抗生物質が肺炎には効いても風邪にはあまり効果がない理由とは?肺炎と風邪の原因となる病原体の違い

せきや発熱さらには呼吸困難といった呼吸器系の症状があらわれて病院を受診する場合、その症状が肺炎によるものであると診断された場合、多くのケースでは、抗生物質が処方されることになりますが、

それに対して、

その症状が単なる感冒(かんぼう)、すなわち、風邪によるものであると診断された場合、抗生物質はあまり効果がないので処方されずにすまされるケースが多くあると考えられることになります。

このように、

同じ呼吸器系の疾患である肺炎の治療に対しては抗生物質がよく用いられているにもかかわらず、肺炎よりも軽い症状であるはずの風邪の治療においてはあまり抗生物質が効かないとされるのには、具体的にどのような理由があると考えられることになるのでしょうか?

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抗生物質が肺炎には効いても風邪にはあまり効果がない理由とは?

こうした肺炎と風邪と呼ばれる二つの感染性の疾患において抗生物質の効き方に大きな違いが生じる理由としては、

一言でいうと、それぞれの感染性の原因となる病原体の種類の違いにその理由が求められることになると考えられ、

具体的には、

肺炎の原因となる病原体としては、肺炎球菌を筆頭に、インフルエンザ菌(インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスと無関係)や黄色ブドウ球菌さらにはマイコプラズマといった細菌の種類が多く挙げられることになります。

それに対して、

風邪の原因となる病原体は、多くの場合はウイルスであるとされていて、以前に「風邪の原因となる四つの代表的なウイルスの種類」の記事で詳しく考察したように、

具体的には、

鼻風邪を中心とする比較的軽い症状の風邪の原因となるライノウイルスや、冬の時期のせき風邪の原因となるコロナウイルス、夏の時期ののど風邪の原因となるアデノウイルスといったウイルスの種類が一般的な風邪の原因となる病原体の代表的な種類として挙げられることになります。

つまり、

同じ呼吸器系の疾患であるとはいっても、

細菌性の感染症であるケースが多い肺炎の場合には、細菌を標的として用いられる薬剤である抗生物質がよく効く場合が多いと考えられるのに対して、

ウイルス性の感染症であるケースが多い風邪の場合には、そうした細菌を標的として用いられる薬剤である抗生物質はほとんど効かない場合が多いといった点に、

こうした肺炎と風邪という二つの感染性の疾患において抗生物質の効き方に違いが生じる具体的な理由が求められることになると考えられることになるのです。

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ウイルス性の風邪から肺炎への進行における肺炎球菌などの細菌の二次感染の可能性

それでは、

そうしたウイルス性の風邪におけるせきや発熱といった症状がそのまま連続的に悪化していくことによって、後になって肺炎として診断されるようなケースでは、こうした抗生物質の効き方はどのように変化していくことになるのか?

といったことについてですが、

 

そうした風邪の症状が悪化してそのまま肺炎へと進行していってしまうような場合においても、その過程においては、

はじめはこうしたライノウイルスやコロナウイルスといったウイルスの感染が原因となってせきのどの痛みあるいは発熱といった風邪の症状がでていたものの、

その後、風邪をこじらせて免疫力が弱ってきたところに、肺炎球菌などの細菌が新たに感染して二次感染を広げていくことによって、より重篤な呼吸系の症状へと進展いってしまい肺炎へと進行していってしまうことになるといったケースも多々あると考えられることになります。

そして、そのようなケースにおいては、

はじめのウイルス性の風邪の段階においては効かなかった抗生物質が、その後の細菌による二次感染を経て細菌性の肺炎へと進行した段階においてはじめて効果を発揮することになるといったことも十分あり得ると考えられることになるのです。

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次回記事:風邪に抗生物質が効かない理由とは?抗生物質と抗ウイルス薬の違いと細菌性の風邪に対する予防的な抗生物質の投与の問題点

前回記事:プラズマの語源とは何か?ギリシア語におけるプラズマの意味と血漿とマイコプラズマ

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