超心理学とサイ科学と一般的な心理学との関係とは?科学的な実証性を基準とした二段階にわたる否定と排除の関係
前回書いたように、テレパシー・予知・透視・念力といった超能力についての研究を中心とする超心理学と呼ばれる学問研究の分野は、
臨死体験・幽体離脱・魂の生まれ変わり・心霊現象といった多種多様な超常現象をも研究対象のうちに含む広義の意味において捉えられた場合、それはサイ科学と呼ばれる研究分野としても位置づけられていくことになるのですが、
それでは、こうした超心理学とサイ科学そして一般的な心理学との間には、より具体的にはどのような関係が成立していると考えられ、
こうした三つの学問分野のそれぞれの部門に従事している研究者たちは、一般的に、互いの研究分野における学問的探求のあり方をどのような形で評価していると考えられることになるのでしょうか?
超心理学とサイ科学の違いと科学的な実証性を基準とした両者の区分
冒頭で述べたように、サイ科学、すなわち、広義における超心理学の分野においては、テレパシー・予知・透視・念力といった超能力についての研究だけではなく、
臨死体験や幽体離脱、魂の生まれ変わりや心霊現象といった多様な超常的な心理現象のあり方がこうした超心理学と呼ばれる学問探究の分野のうちに含められていくことになると考えられるのですが、
その一方で、それとは反対に、
狭義における超心理学の研究分野である超能力についての科学的で実証的な研究を行うことを試みている研究者たちの側からは、
しばしば、こうした魂の生まれ変わりや心霊現象などのようなそれについて実証的な研究を行うことが難しい不確かな対象についての探究を行うオカルト的な要素が多い心理学のあり方は、超心理学とは区別して扱われるべきだとする考え方も提示されていくことになります。
つまり、
テレパシーや念力といった超能力の場合には、実験の対象となった人間同士、あるいは、人間と物体の間において、他の物理的手段によっては説明がつかないような情報の伝達や力の行使が行われたということを示すことによって、
間接的な形ではあるものの、そうした人間の精神が持つ超常的な能力について、ある程度実証的で科学的な検証を行うことが可能であると考えられるのに対して、
生まれ変わりや心霊現象といった超常現象について研究しようとする場合には、魂や霊といったその実体自体を測定することも検証することも不可能な存在を研究の対象として取り扱うことになるので、
そうした研究においては、通常の場合、ほかの一般的な超心理学における研究と比べても、科学的な実証性を満たさない形而上学的な議論へと終始してしまう危険性がより高まってしまうことになるとも考えられることになるのです。
そして、以上のような考え方に基づく立場に立つ場合、
こうした生まれ変わりや心霊現象などについての学問研究のあり方は、様々な超常現象全般についての研究を行うサイ科学のうちには位置づけられるものの、
それは、超心理学のうちには含まれない研究分野として位置づけられていくことになると考えられることになるのです。
一般的な心理学と超心理学とサイ科学の三者の間に成立する二段階の否定と排除の関係
以上のように、
テレパシー・予知・透視・念力といった人間の精神が持つ超能力の存在をある程度実証的な手法によって検証していこうとする狭義における超心理学の研究者たちは、
基本的には自分たちの心理学的な探究のあり方を、実証的で科学的な学問探究のあり方として位置づけていくことになるので、
通常の場合、臨死体験・幽体離脱・魂の生まれ変わり・心霊現象といった多種多様な超常現象をも自らの研究対象の内に含めようとするサイ科学における学問探究のあり方を、
科学的な実証性を満たさないで形而上学的な議論に終始してしまう危険性の高いオカルト的な要素が多い学問探究のあり方として否定あるいは排除していく傾向が強いと考えられることになります。
しかし、その一方で、
より大きな枠組みである超心理学と一般的な心理学との間においては、今度は、臨床心理学や認知心理学といった一般的な心理学の研究に従事している研究者たちの立場から見ると、
そうしたテレパシーや念力といった超能力のみを研究の対象とする狭義の意味における超心理学における学問探究のあり方についても、
結局、存在自体が不確かで疑わしい対象についての研究が行われているという点では変わらず、ある程度は実証的な検証が可能であるとはいっても、その検証のあり方は、現時点では他の力によっては説明がつかないといったあくまで間接的な証明にとどまることになるので、
一般的な心理学の立場から見ると、そうした狭義における超心理学についても、それは科学的な実証性を十分には満たさない学問探究のあり方として位置づけられてしまうことになるとも考えられることになるのです。
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以上のように、
こうした一般的な心理学と超心理学そしてサイ科学という三つの研究分野の間には、
一般的な心理学の側からは超心理学における研究のあり方が科学的な実証性を直接的には満たさない学問探究のあり方として排除され、
超心理学の側からはサイ心理学における研究のあり方が自分たちの研究よりも科学的な実証性を十分には満たさない学問探究のあり方として排除されていくというように、
二重あるいは二段階にわたる否定と排除の関係を見いだすことができると考えられることになるのです。
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次回記事:オカルトと超心理学との関係とは?一般的な意味における両者違いと根源的な意味における思想上の共通点
前回記事:サイ科学とは何か?古代ギリシア哲学における魂(プシュケー)の意味とギリシア語におけるΨの発音との関係
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