前古典期(アルカイック期)と古典期(クラシック期)の違いとは?古代ギリシアの歴史における二つの時代区分の具体的な特徴

ローマ帝国に征服されるまでの古代ギリシアの歴史は、大きく分けて、文明が成立する前の石器時代と、エーゲ文明と呼ばれる古代文明が栄えていた青銅器時代

そして、そうしたエーゲ文明が滅びた後の文書記録がほとんど残されていない暗黒時代にあたる鉄器時代の後に、

前古典期(アルカイック期)古典期(クラシック期)ヘレニズム時代と呼ばれる三つの時代区分が続いていくことになるのですが、

このうち、前古典期(アルカイック期)古典期(クラシック期)と呼ばれる二つの時代区分のあり方には、具体的にどのような意味の違いがあると考えられることになるのでしょうか?

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アルカイック期とクラシック期という言葉自体の意味の違い

そうすると、まず、

こうした日本語における前古典期(アルカイック期)古典期(クラシック期)という時代区分のあり方は、英語においてはそれぞれ、

Archaic Greece(アルカイック・グリース)Classical Greece(クラシカル・グリース)と呼ばれることになるのですが、

こうした英語におけるArchaicClassical という二つの言葉は、その単語自体の意味からして、もともとは互いにかなり異なった意味合いを持つ言葉であったと考えられることになります。

前者のArchaic(アルカイック)という単語は、現代の英語における意味としては、一般的には、「古風な」「昔風の」といった意味を表す形容詞として用いられることが多いと考えられるのですが、

その一方で、こうした英語におけるArchaicという単語は、その言葉自体の大本の語源となる意味においては、古代ギリシア語において「始原」や「起源」といった意味を表すρχή(アルケー)という名詞に由来する言葉であったと考えられることになります。

そして、それに対して、

後者のClassical(クラシカル)という単語は、現代の英語における意味としては、「古典の」「伝統的な」といった意味を表す形容詞にあたり、

こうした英語におけるClassical という単語は、もともとは、ラテン語において、「最高位の等級」のことを意味するclassicus(クラシクス)という形容詞に由来する言葉であったと考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

こうした前古典期(アルカイック期)古典期(クラシック期)という古代ギリシアの歴史における二つの時代区分のあり方においては、

「始原」あるいは「起源」といった意味を表すアルカイック期において築かれていった新たなギリシア世界土台や基盤となる文化や制度のあり方が、

「最高位」あるいは「伝統的」といった意味を表すクラシック期において、より高度な形へと洗練されていくことによって古典ギリシアと呼ばれる人類の歴史における一つの完成形とも言える文明や文化のあり方が形成されていくことになるという形で、

古代ギリシア世界における大きな歴史の流れが展開していくことになっていったと捉えていくことができると考えられることになるのです。

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古代ギリシアの歴史における前古典期と古典期の具体的な特徴の違い

それでは、次に、

こうした前古典期(アルカイック期)古典期(クラシック期)と呼ばれる古代ギリシアにおける二つの時代における具体的な特徴の違いについても簡単にまとめていくと、まずは、

紀元前8世紀~紀元前6世紀頃まで続いていくことになる前古典期(アルカイック期)においては、フェニキア文字を元にしてギリシア文字が新たに考案されることによって、ギリシア世界全体再び文字文化が定着していくことになります。

また、こうした前古典期(アルカイック期)と呼ばれる時代には、

アテナイではソロンの立法によって民主政の基盤となる政治体制が確立され、スパルタではリュクルゴスによってスパルタ教育として知られる独特の教育制度軍国主義的な国制のあり方が確立されていくことになったほか、

古代ギリシアにおける軍制の基盤となる重装歩兵を中心とする軍隊構成のあり方が形づくられていくことになり、

歴史上の記録における古代オリンピックの起源にあたる第一回のオリンピア祭が開催されたのもこうした前古典期にあたる時代であったと考えられることになります。

そして、それに対して、

紀元前5世紀~紀元前4世紀頃まで続いていくことになる古典期(クラシック期)においては、こうした前古典期(アルカイック期)の時代においてすでに確立されていた文化や制度を基盤としたうえで、

アテナイにおいてはソクラテスプラトンアリストテレスという古代ギリシア哲学を代表する哲学者たちや、

三大悲劇詩人として知られるアイスキュロスソポクレスエウリピデス、古代ギリシア最大の喜劇詩人であるアリストファネスといった古典ギリシア文学を代表する詩人たちが登場していくことになります。

そして、こうした古代ギリシアの古典期(クラシック期)と呼ばれる時代は、

三度にわたるペルシア帝国との戦いであるペルシア戦争や、アテナイスパルタを中心とするギリシア世界全域を巻き込むペロポネソス戦争といった世界史全体を揺り動かす大きな出来事が起きていくことによって、

古代ギリシア世界人類の歴史におけるまさに中心となる舞台へと躍り出ていくことになっていった時代でもあったと考えられることになるのです。

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次回記事:古代ギリシア語におけるポリスの二つの意味の違いとプラトンの『ポリテイア』とアリストテレスの『ポリティカ』のポリス観

前回記事:エーゲ文明を代表する四つの文明の位置関係と具体的な特徴の違いのまとめ

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