サイ科学とは何か?古代ギリシア哲学における魂(プシュケー)の意味とギリシア語におけるΨの発音との関係
以前に「超心理学(パラサイコロジー)とは何か?」の記事で詳しく書いたように、一般的に、超心理学と呼ばれる学問の研究分野においては、
テレパシー・予知・透視・念力といった人間の心が持つ超常的な能力である超能力についての研究が進められていくことになるのですが、
広義の意味においては、その他にも、臨死体験や幽体離脱、魂の生まれ変わりや心霊現象といった人間の精神や魂が関わるすべての超常的な心理現象や精神現象のあり方がこうした超心理学における学問探究の領域へと含まれていくことになります。
そして、そうした広義における超心理学のあり方は、サイ科学という言葉によって呼び表されることもあるのですが、
それでは、こうしたサイ科学における「サイ」とは、いったいどのような意味と由来を持つ言葉であると考えられることになるのでしょうか?
古代ギリシア哲学における魂(プシュケー)の意味ととサイ科学との関係
冒頭で述べたように、サイ科学と呼ばれる学問探究の分野は、
広義における心理学のうちに含まれるテレパシー、予知、透視、念力、臨死体験、幽体離脱、魂の生まれ変わり、心霊現象といった多種多様な超常現象を研究の対象とする学問分野であると考えられることになるのですが、
こうしたサイ科学における「サイ」という言葉は、もともとは、古代ギリシア語において「魂」のことを意味するプシュケー(Ψυχή、アルファベット表記ではpsyche)という言葉に由来する言葉であると考えられることになります。
そして、
古代ギリシアの時代において、こうしたプシュケー(魂)という言葉は、人間におけるあらゆる身体的・精神的活動の根源にある究極の生命原理、
あるいは、そうした可滅的な存在としての身体の対極にある不滅なる存在としての知性のことを意味する言葉などとして捉えられていくことになり、
それは、そうした古代ギリシア哲学における形而上学的探求の主要なテーマの一つとしても位置づけられていくことになるのですが、
そういった意味では、
こうしたサイ科学と呼ばれる学問研究の分野においては、そうした古代ギリシア哲学における人間の魂についての形而上学的な探求をも視野に入れていくような形で、
人間の魂の本質についての制限のない探求が進められていくということが示唆されているとも解釈することができると考えられることになるのです。
ギリシア語におけるΨの発音からサイ科学という言葉が生まれた理由
そして、
こうしたギリシア語におけるΨυχή(プシュケー)という単語の頭文字であるΨというギリシア文字は、ギリシア語本来の読み方においては「プシー」や「プサイ」と発音されることになるのですが、
英語圏における発音では、こうしたギリシア語のΨ(psai)という文字の発音におけるはじめの「p」という破裂音の発音が、強い気息を伴わない形で発せられる無気音化していく傾向が強まっていくことによって、
ギリシア語のΨは、「プサイ」というよりは「サイ」という発音に近い形でも読まれていくことになります。
つまり、
より正確に言うならば、サイ科学における「サイ」という言葉は、そうしたギリシア語のΨの英語読みにあたる発音のあり方が直接的な語源となって用いられるようになった言葉であると考えられることになるのです。
人間の精神が持つあらゆる超常的な能力と魂の存在のすべてを解き明かそうとする学問探求の分野としてのサイ科学の定義
そして、以上のことを一言でまとめると、
サイ科学とは、
古代ギリシア語において「魂」を意味するΨυχή(プシュケー)の頭文字であるΨ(プサイ)の英語読みである「サイ」という読み方に由来する言葉であり、
それは、テレパシー・予知・透視・念力といった超能力から、臨死体験、幽体離脱、魂の生まれ変わり、心霊現象といった多種多様な超常現象をも幅広く自らの研究対象の内へと位置づけていく学問分野として定義されることになります。
そして、そういった意味では、こうしたサイ科学と呼ばれる学問分野においては、
人間の精神が持つあらゆる超常的な能力と、形而上学的な側面も含めた魂の存在のあり方のすべてを解き明かしていこうとする学問探求のあり方が示されているとも捉えることができると考えられることになるのです。
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次回記事:超心理学とサイ科学と一般的な心理学との関係とは?科学的な実証性を基準とした二段階にわたる否定と排除の関係
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