第四格に分類される64通りの三段論法の格式の具体例と推論の妥当性の検証、256通りすべての三段論法の形式の検証④
形式的に可能な三段論法の256通りの格式のうちの全体の四分の三にあたる第一格から第三格までに属する合わせて192通りの三段論法の形式について、
それぞれの格式を用いた推論が、前提が真であれば結論も必然的に真となる妥当な形式に基づく推論であるかどうかを一つ一つ確かめていく検証作業を進めてきました。
そこで、今回の記事においても、前回に引き続き、
第四格に分類される64通りの三段論法の格式について、それぞれの格式を用いた推論の具体例を挙げていく形で、妥当な三段論法の形式を見つけ出していく検証作業をさらに進めていくことになるのですが、
前回までに検証した192通りの格式に、今回新たに検証する64通りの格式を加えることによって、形式的に可能な三段論法の256通りの格式すべてについての推論の妥当性の網羅的な検証が完成することになるのです。
・・・
「三段論法における四つの格の分類」の記事で書いたように、三段論法における推論の形式は、
推論を構成する命題の内のP(大概念)・S(小概念)・M(媒概念)という三つの概念の配置のあり方に応じて、第一格から第四格までの四つの格へと分類されることになりますが、
今回取り上げる第四格に分類される三段論法においては、その推論の形式はすべて、
大前提:PはMである。
小前提:MはSである。
結論:ゆえに、SはPである。
といった概念の配置によって構成されることになります。
そして、
上記のM(媒概念)とP(大概念)とS(小概念)という三つの概念の位置に、
全称肯定命題(A)・特称肯定命題(I)・全称否定命題(E)・特称否定命題(O)という四種類の命題のうちのどの種類の命題が配置されるかによって、
全部で4×4×4=64通りの第四格に属する三段論法の形式が生み出されていくことになるのですが、
こうした第四格のAAA式からOOO式までの全部で64通りの三段論法の格式のすべてについて、それぞれの格式を用いた推論の具体例を挙げていく形で推論形式の妥当性の検証を進めていくと、以下のようになります。
第四格AAA式からAOO式までの16通りの三段論法の形式の真偽の検証
(193) 第四格AAA式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は動物である。=真
結論:ゆえに、すべての動物は人間である。=偽
→実際には、動物のなかには鳥や魚といった人間以外の種族もいるので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(194) 第四格AAI式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は人間である。=真
→確かに、動物のなかには人間も含まれるように、このタイプの推論に対して反例を挙げることは論理的に不可能なので、妥当な三段論法の形式として認めることができる。
(195) 第四格AAE式
大前提:すべての人間は人類である。=真
小前提:すべての人類はヒトである。=真
結論:ゆえに、すべてのヒトは人間ではない。=偽
→実際には、「ヒト」と「人間」は同一の概念なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(196) 第四格AAO式
大前提:すべての人間は人類である。=真
小前提:すべての人類はヒトである。=真
結論:ゆえに、あるヒトは人間ではない。=偽
→実際には、「ヒト」と「人間」は同一の概念なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(197) 第四格AIA式
大前提:すべての哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物は鳥類である。=真
結論:ゆえに、すべての鳥類は哺乳類である。=偽
→実際には、鳥類と哺乳類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(198) 第四格AII式
大前提:すべての哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物は鳥類である。=真
結論:ゆえに、ある鳥類は哺乳類である。=偽
→実際には、鳥類と哺乳類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(199) 第四格AIE式
大前提:すべての哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物は人間である。=真
結論:ゆえに、すべての人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(200) 第四格AIO式
大前提:すべての哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物は人間である。=真
結論:ゆえに、ある人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(201) 第四格AEA式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての鳥類は人間である。=偽
→実際には、すべての鳥類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(202) 第四格AEI式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、ある鳥類は人間で
→実際には、すべての鳥類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(203) 第四格AEE式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての鳥類は人間ではない。=真
→確かに、すべての鳥類は人間とは異なる種族であるように、このタイプの推論に対して反例を挙げることは論理的に不可能なので、妥当な三段論法の形式として認めることができる。
(204) 第四格AEO式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、ある鳥類は人間ではない。=真
→このタイプの推論は、上記の第四格AEE式の推論の大小対当(全称命題が真ならば特称命題も真となる関係)にあたることから必然的に正しい推論となるので、妥当な三段論法の形式として認めることができる。
(205) 第四格AOA式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:ある哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての鳥類は人間である。=偽
→実際には、すべての鳥類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(206) 第四格AOI式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:ある哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、ある鳥類は人間である。=偽
→実際には、すべての鳥類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(207) 第四格AOE式
大前提:すべての哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物はクジラではない。=真
結論:ゆえに、すべてのクジラは哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべてのクジラは哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(208) 第四格AOO式
大前提:すべての哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物はクジラではない。=真
結論:ゆえに、あるクジラは哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべてのクジラは哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
第四格IAA式からIOO式までの16通りの三段論法の形式の真偽の検証
(209) 第四格IAA式
大前提:ある哺乳類は人間である。=真
小前提:すべての人間は動物である。=真
結論:ゆえに、すべての動物は哺乳類である。=偽
→実際には、動物のなかには鳥類や魚類といった哺乳類以外の種族もいるので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(210) 第四格IAI式
大前提:ある哺乳類は人間である。=真
小前提:すべての人間は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は哺乳類である。=真
→確かに、動物のなかには哺乳類も含まれるように、このタイプの推論に対して反例を挙げることは論理的に不可能なので、妥当な三段論法の形式として認めることができる。
(211) 第四格IAE式
