被子植物と裸子植物の違いとは?両者を区別する五つの具体的な特徴と、それぞれに分類される植物の代表的な種類
被子植物と裸子植物の違いについて、一言でいうと、
被子植物とは、種子の元である胚珠(はいしゅ)が雌しべの子房と呼ばれる部分の中に包まれている植物のことを意味するのに対して、
裸子植物とは、子房がなく、胚珠がむき出しの状態で並んでいる植物のことを意味する概念として定義されることになります。
そして、
こうした被子植物と裸子植物の両者に分類される植物の具体的なあり方を区別する要素としては、他にもいくつかの特徴を挙げることができると考えられるのですが、
今回は、こうした被子植物と裸子植物の具体的な違いのあり方を示す五つの特徴と、両者に分類される植物の代表的な種類について詳しく考えていきたいと思います。
被子植物と裸子植物を区別する五つの具体的な特徴とは?
まず、冒頭でも述べたように、
被子植物と裸子植物を区別する第一の特徴としては、種子の元となる胚珠の形成のされ方において、
被子植物の胚珠は子房の中に包まれているのに対して、裸子植物の胚珠はむき出しの状態で並んでいるという点が挙げられることになります。
そして、
他にも、被子植物と裸子植物を識別する手がかりとなる具体的な特徴はいくつか挙げることができ、
例えば、
被子植物の花の多くは、一つの花の内に雌しべと雄しべの両方が備わった両性花であるのに対して、
裸子植物の花のほとんどすべては、一つの花の内に雌か雄のどちらか一方の性質しか備わっていない雌花と雄花を別々に咲かせる単性花へと分類されることになります。
また、
こうした被子植物の花の多くは、昆虫の媒介によって受粉を行う虫媒花や、鳥によって花粉が運ばれる鳥媒花であるのに対して、
裸子植物の花のほとんどは、風によって花粉が運ばれていくことによって受粉を行う風媒花へと分類されることになりますが、
こうしたことと関連して、一般的に、
虫媒花や鳥媒花に分類される被子植物の花は、花粉の運び手となる虫や鳥たちの目を引くために、色鮮やかで良い匂いのする大きく目立つ美しい花をつけることになりますが、
それに対して、
風によって花粉を運んでもらうため、受粉の際に虫や鳥などの助けを必要としない風媒花に分類される裸子植物の花にとっては、
虫や鳥などの動物は、基本的に自分の体や大切な種子の元となる胚珠を傷つけかねない危険な外敵に過ぎないため、
自らの内に胚珠や種子を宿している裸子植物の花たちは、一般的に、花とはいっても、色も葉っぱと変わらない緑色で、香りもほとんどしない、小さな目立たない花をつけるケースが多いと考えられることになります。
被子植物と裸子植物に分類される植物の代表的な種類とは?
ところで、ここで例えば、
被子植物に分類される植物の代表的な種類として挙げることができると考えられる植物の名前を思いつくままに片っ端から書き並べていくと、
サクラ(桜)、バラ(薔薇)、イチゴ、リンゴ、ナシ、キク(菊)、タンポポ、コスモス、ヒマワリ、ユリ(百合)、チューリップ、タマネギ、アサガオ(朝顔)、ヒルガオ、サツマイモ、アブラナ(菜の花)、キャベツ、ダイコン、ブロッコリー、エンドウ、ソラマメ、インゲンマメ、ツツジ、スイセン(水仙)、スミレ、ホウセンカ、ツユクサ、アヤメ、カキツバタ、イネ、コムギ、ライムギ、ナス、トマト、ジャガイモ、ヘチマ、キュウリ、カボチャ、スイカ、トウモロコシ、ホウレンソウ
といった植物の名が被子植物に分類される植物の代表例として挙げることができると考えられることになりますが、
それに対して、
裸子植物に分類される植物の代表的な種類としては、
イチョウ(銀杏)、ソテツ(蘇鉄)、イチイ、ネズ、カヤ、マオウ、マツ(松)、スギ(杉)、ヒノキ(檜)、トウヒ、モミ、アスナロ、メタセコイア
といった木々の名が挙げられることになります。
こうした被子植物と裸子植物の両者に分類される代表例として挙げられる植物の種類の名前を眺めていると、
被子植物の代表的な種類には、サクラ(桜)やバラ(薔薇)、キク(菊)、ユリ(百合)、チューリップ、アサガオ(朝顔)といった花屋さんでよく見かけるような観賞用の花の名前が数多くずらーっと並んでいるのに対して、
裸子植物の代表的な種類には、イチョウやマツ(松)、スギ(杉)、ヒノキ(檜)といった、花というよりは木自体の姿や、葉っぱの黄葉の様子などが鑑賞の対象となる木々の名が並んでいることからも分かるように、
前述したように、一般的に、被子植物の花は派手で目立つ花が多く、それに対して、裸子植物の花は、地味で目立たない花が多いと考えられることになるのです。
そして、最後に、
こうした被子植物と裸子植物に分類される植物の種類の数の違いについても触れておくと、
被子植物に分類される植物の種類は、現在までにおよそ28万種ほど確認されているのに対して、裸子植物に分類される植物の種類は、約800種ほどに過ぎないとされていて、
植物の種類の数の割合としては、被子植物に分類される植物の方が、裸子植物に分類される植物よりも約300倍も多く存在すると考えられることになるのです。
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以上のように、
被子植物と裸子植物の具体的な違いのあり方を示す主な特徴としては、
①被子植物の胚珠は子房の中に包まれているのに対して、裸子植物の胚珠はむき出しの状態で並んでいる。
②被子植物の花の多くが両性花であるのに対して、裸子植物の花のほとんどは単性花に分類される。
③被子植物の花の多くが虫媒花や鳥媒花であるのに対して、裸子植物の花のほとんどは風媒花に分類される。
④一般的に、被子植物の花は派手で目立つ花が多く、裸子植物の花は地味で目立たない花が多い。
⑤植物の種類の数の割合として、被子植物の方が裸子植物よりも300倍ほど多く存在する。
といった全部で五つの特徴を挙げることができると考えられることになります。
そして、
こうした被子植物と裸子植物に分類される植物の代表的な種類としては、
被子植物については、
サクラ、バラ、イチゴ、リンゴ、ナシ、キク、タンポポ、コスモス、ヒマワリ、ユリ、チューリップ、タマネギ、アサガオ、ヒルガオ、サツマイモ、アブラナ、キャベツ、ダイコン、ブロッコリー、エンドウ、ソラマメ、インゲンマメ、ツツジ、スイセン、スミレ、ホウセンカ、ツユクサ、アヤメ、カキツバタ、イネ、コムギ、ライムギ、ナス、トマト、ジャガイモ、ヘチマ、キュウリ、カボチャ、スイカ、トウモロコシ、ホウレンソウ
といった植物の種類の名前を挙げることができ、
裸子植物については、
イチョウ、ソテツ、イチイ、ネズ、カヤ、マオウ、マツ、スギ、ヒノキ、トウヒ、モミ、アスナロ、メタセコイア
といった植物の種類の名をそれぞれ挙げることができると考えられることになるのです。
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次回記事:一般的な植物(種子植物)とシダ植物やコケ植物との違いとは?両者を区別する三つの大きな相違点となる具体的な特徴
前回記事:一般的な植物の分類における性別的な区分のまとめ、種子植物・シダ植物・コケ植物・藻類における雌雄同株と雌雄異株の区分
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