回帰熱の具体的な特徴と病名の由来とは?スピロヘータに分類されるその他の代表的な細菌の種類②、らせん菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑧

前回の記事では、らせん菌と呼ばれる細菌のグループに区分されることになるスピロヘータと呼ばれる細菌の種族なかでも、

ボレリア属に分類されるスピロヘータによって引き起こされるライム病と呼ばれるマダニを媒介とする細菌感染症具体的な特徴について詳しく考察してきましたが、

こうしたボレリア属に分類されるスピロヘータによって引き起こされる代表的な細菌感染症の種類としては、その他にも、回帰熱と呼ばれる感染症の種類の名が挙げられることになります。

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回帰熱の病原体となる代表的なスピロヘータの種類

まず、こうした

回帰熱(relapsing fever、リラプシング・フィーバー)と呼ばれる感染症は、アフリカ中央アジア、さらには、アメリカヨーロッパなどといった世界各地においてみられる

マダニシラミノミといった昆虫を媒介として感染を広げていくことになる熱病あるいは細菌感染症の一種として位置づけられることになります。

そして、

こうした回帰熱と呼ばれる感染症の原因となる具体的な細菌の種類としては、

ボレリア・レクレンティス(Borrelia recurrentisと呼ばれるシラミによる媒介によって感染が引き起こされることになる4%~40といった比較的高い致死率を示すことが知られている細菌の種類や、

ボレリア・ミヤモトイ(Borrelia miyamotoiと呼ばれるマダニによる媒介によって感染が引き起こされることになる1995札幌医科大学の宮本博士により北海道で発見されたことで有名な細菌の種類などに代表されるような

少なくとも数十種類にもおよぶ細菌の種類の名が挙げられることになるのですが、

こうした回帰熱と呼ばれる感染症の原因となる病原菌はすべて、らせん菌の一種として位置づけられることになるスピロヘータと呼ばれる細菌の種族のなかでも、ボレリア属と呼ばれる細菌の種類に分類されることになるため

総称として、回帰熱ボレリアと呼ばれることになると考えられることになるのです。

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回帰熱における症状のサイクルと「回帰熱」という病名の由来

そして、

こうした回帰熱ボレリアとして総称されるスピロヘータによって引き起こされる細菌感染症である回帰熱においては、

病原体を保有しているダニによる吸血や、皮膚の表面で潰されたシラミの体液などを介して病原菌に感染したのち、

1週間ほどの潜伏期間をおいて、39度から40度を超えるような高熱を中心として、頭痛筋肉痛関節痛全身倦怠感といった症状が引き起こされることになります。

そして、その後、

そうした高熱を中心とする症状1週間ほど持続したのち、体内において病原体に対する抗体ができると、いったん平熱に戻ってしばらくは無症状の時期が続くことになるのですが、

症状がおさまってから再び1週間ほど経過すると、今度は、それまで人体の免疫細胞がつくり出す抗体の働きによって活動が抑えられていた病原体の側が抗原変異を起こすことによって、再び血中において増殖していってしまうことになり、発熱などの症状が再燃するという病態のサイクルが繰り返されていってしまうことになると考えられることになります。

そして、

こうした回帰熱と呼ばれる細菌感染症においては、上述したような高熱を引き起こす病態のサイクルが繰り返されていくなかで生じていく著しい体力の消耗や、

病状が進行していくなかで、髄膜炎脳炎肝炎心筋炎といった合併症が引き起こされてしまうことによって、

抗生物質などを用いた適切な治療が施されない場合には、致死率が3%30%にもおよぶことになるというように、極めて重篤な症状を引き起こす危険性の高い細菌感染症の種類としても位置づけられることになるため、

海外旅行などにおいて、森林や山岳地帯を訪れる際には、感染を防ぐために、長袖シャツや長ズボンの着用によって肌の露出を防いだうえで、虫除けスプレーなどを用いることによって、

回帰熱の病原体となる回帰熱ボレリアを媒介するマダニシラミノミといった昆虫との接触を避けるといった対策が、感染予防のために重要となると考えられることになります。

そして、

こうした回帰熱という病名自体の由来は、上述したように、病原体に感染して最初の症状が現れてから、一週間ほどの間隔で発熱期無熱期のサイクルが繰り返されていくことになるため、

そうした一週間ほどの無熱期の期間を過ぎると、すぐにまた発熱期へと回帰していくことになる熱病といった意味で、こうした「回帰熱」という病名がつけられることになったと考えられることになるのです。

・・・

次回記事:ワイル病およびレプトスピラ症の具体的な特徴と病名の由来、スピロヘータに分類されるその他の代表的な細菌の種類③、らせん菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑨

前回記事:ライム病の具体的な特徴と病名の由来とは?スピロヘータに分類されるその他の代表的な細菌の種類①、らせん菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑦

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