古代オリンピックの由来とは?ギリシア神話における三つの起源となる物語

古代オリンピック歴史上の記録に基づく由来としては、ギリシア南部のペロポネソス半島に位置するエリス地方における古代都市の一つであったオリンピアにおいて4年に1の間隔で開催されていた古代ギリシアにおけるオリンピア祭にその直接的な起源を求めることができると考えられることになります。

そして、

こうしたオリンピア祭と呼ばれる神へと捧げられる競技の大祭においては、戦車競走短距離走砲丸投げ槍投げ、さらには、レスリングボクシングなどの格闘競技といった様々な運動競技が行われていたと考えられ、

歴史上の記録における第一回のオリンピア祭は、紀元前776にはじまったとされているのですが、

その一方で、

こうした古代ギリシアにおけるオリンピア祭、すなわち、古代オリンピック神話上の由来となる物語としては、以下で述べるようなギリシア神話における三つの物語を挙げていくことができると考えられることになります。

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古代ギリシアのオリンピア祭の由来となる第一の物語

そうすると、まず、

こうした古代ギリシアにおけるオリンピア祭の起源として位置づけられることになるギリシア神話における第一の物語としては、

オリンピア祭が開催されていたギリシアの古代都市にあたるオリンピアの英雄としても位置づけられているエリスの英雄ペロプス王女ヒッポダメイアへの求婚の物語が語られていくことになります。

自らの父であるタンタロスの手によって殺されて、神々の饗宴の糧として捧げられたのち、神々の手によって新たな命を与えられて復活を遂げた英雄ペロプスは、

海の神ポセイドンによって与えられた有翼の戦車に乗ってエーゲ海を越え、ギリシア南部のペロポネソス半島に位置するエリスの地へとたどり着くことになるのですが、

そうしたエリスの地においてペロプスは、この地を治めるオイノマオス王の娘であったヒッポダメイアという名の美しい王女と出会い、彼女に結婚を申し込むことになります。

そして、

娘のことを手放したくないオイノマオス王は、自らの父である戦の神アレスから授かった強靭な馬が引く戦車に乗って、

新たな求婚者であるペロプスに対して、自分との勝負に勝てばヒッポダメイアを妻とすることを認めることを条件として戦車競走を挑むことになるのですが、

ペロプスが乗る戦車は、今までの求婚者たちが乗っていた通常の戦車とは違い、海の神ポセイドンによって授けられた翼の生えた不死の馬が引く黄金の戦車であったため、オイノマオス王はなかなか追いつくことができず、最終的に、戦車競走はペロプスの側の勝利に終わることになります。

そして、

戦車競走に勝った英雄ペロプスは、オイノマオス王と交わした約束の言葉に従って、王女ヒッポダメイアを妻として王の座へとつき、

すぐに古代都市オリンピアを含むエリスの地を平定して、さらに半島全体へとその勢力を大きく拡大していくことによって、この半島はペロプスという彼の名をとってペロポネソス半島と呼ばれることになるのですが、

こうした、エリスの英雄、さらには、そうしたエリスの地に位置する古代都市の一つであったオリンピアの英雄としても位置づけられることになるペロプスが乗る海の神ポセイドン有翼の戦車と、オイノマオス王が乗る戦の神アレス強靭な馬が引く戦車との間で行われた戦車競走が一つの起源となることによって、

のちに、短距離走長距離走、あるいは、戦車競技などといった陸上競技が神々に対して捧げられていくことになるオリンピア祭と呼ばれる競技会のあり方が形づくられていくことになっていったとも考えられることになるのです。

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古代ギリシアのオリンピア祭の由来となる第二の物語

そして、その次に、

こうした古代ギリシアにおけるオリンピア祭の起源として位置づけられることになるギリシア神話における第二の物語としては、

ギリシア神話における半神半人の英雄として有名なヘラクレスによるエリス攻略と、双子の英雄エウリュトスとクテアトスとの戦いの物語も語られていくことになります。

ヘラクレスは、ギリシア各地へと赴いて十二の功業として知られる怪物退治の偉業を成し遂げていく途中に、エリスの王であったアウゲイアスのもとを訪れ、

王が所有する牛の10分の1を対価として受け取ることを条件に、3000頭の牛がひしめく巨大な家畜小屋一日で掃除し尽くすという難題を解決してみせることになるのですが、

