植物性の自然毒の代表的な種類とは?②ドクニンジンやチョウセンアサガオといったその他の代表的な有毒植物に含まれる毒成分
前回の記事で書いたように、日本三大有毒植物に分類されるトリカブト、ドクウツギ、ドクゼリに含まれる毒性成分の種類としては、
アコニチン、コリアミルチン、シクトキシンという三種類の植物性の自然毒の成分が挙げられることになるのですが、
こうした毒物の成分の種類以外にも、ドクニンジンやチョウセンアサガオといったその他の代表的な有毒植物に含まれる毒性成分の種類としては、以下のような毒物の種類が挙げられることになると考えられることになります。
ドクニンジンとチョウセンアサガオに含まれる毒成分の種類と引きこされる具体的な症状
④コニイン
今回の記事のはじめに取り上げるコニイン(Coniine)と呼ばれる毒成分は、かつて、古代ギリシアの哲学者であるソクラテスがアテナイの市民が下した裁定によって死刑に処されることになった時に、
ソクラテスが自らあおいだ毒杯に含まれていたとされることでも有名なドクニンジンの主要な毒成分であり、
こうしたドクニンジン(毒人参)と呼ばれる有毒植物は、別名では毒パセリと呼ばれることもあるように、主に葉の部分が毒草または医薬成分などとして用いられることになります。
そして、こうしたドクニンジンの毒成分であるコニインは、神経毒性を持った毒物として人間の神経系の働きを阻害し、中枢神経や運動神経を麻痺させたのち、さらにその作用が呼吸筋や心臓にまで及ぶことによって、心臓麻痺や呼吸不全によって人を死に至らしめていくことになる植物性の自然毒として位置づけられることになります。
⑤アトロピン、⑥スコポラミン、⑦ヒヨスチアミン
そして、その次に挙げたアトロピン(Atropine)、スコポラミン(Scopolamine)、ヒヨスチアミン(Hyoscyamine)という三つの毒性成分の種類は、どれもチョウセンアサガオやベラドンナ、マンドレイク、ヒヨス、ハシリドコロといったナス科の有毒植物の葉や根の部分に含まれている毒成分であり、
こうしたチョウセンアサガオやベラドンナといった有毒植物に含まれるアトロピンなどの毒成分は、副交感神経の働きを抑制することによって、はじめは中枢神経に対して幻覚作用を引き起こすような興奮作用を引き起こしたのち、今度は逆に神経系全体を徐々に麻痺させていくことによって、
頻脈や不整脈、体温低下といった症状から、やがて昏睡を経て呼吸麻痺へと至ることになるというより重篤な中毒症状を引き起こしていくことになると考えられることになるのです。
キョウチクトウとイヌサフランに含まれる毒成分の種類と引きこされる具体的な症状
⑧オレアンドリン
そして、その次に挙げたオレアンドリン(Oleandrin)は、竹に似た葉と桃に似た花をつけることからキョウチクトウ(夾竹桃)と呼ばれる常緑低木の園芸植物に含まれる毒成分であり、
こうしたオレアンドリンと呼ばれる毒物は、おう吐や腹痛や下痢といった消化器系を中心とする症状や、めまいや頭痛、倦怠感や手足の脱力といった中毒症状を引き起こすことになる植物性の自然毒の種類として位置づけられることになります。
⑨コルヒチン
また、その次に挙げたコルヒチン(Colchicine)は、ユリ科の多年草で秋にサフランに似た淡い紅色の六弁花をつける有毒植物であるイヌサフランの毒成分であり、
こうしたコルヒチンと呼ばれる毒物は、おう吐や下痢といった消化器系を中心とする症状のほかに、皮膚の感覚麻痺や呼吸困難といった中毒症状を引き起こすことによって、重症の場合には人を死に至らしめてしまうこともある危険な植物性の自然毒の種類として位置づけられることになるのです。
・・・
次回記事:植物性の自然毒の代表的な種類とは?③ジギタリスなどの薬用植物やスイセンやヒガンバナなどの鑑賞植物に含まれる毒物の種類
前回記事:植物性の自然毒の代表的な種類とは?①日本三大有毒植物であるトリカブト・ドクウツギ・ドクゼリに含まれる毒性成分の種類
「医学」のカテゴリーへ
「生物学」のカテゴリーへ