24種類の妥当な三段論法の形式のまとめとそれぞれの格式を用いた推論の具体例
形式的に可能な三段論法の256通りの格式のすべてについて、それぞれの格式を用いた推論が、前提が真であれば結論も必然的に真となる妥当な形式に基づく推論であるかどうかを一つずつ確かめていく網羅的な検証作業を行ってきました。
そこで、今回の記事では、今までに検証したすべての三段論法の形式の中で、妥当な推論の形式として認められた第一格の6種類、第二格の6種類、第三格の6種類、第四格の6種類をすべて合わせた24通りの妥当な推論の形式をまとめて列挙したうえで、
改めて、それぞれの格式を用いた推論の具体例を示していくことで、今までに書いてきた一連の三段論法の形式の検証についての総まとめをしていきたいと思います。
24種類の妥当な三段論法の形式のまとめとそれぞれの格式を用いた推論の具体例
※ただし、それぞれ三段論法の格式の左横に付した( )内の数字は、それぞれの格のAAAからOOOまでの64通りずつ計256通りの格式を順番に検証していく際に記した検証の順番を表す数字をそのまま示しています。
(1) 第一格AAA式
大前提:すべての哺乳類は動物である。=真
小前提:すべての人間は哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての人間は動物である。=真
(2) 第一格AAI式
大前提:すべての哺乳類は動物である。=真
小前提:すべての人間は哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある人間は動物である。=真
(6) 第一格AII式
大前提:すべての鳥類は有翼である。=真
小前提:ある動物は鳥類である。=真
結論:ゆえに、ある動物は有翼である。=真
(35) 第一格EAE式
大前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:すべての人間は哺乳類である。=真
結論:ゆえに、すべての人間は鳥類ではない。=真
(36) 第一格EAO式
大前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:すべての人間は哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある人間は鳥類ではない。=真
(40) 第一格EIO式
大前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
小前提:ある動物は哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある動物は鳥類ではない。=真
・・・
(75) 第二格AEE式
大前提:すべての鳥類は有翼である。=真
小前提:すべての人間は有翼ではない。=真
結論:ゆえに、すべての人間は鳥類ではない。=真
(76) 第二格AEO式
大前提:すべての鳥類は有翼である。=真
小前提:すべての人間は有翼ではない。=真
結論:ゆえに、ある人間は鳥類ではない。=真
(80) 第二格AOO式
大前提:すべての鳥類は有翼である。=真
小前提:ある動物は有翼ではない。=真
結論:ゆえに、ある動物は鳥類ではない。=真
(99) 第二格EAE式
大前提:すべての人間は有翼ではない。=真
小前提:すべての鳥は有翼である。=真
結論:ゆえに、すべての鳥は人間ではない。=真
(100) 第二格EAO式
大前提:すべての人間は有翼ではない。=真
小前提:すべての鳥は有翼である。=真
結論:ゆえに、ある鳥は人間ではない。=真
(104) 第二格EIO式
大前提:すべての魚類は陸生ではない。=真
小前提:ある動物は陸生である。=真
結論:ゆえに、ある動物は魚類ではない。=真
・・・
(130) 第三格AAI式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての人間は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は哺乳類である。=真
(134) 第三格AII式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:ある人間は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は哺乳類である。=真
(146) 第三格IAI式
大前提:ある哺乳類は水生である。=真(例えば、クジラなど)
小前提:すべての哺乳類は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は水生である。=真
(164) 第三格EAO式
大前提:すべての人間は鳥類ではない。=真
小前提:すべての人間は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は鳥類ではない。=真
(168) 第三格EIO式
大前提:すべての人間は鳥類ではない。=真
小前提:ある人間は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は鳥類ではない。=真
(180) 第三格OAO式
大前提:ある人間は鳥類ではない。=真
小前提:すべての人間は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は鳥類ではない。=真
・・・
(194) 第四格AAI式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は人間である。=真
(203) 第四格AEE式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、すべての鳥類は人間ではない。=真
(204) 第四格AEO式
大前提:すべての人間は哺乳類である。=真
小前提:すべての哺乳類は鳥類ではない。=真
結論:ゆえに、ある鳥類は人間ではない。=真
(210) 第四格IAI式
大前提:ある哺乳類は人間である。=真
小前提:すべての人間は動物である。=真
結論:ゆえに、ある動物は哺乳類である。=真
(228) 第四格EAO式
大前提:すべての人間はクジラではない。=真
小前提:すべてのクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は人間ではない。=真
(232) 第四格EIO式
大前提:すべての人間はクジラではない。=真
小前提:あるクジラは哺乳類である。=真
結論:ゆえに、ある哺乳類は人間ではない。=真
・・・
以上のように、
形式的に可能な256通りの三段論法の推論の格式のなかで、
第一格AAA式、第一格AAI式、第一格AII式、
第一格EAE式、第一格EAO式、第一格EIO式、
第二格AEE式、第二格AEO式、第二格AOO式、
第二格EAE式、第二格EAO式、第二格EIO式、
第三格AAI式、 第三格AII式、第三格IAI式、
第三格EAO式、第三格EIO式、第三格OAO式、
第四格AAI式、第四格AEE式、第四格AEO式、
第四格IAI式、第四格EAO式、第四格EIO式
という全部で24通りの格式のみが、前提が真であれば結論も必然的に真となる妥当な三段論法の形式として認めることができると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:三段論法の格式覚え歌(Barbara, Celarent, Darii, Ferio…)におけるラテン語の19個の単語と19通りの推論形式との対応関係
前回記事:第四格に分類される64通りの三段論法の格式の具体例と推論の妥当性の検証、256通りすべての三段論法の形式の検証④
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