人種的な区分に基づくオリンピックの五色と五大陸の対応関係②肌の色と目の色の違いに基づく関連づけと固定観念や偏見の問題
前回の記事で書いたように、18世紀後半のドイツの解剖学者であったブルーメンバッハにおける白色人種・黄色人種・褐色人種・黒色人種・赤色人種という五つの人種の分類のあり方にまでその大本の起源をたどっていくことができるような伝統的な人種の区分のあり方に基づくと、
オリンピックのシンボルにおける青・黄・黒・緑・赤の五色のうち、黄・黒・赤の三色については、
アジア=黄、アフリカ=黒、アメリカ=赤という対応関係を結んでいくことができると考えられることになるのですが、
それでは、こうした人種的な区分といった観点からは、
残りの青と緑の二色も含めたオリンピックの五色と五大陸との間には具体的にどのような対応関係を結んでいくことができると考えられることになるのでしょうか?
肌の色の違いと目の色の違いを基準としたオリンピックの五色と五大陸の対応関係
そうすると、まず、冒頭でも触れたように、
18世紀後半のドイツの解剖学者であったブルーメンバッハにおける五つの人種の分類のあり方のうちの、黄色人種・黒色人種・赤色人種という三つの人種については、
黄色人種はアジア大陸の東部に位置するモンゴル高原、黒色人種はアフリカ大陸の北東部に位置するエチオピア、赤色人種はアメリカ大陸の先住民族にあたるアメリカ・インディアンにまでそれぞれの人種の名称の由来をたどっていくことができると考えられるように、
黄色人種=アジア、黒色人種=アフリカ、赤色人種=アメリカという対応関係を結んでいくことできると考えられることになるのですが、
その一方で、
残りの青と緑の二色とヨーロッパとオセアニアという二つの地域との対応関係については、こうした人種的な区分といった観点からは明確な対応関係を結んでいくことは難しいと考えられることになります。
しかしそれでも、多少無理やりにでも関連づけを行っていくとするならば、
例えば、
ヨーロッパ人の大部分が分類されていくことになる白色人種とも呼ばれるコーカソイドについては、かつては、金髪に青い目といった固定観念的なイメージが結びつけられていくことが多かったため、
そうした肌の色の違いではなく目の色の違いに基づく人種の分類のあり方も組み合わせていくとするならば、ヨーロッパは青として位置づけられたうえで、残りのオセアニアが緑として位置づけられていくことになるといった対応関係を結んでいくことも一応できなくもないとは考えられることになるのです。
身体的な特徴の違いに基づく人種の分類における固定観念や偏見の問題
しかし、その一方で、
こうした目の色の違いといった観点に着目した場合でも、生物学的あるいは解剖学的な厳密な意味においては、白色人種あるいはヨーロッパ人と青色の目との対応関係のあり方はそこまで明確なものではなく、
実際には、
白色人種やコーカソイドにおける目の色については、バルト海を中心とする北ヨーロッパや東ヨーロッパにおいては、確かに、比較的多く青い目の人が存在すると考えられることになるものの、
その一方で、スウェーデンやノルウェーなどの北欧や、ドイツやオランダといった西ヨーロッパの諸地域においては緑色の目の人の方がどちらかというと多く存在している傾向もあり、
ロシアやフィンランドなどではグレーの目をした人が多く、さらには、黄色系統の色にあたるヘーゼル(榛色)やアンバー(琥珀色)の目をした人もいるというように、非常に多様な目の色へと分かれていってしまうことになると考えられることになります。
したがって、
こうした目の色の違いに基づいて青や緑といった特定の色と人種との対応関係を結んでいくことは、学問的な観点からあまり適切な分類のあり方ではないとも考えられることになるのですが、
その一方で、
冒頭で述べた白色人種・黄色人種・褐色人種・黒色人種・赤色人種といった肌の色の違いに基づく人種の分類のあり方についても、
実際には、白色人種やコーカソイドに分類される人々のなかでも、実際には、褐色や薄褐色に分類される肌の色の人が多く、ほぼ同じような色調は黄色人種やモンゴロイドに分類される人々などにも見られることがあるように、
そもそも、
こうしたそれぞれの人種間における肌の色や目の色などといった身体的な特徴の違いに基づく人種の分類のあり方自体が、固定観念や偏見が多く含まれる分類のあり方となっていて、
現在の時代においては学問的にはあまり正確ではない分類のあり方として位置づけられることになるとも考えられることになります。
そして、そういった意味では、
あくまでもそうした固定観念や偏見が多く含まれていると考えられる肌の色の違いや目の色の違いなどを基準とする伝統的な解釈における人種の捉え方に基づいた場合、
そうした固定観念的な理解に基づく伝統的な人種的区分におけるオリンピックの五色と五大陸との対応関係においては、
アジア=黄、アフリカ=黒、アメリカ=赤、さらには、ヨーロッパ=青、オセアニア=緑といった対応関係が結ばれていくことになると捉えていくこともできなくはないと考えられることになるのです。
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次回記事:オリンピックの公式パンフレットの記述に基づくオリンピックの五色と五大陸の対応関係とは?
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