英雄アキレウスによるパトロクロスの仇討ちと死者の霊に捧げられた競技会、オリンピア祭の古代ギリシア神話における由来④

前々回 と 前回の記事で書いてきたように、古代オリンピックの起源ともなった古代ギリシアにおけるオリンピア祭の由来となるギリシア神話の物語としては、

エリスの英雄ペロプス王女ヒッポダメイアへの求婚の物語や、その後の半神半人の英雄として有名なヘラクレスによるエリス攻略双子の英雄エウリュトスとクテアトスとの戦いの物語などが挙げられることになるのですが、

さらに、もう一つ、

そうした古代ギリシアオリンピア祭におけるオリンピック競技の起源となったとされる物語としては、

トロイア戦争における英雄アキレウスによる親友パトロクロスの仇討ちの物語も挙げられることになると考えられることになります。

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親友パトロクロスの壮絶な死と英雄アキレウスによる復讐の戦い

現在のトルコが位置するアナトリア地方の北西部に位置していたと考えられる古代都市国家であるトロイア王国ギリシア連合軍との間で十年もの長きにわたって行われた全面戦争であるトロイア戦争においては、

その戦いの物語のなかに登場する多くの英雄や名将たちが次々に命を落としていってしまうことになるのですが、

そうした苛烈な戦いが行われたトロイア戦争終盤の場面において、自らの弱点である踵を除いて不死身の体をもつことで名高いギリシアの英雄であったアキレウスの親友にあたるパトロクロスは、敗走しつつあるギリシア軍を窮地から救うために、トロイア軍の本陣へと向けて決死の突撃を試みることになります。

そして、

アキレウスの武具を借りてトロイア軍の本陣へと突入したパトロクロスの奮戦によって、ギリシア軍は勢いを取り戻し、トロイア軍を城内へと押し返すことに成功することになるのですが、

ただ一人、トロイア軍のまっただ中に取り残されてしまったパトロクロスは、トロイア兵によって兜を叩き落され槍は折れ鎧と盾も剥ぎ取られてしまったのち、

背後から投げつけられた投げ槍によって背中を貫かれ、最後に、トロイア軍の総大将であるヘクトルの槍によって腹を切り裂かれて絶命するという壮絶な最期を遂げることになります。

そして、

こうした自らの親友無残な最期を伝え聞いたアキレウスは、パトロクロスの遺体を目にして、彼のために復讐を果たすことを誓うことになり、

その後、

親友パトロクロスの仇を討つために、トロイアの将であるヘクトルとの一騎討ちの場へと赴いていった英雄アキレウスは、

その戦いにおいて見事に勝利を収めて、ヘクトルのことを打ち倒すと、パトロクロスが殺された時と同じように、その遺体から鎧を剥ぎ取ると、踵を自分の戦車に結びつけて引き回すことによって、トロイア軍とヘクトルへの復讐を果たすことになるのです。

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ギリシアの英雄アキレウスがパトロクロスの死を弔うために行った死者の霊に対して捧げられた競技会

そして、その後、

仇を討ったことを告げて、パトロクロスの遺体を葬ったアキレウスは、ギリシア軍の勝利を記念すると共に、仲間を救う戦いのために命を捧げた英霊であるパトロクロスの霊を祀るために、

この地で、戦車競走短距離走砲丸投げ槍投げ、さらには、レスリングボクシングといった格闘競技などといった様々な運動競技が行われていくことになったとされているのですが、

そういった意味では、

こうしたギリシアの英雄アキレウスパトロクロスの死を弔うために行った死者の霊に対して捧げられた競技会のあり方がつの神話的な起源となることによって、

古代オリンピックにおける運動競技のあり方が形づくられていったとも考えられることになるのです。

・・・

次回記事:古代オリンピックの由来とは?ギリシア神話における三つの起源となる物語

前回記事:ヘラクレスによるエリス攻略と双子の英雄エウリュトスとクテアトスとの戦い、オリンピア祭の古代ギリシア神話における由来③

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