黄道帯(ゾディアック)の天球上における具体的な位置とは?黄道座標に基づく天文学的に正確な意味における黄道帯の位置づけ
前回の記事で書いたように、英語ではゾディアック(zodiac)、日本語においては黄道帯と呼ばれる言葉は、もともと、ラテン語やギリシア語といった古代ヨーロッパの言語における語源的な意味においては、
地球からの観測において夜空に広がっていくことになる十二星座に代表されるギリシア神話の登場人物や動物たちがモチーフとなった星座たちがつくる円や輪にあたる帯状の領域のことを意味する言葉であったと考えられることになるのですが、
それでは、
こうした天文学の分野において黄道帯あるいはゾディアックと呼ばれることになる帯状の領域は、具体的には天球上におけるどのような領域のことを指し示す言葉として位置づけられると考えられることになるのでしょうか?
黄道帯(ゾディアック)の天球上における位置
そうすると、まず、
太陽は、地球からの観測されることになるすべての天体がその上に配置されていくことになる天球と呼ばれる一種のプラネタリウムのような仮想的な球面の上を一年かけて一周していくことになり、
そうした天球上の太陽の年周軌道のことを指して、黄道(こうどう)という言葉が用いられることになります。
そして、一言でいうと、上記の図において示したように、
そうした天球上における太陽の通り道にあたる黄道から南北に約8度ずつ、幅にして16度ほどの帯状の領域が、こうした黄道帯あるいはゾディアックと呼ばれる領域として位置づけられることになると考えられることになるのです。
黄道座標に基づく天文学的に正確な意味における黄道帯の位置づけ
ちなみに、
ここで書いた南北に8度あるいは幅16度といった天球上における座標のことを意味する度数は、
天球上における太陽の通り道にあたる黄道を基準とした天球座標系にあたる黄道座標における位置座標のことを意味していて、
黄道座標においては、黄道と呼ばれる太陽の年周軌道にあたる大円が黄緯0度にあたる基準線として位置づけられたうえで、
そこから黄道北極における黄緯90度から、黄道南極における黄緯-90度へと全部で180度の範囲にわたって緯度が変化していくことになると考えられることになります。
したがって、より正確に言えば、上記の図において示したように、
黄道座標において、黄緯8度から黄緯-8度にあたる幅16度ほどの領域、天球上の表面を占める割合としてはだいたい10%ほどにあたる領域が、
こうした黄道帯あるいはゾディアックと呼ばれる天球上における帯状の領域の範囲として位置づけられることになると考えられることになるのです。
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次回記事:黄道帯が獣帯とも呼ばれる理由とは?十二星座のモチーフとなった動物たちと黄道帯との関係
前回記事:ゾディアックとは何か?古代ギリシア語で「小さい動物の輪」を意味する天文学における語源となる意味と十二星座との関係
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