一般的な植物の分類における性別的な区分のまとめ、種子植物・シダ植物・コケ植物・藻類における雌雄同株と雌雄異株の区分

このシリーズの初回から前回までの記事で書いてきたように、一般的な植物における性別的な区分のあり方については、

雌雄同株雌雄異株、そして、雌雄同花(両性花)雌雄異花(単性花)といった様々な概念が用いられることになるのですが、

こうした種子植物シダ植物コケ植物といった一般的な陸上植物における性別的な区分のあり方は、

最終的に、広義の意味における雌雄同株と雌雄異株のいずれかに分類することができると考えられることになります。

そこで、今回は、そうした種子植物シダ植物コケ植物さらには藻類といった一般的な植物の分類全般における性別的な区分のあり方について、

それぞれの分類にあてはまる植物がどのような性別的な区分に位置づけられることになるのか詳しく図示していく形でまとめていきたいと思います。

スポンサーリンク

一般的な植物の分類における性別的な区分のまとめ

種子植物シダ植物・コケ植物・藻類といった一般的な植物の分類において、それぞれの分類に属する植物が、最終的に、雌雄同株と雌雄異株のどちらに分類されることになるのか?

という一般的な植物の分類における性別的な区分のあり方についてまとめると、それは、以下のような形で図示することができると考えられることになります。

170120014 一般的な植物の分類における雌雄同株と雌雄異株の区分のまとめ

種子植物における両性花と単性花および雌雄同株と雌雄異株の区分

まず、

人間が日常的に目にする一般的な植物の代表格である種子植物においては、種子植物がつける花の性別のあり方に応じて、両性花と単性花のいずれかへと分類されることになります。

そして、

詳しくは、前回の雌雄同株と雌雄同花、雌雄異株と雌雄異花の違いのまとめの記事で考察したように、

両性花(雌雄同花に分類される植物は、一つの花の内に雄しべと雌しべという雌雄両方の性質が共存することから、必然的に広義における雌雄同株の定義にも当てはまることになるのに対して、

単性花(雌雄異花に分類される植物の方は、単性花である雌花と雄花が同一の個体に咲くのか、別々の個体に分かれて咲くのかによって、

雌花と雄花が同一の個体に咲く場合には雌雄同株へ、雌花と雄花が別々の個体に分かれて咲く場合には雌雄異株へとそれぞれ分類されていくことになります。

そして、

雌雄同株と雌雄異株という言葉は、狭義においては、こうした単性花における雌花と雄花の咲き方の分類のあり方を示す言葉として用いられることになるのですが、

広義においては、雌と雄の性質が同じ株、すなわち、同一の個体の内に共に存在するのか、それとも、別々の個体に分かれて存在するのかという

個体レベルにおける植物の性別的な分類のあり方のことを指して、雌雄同株と雌雄異株という言葉を捉えることができると考えられることになります。

シダ植物とコケ植物における雌雄同株と雌雄異株の区分

次に、

種から芽を出して花を咲かせる種子植物に対して、花を咲かせずに胞子によって繁殖するシダ植物とコケ植物における性別的な区分のあり方についてまとめていくと、

まず、

シダ植物については、

一つの配偶体(前葉体)の内に、造卵器と造精器の両方が同時に形成され、一つの個体の内に雌と雄の性質が共に備わった状態で有性生殖が行われていくことになるので、

シダ植物は、広義における雌雄同株に分類することができると考えられることになります。

それに対して、

コケ植物については、

配偶体は、造卵器だけをもつ雌株造精器だけをもつ雄株と呼ばれる別々の個体に分かれた状態で有性生殖が行われていくことになるので、

コケ植物は、広義における雌雄異株に分類することができると考えられることになります。

スポンサーリンク

藻類における性別的な区分と多様な繁殖形態のあり方

また、

こうした種子植物シダ植物コケ植物といった一般的な陸上植物の定義にあてはまらず、主に水中や湿地などで生育する植物の総称として藻類という分類がなされることになりますが、

こうした藻類という植物の分類については、それが上記の三つの植物の分類のどれにも当てはまらない植物の雑多な種族の総称として用いられていることからも分かるように、その繁殖形態も極めて多様なものとなっていて、

藻類の性別的な区分のあり方としては、雌雄同株あるいは雌雄異株の配偶子同士の有性生殖で増える種類の他に、無性生殖細胞分裂によって増殖する種類など雑多な生殖形態へと分かれていくことになります。

・・・

以上のように、

種子植物シダ植物コケ植物といった一般的な陸上植物については、それぞれの分類に属する植物における花や配偶体の形成のされ方について詳しく見ていくことによって、

比較的すっきりと雌雄同株と雌雄異株のどちらかへと分類することができると考えられることになります。

そして、

こうした陸上植物における性別的な区分のあり方にに加えて、雑多な生殖形態をもつ藻類における性別的な区分のあり方を最後に加えると、

一般的な植物の分類に含まれるあらゆる植物の種類における性別的な区分のあり方を、上記の図のような形でまとめて示すことができると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:被子植物と裸子植物の違いとは?両者を区別する五つの具体的な特徴と、それぞれに分類される植物の代表的な種類

前回記事:雌雄同株と雌雄同花、雌雄異株と雌雄異花の違いと関連性のまとめ、個体レベルと器官レベルにおける雌雄の分類のあり方

初回記事:おしべと雄花、めしべと雌花の違いとは?生物学における具体的な定義と雄花や雌花をつける植物の具体的な種類

生物学のカテゴリーへ

語源・言葉の意味のカテゴリーへ

スポンサーリンク
サブコンテンツ

このページの先頭へ