大前提:ある哺乳類は人間である。=真
小前提:すべての人間はヒトである。=真
結論:ゆえに、すべてのヒトは哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべてのヒトは哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(212) 第四格IAO式
大前提:ある哺乳類は人間である。=真
小前提:すべての人間はヒトである。=真
結論:ゆえに、あるヒトは哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべてのヒトは哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(213) 第四格IIA式
大前提:ある哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物は鳥類である。=真
結論:ゆえに、すべての鳥類は哺乳類である。=偽
→実際には、鳥類と哺乳類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(214) 第四格III式
大前提:ある哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物は鳥類である。=真
結論:ゆえに、ある鳥類は哺乳類である。=偽
→実際には、鳥類と哺乳類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(215) 第四格IIE式
大前提:ある哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物は人間である。=真
結論:ゆえに、すべての人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(216) 第四格IIO式
大前提:ある哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物は人間である。=真
結論:ゆえに、ある人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(217) 第四格IEA式
大前提:ある人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての鳥類は人間である。=偽
→実際には、すべての鳥類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(218) 第四格IEI式
大前提:ある人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、ある鳥類は人間である。=偽
→実際には、すべての鳥類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(219) 第四格IEE式
大前提:ある動物は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての鳥類は動物ではない。=偽
→実際には、すべての鳥類は動物に含まれるので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(220) 第四格IEO式
大前提:ある動物は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、ある鳥類は動物ではない。=偽
→実際には、すべての鳥類は動物に含まれるので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(221) 第四格IOA式
大前提:ある人間は哺乳類である。=真
小前提:ある哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての鳥類は人間である。=偽
→実際には、すべての鳥類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(222) 第四格IOI式
大前提:ある人間は哺乳類である。=真
小前提:ある哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、ある鳥類は人間である。=偽
→実際には、すべての鳥類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(223) 第四格IOE式
大前提:ある哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物はクジラではない。=真
結論:ゆえに、すべてのクジラは哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべてのクジラは哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(224) 第四格IOO式
大前提:ある哺乳類は動物である。=真
小前提:ある動物はクジラではない。=真
結論:ゆえに、あるクジラは哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべてのクジラは哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
第四格EAA式からEOO式までの16通りの三段論法の形式の真偽の検証
(225) 第四格EAA式
大前提:すべての鳥類はクジラではない。=真
小前提:すべてのクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての哺乳類は鳥類である。=偽
→実際には、哺乳類と鳥類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(226) 第四格EAI式
大前提:すべての鳥類はクジラではない。=真
小前提:すべてのクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は鳥類である。=偽
→実際には、哺乳類と鳥類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(227) 第四格EAE式
大前提:すべての人間はクジラではない。=真
小前提:すべてのクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての哺乳類は人間ではない。=偽
→実際には、哺乳類のなかには人間も含まれるので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(228) 第四格EAO式
大前提:すべての人間はクジラではない。=真
小前提:すべてのクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は人間ではない。=真
→確かに、哺乳類のなかにはクジラや猫といった人間以外の種族もいるように、このタイプの推論に対して反例を挙げることは論理的に不可能なので、妥当な三段論法の形式として認めることができる。
(229) 第四格EIA式
大前提:すべての鳥類はクジラではない。=真
小前提:あるクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての哺乳類は鳥類である。=偽
→実際には、哺乳類と鳥類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(230) 第四格EII式
大前提:すべての鳥類はクジラではない。=真
小前提:あるクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は鳥類である。=偽
→実際には、哺乳類と鳥類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(231) 第四格EIE式
大前提:すべての人間はクジラではない。=真
小前提:あるクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての哺乳類は人間ではない。=偽
→実際には、哺乳類のなかには人間も含まれるので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(232) 第四格EIO式
大前提:すべての人間はクジラではない。=真
小前提:あるクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は人間ではない。=真
→確かに、哺乳類のなかにはクジラや猫といった人間以外の種族もいるように、このタイプの推論に対して反例を挙げることは論理的に不可能なので、妥当な三段論法の形式として認めることができる。
(233) 第四格EEA式
大前提:すべての人間は鳥類ではない。=真
小前提:すべての鳥類は魚類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての魚類は人間である。=偽
→実際には、すべての魚類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(234) 第四格EEI式
大前提:すべての人間は鳥類ではない。=真
小前提:すべての鳥類は魚類ではない。=真
