生活環と進化のアウフヘーベンとしての生命のらせん的発展の構造、個体における生活環のサイクルと種族における進化の関係

前回の記事で書いたように、植物や動物といったこの世界に存在するすべての生命においては、

個体としての生物が、前の世代の生殖細胞から誕生してから、成長や発達といった様々な変化の過程を経たうえで、最終的に次の世代の個体となる生殖細胞を生み出すことによって再び元と同じ段階へと戻ってくるまでの一連の過程が、

生活環(ライフサイクル)と呼ばれる一つの円環によって結ばれた生命の周期として捉えられることになるのですが、

それに対して、

種族として生物は、それ以前に存在していた別の種族からの遺伝的な変化によって現在の種族が形成され、現在の種族もやがてさらに新たな別の種族へと発展していくという進化と発展の形態の内にも位置づけられることになると考えられることになります。

それでは、

こうした生物の個体のレベルにおける生活環のサイクルと、種族のレベルにおける進化のあり方とは、互いにどのような関係にあると考えられることになるのでしょうか?

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個体レベルにおいて永続的に繰り返される生活環のサイクル

前回書いたように、動物と植物の場合では、生活環の多様性と複雑性において大きな差異があり、

動物の生活環の場合は、受精卵から成体への成長を経て再び次世代の受精卵の形成へと至るという比較的シンプルな円環が描かれるのに対して、

植物の生活環の場合には、胞子体と配偶体などと呼ばれる二つの世代や、なかには三つの世代を経てからではないと生活環の元と同じ局面へと戻ってくることができないケースもあるのですが、

こうした動物と植物のいずれの生活環のパターンにおいても、前の世代の生殖細胞から誕生したそれぞれの生物は、その過程の複雑性に差があるとはいえ、そうした様々な変化の過程を経たうえで、最終的に、種子や胞子、受精卵といった元と同じ生殖細胞の段階へと戻ってくることになり、

そこからは、それ以前の世代とまったく同じ生活環の営みが常に繰り返されていくことになると考えられることになります。

つまり、

こうした現在の世代の個体の誕生から、次の世代の個体の誕生へと至る生物の個体のレベルにおける生活環のサイクルにおいては、あらゆる動物と植物、すなわち、すべての生物の種族のそれぞれの世代における個々の生物たちは、

いつまでも同じ回し車の中を走り続けるネズミのように、まったく同じ一つの円環の内をいつまでも繰り返し回り続けているに過ぎないと考えられることになるのです。

生物の種族レベルにおける永遠なる進化と発展の形態

しかし、その一方で、

冒頭でも述べたように、個体レベルではなく、種族レベルにおいては、すべての生物は、その世代交代ごとに、遺伝的変異が常に生じていくことによって、

常に、以前の種族の形態から現在の種族の形態、そして、現在の種族の形態から未来の種族の形態へと変化し続けていくことになりますが、

そうした生物の種族レベルにおける変化は、自然選択(自然淘汰)によって、新たな環境へと適応していく方向へと進んで行くことになるので、

それは、単なる無秩序で偶然的な変化のみにとどまるものではなく、一定の進展の方向性をもった生物の種族レベルにおける進化と発展のあり方として捉えることができると考えられることになります。

つまり、

この世界に存在するあらゆる生物の種族は、その種族としての生命の営みが次の世代へと引き継がれ続けていく限り、

常に、永遠なる進化と発展の形態の内に位置づけられる存在であるとも捉えられることになるのです。

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生活環と進化のアウフヘーベンとしての生命のらせん的発展の構造

以上のように、

すべての生物は、

個体レベルにおいては、まったく同じ一つの円環の内をいつまでも繰り返し回り続けるという生活環の永続的なサイクルの内にありながら、

種族レベルにおいては、世代交代ごとに生じる遺伝的変異と自然選択によって、常に新たな方向へと進展し続ける永遠なる進化と発展の形態の内にもあると考えられることになります。

そして、

こうした個体レベルにおける円運動と、種族レベルにおける一方方向への進展という生命の二つの構造を互いに融合させ、アウフヘーベンしていくことができるとすると、

そうした二つの概念のアウフヘーベンからは、例えば、らせん階段の上をぐるぐると回りながら上方へと駆け上っていくような構造を導き出すことができると考えられることになりますが、

つまり、そういった意味においては、

現在地球上に存在する植物や動物といったすべての種族の生命は、

ぐるぐると同じ一つの円環を繰り返し回り続けながら、それと同時に、自らの種族の遺伝子を徐々に変化させ続けていくことによって、常に種族としての上方への進展の内にもあるというように、

個体レベルの生活環における円運動と、種族レベルにおける進化と発展のあり方の両者が互いに不可分な形で合わさったらせん構造をもった発展形態の内に位置づけられることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:種子と胞子の違いとは?両者を区別する七つの具体的な特徴、四つの外面的な特徴の違いと生殖形態における三つの相違点

前回記事:生活環とは何か?動物と植物における生活環の多様性と複雑性の違いと、一世代から二世代、三世代にわたる生活環のサイクル

関連記事:人類の永続的な発展のあり方を示す生命と国家における二重の弁証法、ヘーゲル哲学における生命の弁証法的展開の構造③

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