肺炎球菌と肺炎桿菌の違いとは?人体に対する強毒性と弱毒性の違いとグラム陽性の球菌とグラム陰性の桿菌としての特徴の違い

肺炎の原因となる病原体としては、一般的には、まず第一に肺炎球菌と呼ばれる細菌の名が挙げられることになりますが、

こうした肺炎球菌と非常に似通った名前を持つ細菌の種族としては、そのほかにも肺炎桿菌と呼ばれる細菌の名も挙げられることになります。

それでは、

こうした肺炎球菌肺炎桿菌と呼ばれる細菌の種族同士の間には、具体的などのような構造や形態の違いがあり、それぞれの細菌によって引き起こされる感染症の症状にはどのような特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか?

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肺炎球菌の具体的な特徴と肺炎球菌によって引き起こされる感染症の症状

まず、

こうした肺炎球菌と肺炎桿菌と呼ばれる細菌の種類のうちの前者である肺炎球菌(Streptococcus pneumococcus、ストレプトコッカス・ニューモニエ)とは、細菌の一般的な分類法においては、グラム陽性球菌に分類される細菌の種族であり、

それは、一言でいうと、

グラム染色において紫色に染色されるペプチドグリカンと呼ばれる高分子化合物によって構成された分厚い細胞壁の構造を持つ球形の形をした細菌の種族として位置づけられることになります。

そして、

こうした肺炎球菌と呼ばれる細菌の種族は、肺炎連鎖球菌あるいは肺炎双球菌といった名で呼ばれることもあるのですが

後述する肺炎桿菌と比べても比較的病原性が高い強毒性の細菌の種族に分類されるため、こうした肺炎球菌によって引き起こされる肺炎などの感染症を未然に防ぐため、

高齢者や乳幼児といった免疫力が低い層に対しては、肺炎球菌ワクチンと呼ばれるワクチンの予防接種が推奨されることになります。

そして、

こうした肺炎球菌によって引き起こされる感染症の具体的な症状の特徴としては、

冒頭で述べたように、市中すなわち街の中で日常生活をしていた人に突然発症する市中肺炎の最大の病因菌となるほか、

こうした肺炎球菌が耳管から中耳へと侵入して感染を広げていくことによって乳幼児などにおける急性中耳炎の原因となることや、血液を介して中枢神経系まで潜り込むことによって細菌性髄膜炎を引き起こすこともあり、

重症化していくと、最終的には、血中において持続的に感染を広げていくことによって高熱や激しい頭痛などの全身症状を引き起こす敗血症を起こす原因となる細菌の種族としても位置づけられることになるのです。

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肺炎桿菌の具体的な特徴と肺炎桿菌によって引き起こされる感染症の症状

そして、それに対して、

後者の肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae、クレブシエラ・ニューモニエ)とは、細菌の一般的な分類法においては、グラム陰性桿菌(かんきん)に分類される細菌の種族であり、

 それは、一言でいうと、

グラム染色において赤色に染色される外膜と内膜と呼ばれる二重膜構造の間に薄い細胞壁の構造を持つ細長い棒状の形をした細菌の種族として位置づけられることになります。

そして、

こうした肺炎桿菌と呼ばれる細菌の種族は、本来は、人間の腸の中に常在している腸内細菌の一つに分類される細菌の種族として位置づけられることになり、

通常の場合は、人体に対する病原性が低い弱毒性の細菌の種族に分類されることになると考えられることになります。

しかし、その一方で、

こうした肺炎桿菌と呼ばれる細菌が免疫力の低下した人に感染した場合には、腸管の内部だけではなく、肺などの呼吸器や腎臓や膀胱などの泌尿器、さらには、血液中へも感染を広げていくことによって、

肺炎尿路感染症敗血症などの原因ともなり得る日和見菌の一種としても分類されることになります。

また、

こうした肺炎桿菌と呼ばれる細菌は、抗生物質に対する耐性を獲得しやすい細菌であることも知られているため、院内感染の原因菌などとしては注意されるべき細菌の一種として位置づけられることになるのです。

・・・

以上のように、

こうした肺炎球菌肺炎桿菌と呼ばれる二つの細菌の種族は、

両方とも、人間における肺炎の原因となる可能性のある細菌の一つとして位置づけられることになるという点においては互いに共通しているものの、

前者の肺炎球菌は、グラム陽性球菌に分類される細菌であり、肺炎のほかにも急性中耳炎細菌性髄膜炎あるいは敗血症などの重篤な疾患の直接的な原因となる比較的病原性が高い強毒性の細菌の種族として位置づけられることになるのに対して、

後者の肺炎桿菌は、グラム陰性桿菌に分類される人間の腸の中に常在している腸内細菌の一種であり、免疫力の低下した人に対してのみ肺炎尿路感染症あるいは敗血症などの原因となりうる弱毒性の細菌の種族として位置づけられることになるというように、

こうした二つの細菌の種族は、

細菌自体の構造や形態そして病原性の強さの違いといった様々な点において、互いにまったく別々のグループに分類される細菌として位置づけられることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:定型肺炎と非定型肺炎の違いとは?両者の症状の具体的な特徴と原因となる代表的な病原菌の種類

前回記事:球菌と桿菌とらせん菌の違いとは?細胞の形状に基づく三つの細菌グループに分類される代表的な細菌の種類と具体的な特徴

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