フリーメーソンと薔薇十字団の関係とは?テンプル騎士団と薔薇十字団のフリーメーソンの上位階級における位置づけ

前々回前回の記事で書いてきたように近現代におけるオカルト思想と関係の深い思想運動や秘密結社の活動のあり方としては、

17世紀のドイツを中心に活動していたとされる薔薇十字団と呼ばれる秘密結社や、18世紀のイギリスを中心として広がっていったフリーメーソンと呼ばれる国際的な秘密結社ないし世界主義的な友愛団体の名を挙げることができると考えられることになりますが、

それでは、こうしたフリーメーソン薔薇十字団と呼ばれる二つの秘密結社の間には、具体的にどのような関係があったと考えられることになるのでしょうか?

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フリーメーソン上位階級の第18階級として「薔薇十字の騎士」の位置づけ

前々回の記事の最後の部分でも触れたように、伝説上の人物であるクリスティアン・ローゼンクロイツを始祖として位置づけていくなかで発展していった17世紀のドイツを中心とする薔薇十字団における思想運動は、

その後、フリーメーソンにおける国際的な秘密結社の活動の広がりの内へと吸収されていく形で歴史の表舞台からは消滅していったと考えられることになるのですが、

こうしたフリーメーソン薔薇十字団という二つの秘密結社の間の思想的な結びつきについては当時からしばしば言及がなされていて、

例えば、

前々回の記事においてそうした秘密結社としての薔薇十字団との関係を当時から指摘されていた代表的な人物の例として挙げたサンジェルマン伯爵カリオストロといった人物たちについても、

それと同時に、同時代のヨーロッパの人々からは、両者ともフリーメーソンの一員にもあたる人物として見なされていました。

そして、さらに、時代が19世紀へと入り、フリーメーソンの活動がより大規模になってその一部の勢力政治権力に対しても強い影響力を及ぼしていくようになると、

こうしたフリーメーソンの組織の内部においても、スコティッシュ・ライト(スコットランド儀礼)や、ヨーク・ライト(ヨーク儀礼)といったフリーメーソンの上位階級に位置づけられていた関連組織がそれぞれある程度自立的な傾向を強めていくことになるのですが、

こうしたフリーメーソンの上位階級を定める関連組織のうちの一つであるスコティッシュ・ライトにおいては、

33階級の「最高大総監」(Grand Inspector General)を最高位とする上位階級の位置づけのなかにおいて、

その17階級における「東西の騎士」(Knight of the East and West)と称されるテンプル騎士団のことを表す階級と並んで、

その18階級として「薔薇十字の騎士」(Knight Rose Croix)という名称が冠されるフリーメーソンの階級が形成されていくことになり、

さらに、こうした「東西の騎士」や「薔薇十字の騎士」といった階級は、「薔薇十字会」と呼ばれるフリーメーソン内部の組織区分のうちへと位置づけられていくことになるのです。

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近現代のフリーメーソンにおける思弁的で理性的な友愛団体への転換と組織にまつわる謎めいた秘密結社としてのイメージ

前回も書いたように、こうした近現代のヨーロッパにおいて、フリーメーソンと呼ばれる結社が国際的な秘密結社として世界各地へと広がり大規模な思想活動を展開していくことができた理由としては、

フリーメーソンがその組織の規模を拡大させていくなかで、キリスト教やユダヤ教における神秘主義の思想や理神論の思想などを組織の理念の内に幅広く取り入れていくことによって、

石工を中心とする中世の職人たちの同業組合における閉鎖的な秘密結社の段階から、より思弁的で理性的な性質を持った平和主義と国際協調を基調とする世界主義的な友愛団体へとその結社としての性質を大きく転換させていくことになっていったという点が挙げられることになるのですが、

その一方で、

こうしたフリーメーソンの組織内の階級区分の名称のなかに、現代においてはほとんど形骸化した形式的なものであるとはいえ、

テンプル騎士団薔薇十字団といった中世から近世のヨーロッパにおいて活動を繰り広げてきたとされる伝説的な騎士団や秘密結社の名がいまだに残されているといった点については、

こうしたフリーメーソンと呼ばれる国際的な友愛団体の内にも、少し謎めいたところのある秘密結社としてのイメージを見いだしていくことができるとも考えられることになるのです。

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次回記事:オカルトとカルトの違いとは?ラテン語の語源に基づく両者の共通点と明確な意味の違い

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