人種的な区分に基づくオリンピックの五色と五大陸との対応関係①ブルーメンバッハによる五つの人種の分類に基づく対応関係
前回の記事で書いたように、オリンピックのシンボルにおける青・黄・黒・緑・赤の五つの輪と、ヨーロッパ・アジア・アメリカ・アフリカ・オセアニアという五大陸との地理的な観点に基づく対応関係においては、
近代オリンピックの発祥の地にあたるヨーロッパを中心とする世界地図におけるヨーロッパ・アジア・アメリカ・アフリカ・オセアニアという五大陸の配置のあり方に基づいた場合、
アメリカ=青、ヨーロッパ=黒、アジア=赤、アフリカ=黄、オセアニア=緑という対応関係が結ばれていくことになると考えられることになります。
その一方で、伝統的な解釈においては、
こうしたオリンピックの五色と五大陸との一対一の対応関係の捉え方については、白人や黒人や黄色人種といった肌の色の違いなどに基づく人種的な区分といった観点からも対応関係が結ばれていくことになると考えられることになります。
18世紀ドイツの解剖学者ブルーメンバッハによる五つの人種の分類
そうすると、まず、
白人や黒人や黄色人種といった肌の色の違いなどに基づく人種的な区分のあり方が生物学や解剖学などといった学問的な意味において確立されていくことになったのは、18世紀後半から19世紀前半の時代であったと考えられ、
そうした18世紀後半から19世紀前半のドイツの解剖学者であり、自然人類学の父としても位置づけられているヨハン・フリードリヒ・ブルーメンバッハ(Johann Friedrich Blumenbach、1752年~1840年)は、
人間の頭蓋骨の形状を計測していくことなどを通じて人種の比較研究を行っていくことによって、生物学的あるいは解剖学的な意味における人類を、
コーカシアン(Caucasian)、モンゴリアン(Mongolian)、マラヤン(Malayan)、エチオピアン(Ethiopian)、アメリカン(American)という五つの人種のあり方へと区分していくことになります。
そして、
こうしたブルーメンバッハにおける人種の区分のあり方においては、こうした五つの人種は、肌の色の違いといった観点からは、それぞれ順番に、
白色人種(white race)、黄色人種(yellow race)、褐色人種(brown race)、黒色人種(black race)、赤色人種(red race)という名称でも呼び表されていくことになるのですが、
つまり、そういった意味では、
こうしたブルーメンバッハによる五つの人種の分類のあり方が土台となっていくことによって、
その後のコーカソイドとネグロイドとモンゴロイド、あるいは、白人と黒人と黄色人種などといった現在の時代にまで通じる人種の分類のあり方が形づくられていくことになっていったと考えられることになるのです。
黄・黒・赤の三色とアジア・アフリカ・アメリカの三つの大陸との対応関係
それでは、
こうしたブルーメンバッハにおける五つの人種の分類のあり方に代表されるような伝統的な人種の区分のあり方に基づくと、オリンピックの五色と五大陸との間には具体的にどのような対応関係が結ばれていくことになるのか?ということについてですが、
それについては、まず、
こうしたブルーメンバッハによる五つの人種の分類のあり方において黄色人種としても位置づけられているモンゴリアンという人種の名称は、
東アジア北部に位置するモンゴル高原に由来することからアジア大陸との結びつきが強い人種として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、それに対して、
黒色人種としても位置づけられているエチオピアンという人種の名称は、アフリカ北東部に位置するエチオピアに由来することからアフリカ大陸との結びつきが強い人種、
赤色人種としても位置づけられているアメリカンという人種の名称は、アメリカ・インディアン、すなわち、南北アメリカ大陸の先住民族の呼び名に由来することからアメリカ大陸との結びつきが強い人種としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになります。
つまり、そういった意味では、
こうした伝統的な解釈に基づく人種的な区分といった観点からは、オリンピックのシンボルにおける青・黄・黒・緑・赤の五色のうち、黄・黒・赤の三色については、
アジア=黄、アフリカ=黒、アメリカ=赤という対応関係を結んでいくことができると考えられることになるのです。
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次回記事:人種的な区分に基づくオリンピックの五色と五大陸の対応関係②肌の色と目の色の違いに基づく関連づけと固定観念や偏見の問題
前回記事:ヨーロッパ中心の世界地図におけるオリンピックの五色と五大陸の地理的な対応関係とは?ヨーロッパ大陸中心の五大陸の配置
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