中秋の名月と仲秋の名月の違いとは?言葉自体の意味は違うのに二つの日が暦の上ではまったく同じ日になる理由

前回の記事で書いたように、「中秋」と「仲秋」という秋の半ば頃の時期のことを意味する二つの言葉の意味においては、

前者の中秋という言葉は、旧暦の7月から9月までの秋の季節の期間のちょうど真ん中の日にあたる旧暦の815だけのことを意味するのに対して、

後者の「仲秋」という言葉は、そうした旧暦における7月と8月と9という三つの月の真ん中に位置する旧暦の8月の期間全体のことを意味することになるのですが、

その一方で、

こうした二つの言葉が用いられている「中秋の名月」と「仲秋の名月」という秋の月のことを意味する二つの表現が指し示すことになる日は、実際の暦の上ではまったく同じ日となるとも考えられることになります。

それでは、

このように、言葉自体の意味は違うのに二つの日がまったく同じ日になってしまうということには具体的にどのような理由があると考えられることになるのでしょうか?

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1日だけの「中秋」と30日間の「仲秋」という言葉自体の意味の違い

まず、冒頭でも述べたように、

こうした「中秋の名月」と「仲秋の名月」という二つの秋の月の表現のあり方の内に含まれている「中秋」と「仲秋」という二つの言葉自体の具体的な意味においては、

中秋という言葉は、旧暦の815という1日のことだけを指し示すことになるのに対して、

仲秋という言葉は、旧暦の8月の期間全体、すなわち、旧暦における81日から830日ごろまでの30日間のことを指し示すことになるというに、両者の間には明確な意味の違いが存在すると考えられることになります。

太陰太陽暦に基づく旧暦の日付においては、一月の日数は月の満ち欠けのあり方に合わせて29日間か30日間のどちらかになります。

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「中秋の名月」と「仲秋の名月」が暦の上ではまったく同じ日になる理由

そして、それに対して、

こうした「中秋の名月」と「仲秋の名月」という二つの表現のあり方のうちに共通して含まれている「名月」(めいげつ)という言葉については、この言葉は、ただ単に、美しい月優れた月のことを意味しているというわけではなく、

基本的には、

「芋名月」と「栗名月」とも並び称されている八月十五夜(じゅうごや)九月十三夜(じゅうさんや)と呼ばれる二つの日のどちらかだけを指して、こうした「名月」という表現が用いられることになると考えられることになります。

ちなみに、

こうした八月十五夜九月十三夜と呼ばれる二つの名月の日には、それぞれの季節の旬の食材として、里芋がそれぞれの日に供えられて月見をする慣習があったことから、こうした「芋名月」「栗名月」という呼称が用いられるようになっていったと考えられることになるのですが、

いずれにしても、

こうした八月十五夜九月十三夜と呼ばれる旧暦の815913に見られることになる二つの名月の日以外で美しい月が見られる日としては、

例えば、

十月の月見については旧暦の1010に見られる月が十月日夜(とおかんや)と呼ばれるように、名月という表現とは異なる表現によって月の姿が愛でられていくことになると考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

こうした「中秋の名月」と「仲秋の名月」という二つの秋の月の表現のあり方においては、

「名月」という表現によって指し示されることになる美しい月が見られる日八月十五夜九月十三夜、すなわち、旧暦の815913という二つの日のうちのどちらか一方の日に限定されることになるため、

前者の「中秋の名月」という表現において、「中秋」という言葉自体が意味する旧暦の815に見られる月のことが指し示されることになるというのは当然として、

後者の「仲秋の名月」という表現においても、「仲秋」と呼ばれる旧暦の8月の期間において見られる名月の日は、やはり、旧暦の815だけに限定されてしまうことになると考えられることになるのです。

・・・

そして、以上のような経緯から、

「中秋」と「仲秋」という二つの言葉自体には非常に明確な意味の違いがあるにもかかわらず、

こうした「中秋の名月」と「仲秋の名月」という二つの秋の月の表現は、実際の暦の上では旧暦の815というまったく同じ日に見られる美しい月の姿を意味することになるというように、

実用的な意味においては同義語にあたる表現として用いられていくようになっていったと考えられることになるのです。

・・・

次回記事:中秋の名月とは何か?旧暦の8月15日に一年で一番美しい月が見られる三つの理由

前回記事:中秋と仲秋の違いとは?「中」と「仲」という漢字自体の成り立ちに基づく二つの秋の表現における具体的な意味の違い

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