの、
二つ以上の前提から段階的に結論を導き出す推論のあり方である間接推論(間接推理)に分類される代表的な推論形式として位置づけることができると考えられることになります。
そして、こうした論理学上の定義における三段論法とは、
大前提と小前提という二つの異なる前提が、媒概念と呼ばれる一つの共通概念によって結びつけられることによって結論を導き出す推論の形式のことを意味する概念であり、
それは、一言でいうと、
大前提・小前提・結論という三つの命題と一つの媒概念によって構成される間接推論の形式として定義することができると考えらえることになるのです。
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次回記事:三段論法における四つの格の分類とは?大概念・小概念・媒概念の定義と配置に基づく形式的分類、三段論法の格と式の違い①
関連記事:三段論法(シロギズム)の語源とは?アリストテレスにおける演繹的推論としてのシュロギスモスの定義
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