結論:ゆえに、ある魚類は人間である。=偽
→実際には、すべての魚類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(235) 第四格EEE式
大前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:すべての鳥類は人間ではない。=真
結論:ゆえに、すべての人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(236) 第四格EEO式
大前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:すべての鳥類は人間ではない。=真
結論:ゆえに、ある人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(237) 第四格EOA式
大前提:すべての人間は鳥類ではない。=真
小前提:ある鳥類は魚類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての魚類は人間である。=偽
→実際には、すべての魚類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(238) 第四格EOI式
大前提:すべての人間は鳥類ではない。=真
小前提:ある鳥類は魚類ではない。=真
結論:ゆえに、ある魚類は人間である。=偽
→実際には、すべての魚類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(239) 第四格EOE式
大前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:ある鳥類は人間ではない。=真
結論:ゆえに、すべての人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(240) 第四格EOO式
大前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:ある鳥類は人間ではない。=真
結論:ゆえに、ある人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
第四格OAA式からOOO式までの16通りの三段論法の形式の真偽の検証
(241) 第四格OAA式
大前提:ある鳥類はクジラではない。=真
小前提:すべてのクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての哺乳類は鳥類である。=偽
→実際には、哺乳類と鳥類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(242) 第四格OAI式
大前提:ある鳥類はクジラではない。=真
小前提:すべてのクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は鳥類である。=偽
→実際には、哺乳類と鳥類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(243) 第四格OAE式
大前提:ある動物はクジラではない。=真(例えば、イルカや魚など)
小前提:すべてのクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての哺乳類は動物ではない。=偽
→実際には、すべての哺乳類は動物に含まれるので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(244) 第四格OAO式
大前提:ある動物はクジラではない。=真(例えば、イルカや魚など)
小前提:すべてのクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は動物ではない。=偽
→実際には、すべての哺乳類は動物に含まれるので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(245) 第四格OIA式
大前提:ある鳥類はクジラではない。=真
小前提:あるクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての哺乳類は鳥類である。=偽
→実際には、哺乳類と鳥類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(246) 第四格OII式
大前提:ある鳥類はクジラではない。=真
小前提:あるクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は鳥類である。=偽
→実際には、哺乳類と鳥類は互いに異なる種族なので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(247) 第四格OIE式
大前提:ある動物はクジラではない。=真(例えば、イルカや魚など)
小前提:あるクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての哺乳類は動物ではない。=偽
→実際には、すべての哺乳類は動物に含まれるので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(248) 第四格OIO式
大前提:ある動物はクジラではない。=真(例えば、イルカや魚など)
小前提:あるクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は動物ではない。=偽
→確かに、哺乳類のなかにはクジラや猫といった人間以外の種族もいるように、このタイプの推論に対して反例を挙げることは論理的に不可能なので、妥当な三段論法の形式として認めることができる。
(249) 第四格OEA式
大前提:ある人間は鳥類ではない。=真
小前提:すべての鳥類は魚類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての魚類は人間である。=偽
→実際には、すべての魚類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(250) 第四格OEI式
大前提:ある人間は鳥類ではない。=真
小前提:すべての鳥類は魚類ではない。=真
結論:ゆえに、ある魚類は人間である。=偽
→実際には、すべての魚類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(251) 第四格OEE式
大前提:ある哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:すべての鳥類は人間ではない。=真
結論:ゆえに、すべての人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(252) 第四格OEO式
大前提:ある哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:すべての鳥類は人間ではない。=真
結論:ゆえに、ある人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(253) 第四格OOA式
大前提:ある人間は鳥類ではない。=真
小前提:ある鳥類は魚類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての魚類は人間である。=偽
→実際には、すべての魚類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(254) 第四格OOI式
大前提:ある人間は鳥類ではない。=真
小前提:ある鳥類は魚類ではない。=真
結論:ゆえに、ある魚類は人間である。=偽
→実際には、すべての魚類は人間ではないので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(255) 第四格OOE式
大前提:ある哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:ある鳥類は人間ではない。=真
結論:ゆえに、すべての人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
(256) 第四格OOO式
大前提:ある哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:ある鳥類は人間ではない。=真
結論:ゆえに、ある人間は哺乳類ではない。=偽
→実際には、すべての人間は哺乳類に属するので、これは誤った三段論法の形式と言える。
・・・
以上のように、
第四格に属する64通りの三段論法の格式のうち、
第四格AAI式、第四格AEE式、第四格AEO式、
第四格IAI式、第四格EAO式、第四格EIO式
という全部で6通りの三段論法の格式のみが、前提が真であれば結論も必然的に真となる妥当な三段論法の形式として認めることができると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:24種類の妥当な三段論法の形式のまとめとそれぞれの格式を用いた推論の具体例
前回記事:第三格に分類される64通りの三段論法の格式の具体例と推論の妥当性の検証、256通りすべての三段論法の形式の検証③
「論理学」のカテゴリーへ