オバマ前大統領のマケイン上院議員の葬儀における追悼演説の対訳形式での全文和訳④マケイン流の自分自身の弱点と欠点の克服方法
< マケイン上院議員の葬儀におけるオバマ前大統領の追悼演説の全文和訳の記事へ
< オバマ前大統領のマケイン上院議員の葬儀における追悼演説の対訳形式での全文和訳③
アメリカが持つ偉大なる力と偉大なる恵みの根底にあるもの
And finally, while John and I disagreed on all kinds of foreign policy issues, we stood together on America’s role as the one indispensable nation, believing that with great power and great blessings comes great responsibility.
そして最後に、ジョンと私が外交政策上のあらゆる問題について互いの意見を異にして言い争っていた時にも、私たちはアメリカという国が世界にとって欠くことができない国として独自の役割を持つという点においては常に同じ立場に立ち続けていました。
偉大なる力と偉大なる恵みには、偉大なる責任が伴うことを信じるという点において。
※indispensable:欠くことのできない、絶対に必要な、避けることができない
That burden is borne most heavily by our men and women in uniform. Service members like Doug and Jimmy and Jack, who followed their father’s footsteps, as well as the families who serve alongside our troops.
そして、その偉大なる責務は、この国の男女が自らの身を軍服に包んだ時に最も重くのしかかることになります。
一族の人々が代々我々の軍隊をその傍らで常に支え続けてきたのと同じように、彼ら自身もその父の後を継いで軍務に就いてるダグやジミーやジャックのように。
※uniform:制服、軍服
※service:奉仕、勤め、軍務
※Doug and Jimmy and Jackとは、マケイン上院議員の息子であるダグラス・マケイン氏と、ジェームズ・マケイン氏、および、ジョン・シドニー・マケイン4世のことを指している。
But John understood that our security and influence was won not just by our military might, not just by our wealth, not just by our ability to bend others to our will, but from our capacity to inspire others, with our adherence to a set of universal values, like rule of law and human rights and an insistence on the God given dignity of every human being.
しかし、ジョンは、我々が享受している安寧とこの国の影響力の強さが、我々が持つ軍事力と富の力によってのみ勝ち取られたものではないということもよく理解していました。
それは、他の人々を我々の意志のままに屈服させる力によってのみもたらされたものではなく、
法の支配、人権、そして、神によってすべての人間に平等に与えられた尊厳をといった一連の普遍的価値に対する我々の強い信念によって他の人々を感化して奮い立たせていく力がその源にはあるということを。
※insistence:主張、強要、強調
マケイン流の自分自身の弱点と欠点の克服の方法
Of course, John was the first to tell us that he was not perfect. Like all of us who go into public service, he did have an ego. Like all of us, there was no doubt some votes he cast, some compromises he struck, some decisions he made that he wished he could have back.
もちろん、ジョンの姿からは、彼が決して完璧な人間などではないということを真っ先に物語ることもできます。
公職に就こうとする他のすべての人々と同じように、彼にもまた個人的な欲求はありましたし、他のすべての人々と同じように、彼が投じたいくつかの票は間違いなく妥協の産物であり、彼が下したいくつかの決断のなかには、彼自身もし自分がその時に戻ることができるとしたならば覆したいと思うようなものもありました。
※ego:自我、自己、自尊心
※struck:「打つ、手を打つ」といった意味を表す動詞strikeの過去形
It’s no secret, it’s been mentioned, that he had a temper. And when it flared up, it was a force of nature, a wonder to behold, his jaw grinding, his face reddening, his eyes boring a hole right through you.
これは決して秘密などではなく、昔からよく言われていたことですが、彼はとても短気な人でもありました。
彼がいったん怒りはじめると、自然の摂理に従って、不思議なことにみるみるうちにあご先が歯ぎしりでわなわなと震え出すと、その顔は赤々と燃え上がり、彼の視線が真っ直ぐにあなたを穿つことになるのです。
※have a temper:かんしゃく持ち、短気である
Not that I ever experienced it first-hand, mind you. But to know John was to know that as quick as his passions might flare, he was just as quick to forgive and ask for forgiveness. He knew more than most his own flaws and his blind spots. And he knew how to laugh at himself. And that self-awareness made him all the more compelling.
これについては残念ながら私自身は直接体験したことはないのですが、ジョンのことを深く知るようになると、彼は怒り出すのが早いのと同様に、怒っていた相手のことを許し、相手に対して許しを求めるのも早いということが分かってくるようになります。
自分自身の欠点と弱点については彼自身が一番よく分かっていて、彼はそれについて自ら笑って認めるすべをよく心得ていたのです。
そして、そうした自己認識の積み重ねが彼のことをより一層魅力的な人物へとつくり上げていくことになったのです。
※first-hand:直接の
※flaw:ひび、きず、欠点
※blind spot:盲点
※compelling:強制的な、賞賛せずにはいられない、強い興味をそそる
※awareness:気づいていること、自覚、意識
・・・
次回記事:オバマ前大統領のマケイン上院議員の葬儀における追悼演説の対訳形式での全文和訳⑤私たちは自分たちが同じチームにいることを決して疑ったことはなかった
前回記事:オバマ前大統領のマケイン上院議員の葬儀における追悼演説の対訳形式での全文和訳③ケネディ大統領の時代から続くアメリカの連帯の力の土台
このシリーズの初回記事:オバマ前大統領のマケイン上院議員の葬儀における追悼演説の対訳形式での全文和訳①最後に笑うアメリカの最も善き姿を体現する愛国者
「英語」のカテゴリーへ
「時事考察」のカテゴリーへ