妊娠中に免疫力が低下する五つの理由とは?胎児の命を守るための意図的な細胞性免疫の低下のシステム

妊娠してから出産へと至るまでの期間、母親となる女性の免疫力が低下する傾向がある具体的な理由としては、

妊娠によって引き起こされる自分自身の身体の状態の変化周囲の環境の変化によって生じる身体的および心理的ストレスや、ホルモンバランスの乱れ

さらには、つわりによって引き起こされる吐き気や嘔吐などによる栄養不良睡眠不足といった要因が挙げられることになりますが、

こうした妊娠中に免疫力が低下する具体的な理由としては、その他にも、そもそも、母親となる女性の体内に存在する免疫細胞が胎児を異物とみなして攻撃してしまうことを防ぐために、あえて、免疫力システムの一部の機能を低下させてバランスをとっているといった点も挙げられることになります。

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胎児のを守るための意図的な細胞性免疫の低下のシステム

人間の体内には、細菌やウイルスなどの病原体に感染した細胞や、自分自身の体を構成する細胞であってもガン細胞などのように身体全体に悪影響を及ぼす危険性のある細胞を排除していくために、

そうした病原体に感染した細胞ガン細胞などの異常細胞を捕食して破壊してしまう機能を持った細胞性免疫と呼ばれる免疫システムが存在していて、

通常の場合は、

こうした細胞性免疫という免疫系のうちに分類されることになるマクロファージナチュラルキラー細胞(NK細胞)キラーT細胞といった免疫細胞たちの働きによって、

細菌やウイルスなどの病原体に対する抵抗力や免疫力の維持や、ガン細胞などの異常細胞の排除などが行われていると考えられることになります。

しかし、

こうした細胞性免疫と呼ばれる免疫システムは、病原体に感染した細胞やガン細胞などいった有害な細胞だけではなく、体内に存在している自分自身の仲間ではないと見なしたすべての細胞や異物に対して攻撃を仕掛けていくことになるため、

例えば、

臓器移植の際などにおいて生じる炎症や壊死などといった拒絶反応なども、こうしたマクロファージナチュラルキラー細胞などに代表される細胞性免疫を担う免疫細胞の働きによって引き起こされてしまうことになると考えられることになります。

そして、それと同様に、

体内に存在している胎児の存在についても、移植された臓器などの場合と同じように、自分自身の体内存在する他者の細胞、すなわち、異物あるいは異常細胞として攻撃対象とされてしまう危険性があるため、

母親の免疫システムの側が、自分自身の体内に存在する胎児の命の安全を守るために、あえて、そうした胎児に対する免疫細胞の攻撃を抑制して、細胞性免疫が低下した状態を維持しているとも考えられることになるのです。

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妊娠中に免疫力が低下する五つの具体的な理由のまとめ

以上のように、

妊娠中に免疫力が低下する具体的な理由としては、

①妊娠によって引き起こされる身体の状態の変化周囲の環境の変化によって生じる身体的および心理的ストレス

 妊娠中におけるエストロゲン(卵胞ホルモン)プロゲステロン(黄体ホルモン)といった女性ホルモンの増加と出産後の急激な減少などを中心とする体内のホルモンバランスの大きな変化と乱れ

つわり(悪阻)やその症状がさらに悪化した状態にあたる妊娠悪阻(にんしんおそ)によって引き起こされる吐き気嘔吐などが原因となることもある栄養不良

④前述した妊娠中の体内におけるホルモンバランスの乱れや、つわりの症状などにおいて現れる動悸めまいなどが原因となることもある不眠症睡眠不足

胎児の安全を守るための母体の免疫システムの側の意図的な細胞性免疫の抑制

といった全部で五つの主要な原因を挙げていくことができると考えられることになるのです。

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