報酬を支払うのが惜しくなったアウゲイアス王は、彼に対して報酬の牛を引き渡すのを拒み、ヘラクレスを自らの所領であるエリスの地から追放してしまうことになります。

そして、その後、

十二の功業を達成して自由の身となったヘラクレスは、かつて自分のことを欺いて約束を破ったアウゲイアスに対して報復するために、アウゲイアス王が治める国であるエリス攻略へと乗り出していくことになり、

この地で、エリスの将であった双子の英雄エウリュトスとクテアトスと戦い、彼らを打ち倒したのちに、エリスの市内へと進軍してこの戦いに勝利をおさめることになるのですが、

その際、

ヘラクレスは、エリス攻略の勝利を記念すると共に、この戦いで命を落とした双子の英雄であるエウリュトスクテアトス、そして、かつてこの国の礎を築いたエリスの英雄ペロプスのことを讃えて、この地にオリンポス十二神を祀る六つの祭壇を築いていくことになり、

その祭壇の近くで神々と英霊に対して捧げられる運動競技を行っていくことになったのが、古代ギリシアにおけるオリンピア祭、そして、古代オリンピックの起源となったとも語られていくことになるのです。

古代ギリシアのオリンピック競技の由来となるもう一つの物語

そして、その一方で、

そうした古代ギリシアオリンピア祭におけるオリンピック競技の起源となったとされる物語としては、

さらにもう一つ、トロイア戦争における英雄アキレウスによる親友パトロクロスの仇討ち物語も挙げられることになると考えられることになります。

トロイア王国ギリシア連合軍との間で十年もの長きにわたって行われた全面戦争であるトロイア戦争終盤の場面において、

ギリシアの英雄アキレウスの親友であったパトロクロスは、敗走しつつあるギリシア軍を窮地から救うために、トロイア軍の本陣へと向けて決死の突撃を試みたのち、

トロイア軍からの集中攻撃にあって、最後には、トロイアの総大将であるヘクトルの槍によってとどめを刺されて絶命するという壮絶な最期を遂げることになります。

そして、その後、

親友パトロクロスの仇を討つために、トロイアの将であるヘクトルとの一騎討ちの場へと赴いていった英雄アキレウスは、

その戦いに見事に勝利をおさめて、ヘクトルのことを打ち倒すことによって、友の仇を討つことになるのですが、

さらに、その後、

仇を取ったことを告げて、自らの親友であるパトロクロスの遺体を葬ったアキレウスは、ギリシア軍の勝利を記念すると共に、仲間を救う戦いのために命を捧げた英雄であるパトロクロスの霊を祀るために、

この地で、戦車競走短距離走砲丸投げ槍投げ、さらには、レスリングボクシングなどの格闘競技といった様々な運動競技を行ったとされています。

そして、そういった意味では、

こうしたギリシアの英雄アキレウスパトロクロスの死を弔うために行った死者の霊に対して捧げられた競技会のあり方が一つの神話的な起源となることによって、

古代オリンピックにおける運動競技のあり方が形づくられていったとも考えられることになるのです。

古代オリンピックの由来となるギリシア神話における三つの物語

そして、以上のように、

こうした古代ギリシアにおけるオリンピア祭、そして、古代オリンピック神話上の由来となる物語としては、

オリンピア祭が開催されていたギリシアの古代都市にあたるオリンピアの英雄としても位置づけられているエリスの英雄ペロプスの王女ヒッポダメイアへの求婚オイノマオス王との戦車競走の物語

ギリシア神話における半神半人の英雄として有名なヘラクレスによるエリス攻略双子の英雄エウリュトスとクテアトスとの戦いの物語

 トロイア戦争におけるギリシアの英雄アキレウスによる親友パトロクロスの仇討ちの物語友の霊を祀るために行われた神聖なる運動競技会

という全部で三つのギリシア神話上の由来となる物語を挙げていくことができると考えられることになるのです。

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英雄ペロプスの王女ヒッポダメイアへの求婚と戦の神アレスと海の神ポセイドンの戦車競走、オリンピア祭の古代ギリシア神話における由来②

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