オカルトとカルトの違いとは?ラテン語の語源に基づく両者の共通点と明確な意味の違い

以前に「オカルトとは何か?ラテン語の語源とスコラ哲学との関係」の記事で詳しく書いたように、

オカルトという言葉は、もともとのラテン語の語源においては、「隠されたもの」「秘密にされたもの」といった意味を表す言葉であり、

そこには「隠された真理や知識を明らかにする」という神秘主義的で啓蒙主義的な意味合いが込められていたと考えられることになるのですが、

こうしたオカルトといった言葉と発音と表記がよく似た言葉であり、同じようなイメージを持って語られることが多い言葉としては、そのほかに、カルトという言葉も挙げることができると考えられることになります。

それでは、こうしたオカルトとカルトという二つの言葉の間には、具体的にどのような意味の共通点と相違点があると考えられることになるのでしょうか?

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カルトという言葉のラテン語における語源とカルチャーとの関係

まず、こうしたカルト(cultという言葉も、オカルト(occultという言葉と同様に、もともとはラテン語に語源を持つ言葉であり、

それは、「畑を耕すこと」、あるいは、そこから派生して人間の精神における「養成」や「修養」

さらには、宗教活動における「礼拝」や「崇拝」といった意味を持つようになっていったラテン語におけるcultio(カルティオー)という名詞や、その形容詞形にあたるcultus(カルトゥス)といった単語のうちにその大本の語源が求められることになります。

また、

こうしたラテン語のcultiocultusといった単語からは、ヨーロッパ系の言語における他の様々な単語が派生していくことになり、

例えば、

英語において「文化」や「教養」を意味する名詞であるculture(カルチャー)といった単語も上記のようなラテン語の単語に由来する言葉であると考えられることになるのです。

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オカルトとカルトの共通点と両者の間の明確な意味の違いとは?

そして、

こうしたオカルトとカルトという言葉の両者は、どちらも現代においては、科学的な知のあり方に反するような迷信や疑似科学といったあまり肯定的ではないイメージで捉えられることが多い言葉であり、

社会における常識や主流派の思想とは異なる異端の思想のあり方のことを指してこうした言葉が用いられることが多いという点では、互いに共通点が見られると考えられることになります。

しかし、その一方で、両者の間には比較的明確な意味の違いも見いだすことができると考えられ、

オカルトの場合には、それが冒頭で述べたように、もともとは「隠された真実」や「秘密の知識」といった意味を持つ言葉であったことからも分かるように、

それは基本的には、一般的な人々の考え方やとは異なる一風変わった考え方や、通常の科学的探求の対象からは外れた分野である超常現象などについての研究といった知識のあり方自体に焦点が当てられた表現となっているのに対して、

カルトの場合には、むしろ、そうした異端思想を信奉する人々の一部が、カリスマ的な教祖や指導者のもとに結集していくことによって引き起こされる熱狂的な反社会的な活動といった、

異端思想持つ人々の集団によって営まれる宗教的活動のあり方の方に焦点が当てられた表現となっていると考えられることになります。

つまり、

こうしたラテン語のcultio(耕すこと)という単語にその大本の語源を持つカルト(cultという言葉は、

人間の心を耕し、場合によっては洗脳していくことによって、人々を熱狂的で反社会的な宗教活動へと導いていくことになるという

より危険性の高い思想活動や宗教活動のあり方のことを意味する表現となっていると考えられることになり、

そういった意味では、

こうしたカルトという言葉は、より直接的な意味において社会にとって有害な思想危険な宗教のあり方のことを指す言葉であり、

 それは似たような意味を表す言葉として誤って解釈されてしまうことが多いオカルトという言葉よりも、さらに悪いイメージが強い言葉として位置づけられることになると考えられることになるのです。

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