新型コロナウイルスの流行はいつ終息するのか?スペイン風邪や新型インフルなどの過去の事例と気温と湿度の条件に基づく推定
新型コロナウイルスの世界的な流行はいったいいつ頃の時期に終息することになるのだろうか?
ヨーロッパを中心とする世界各地において感染拡大がまさに進行している世界的な大流行の初期段階にある3月中旬のこの時点において終息する時期を正確に予見することは不可能だが、
その目安となる時期がどのくらいになるのかを過去の事例や気候条件などから想定しておくことは意味のあることのように思う。
気温と湿度の条件に基づく新型コロナウイルスの日本国内における流行が沈静化する時期の推定
コロナウイルスやインフルエンザウイルスといった冬の時期に呼吸器系の症状を中心とする感染症を引き起こす原因となるウイルスは、
一般的に、低温と乾燥の条件下において、最も効率良く感染を拡大していくことになり、だいたい気温では20℃、湿度では50%を超えるくらいから感染率が低下していく傾向にある。
したがって、
今回の新型コロナウイルスの流行においても、
日本国内においては一日の平均気温が20℃くらいに上がる5月下旬ごろ、そして、湿度が高くなる梅雨入りの時期にあたる6月上旬ごろにかけて感染拡大のペースが大きく低下していき、
その後の6月下旬から7月の上旬ごろまでには、たとえ完全な終息へと至ることはなかったとしても、少なくとも、いったん流行が沈静化する小休止となる時期が訪れる可能性は十分に高いと考えられる。
スペイン風邪や新型インフルエンザなどの過去の事例を参考にした新型コロナウイルスの世界的な流行の終息時期の推定
それでは、その後、
いったいどれくらいの時間が経てば、今回の新型コロナウイルスの世界的な流行は完全なる終息へと至ることになるのか?というと、
それについては、
過去の似たような特徴を持つ感染症の世界的な流行の終息へと至るまでの道筋を参考にして考えていくのが現時点においては最も適切な予測の立て方となると考えられる。
そうすると、
今回の新型コロナウイルスの流行と比べて致死率や感染拡大の規模といった点で最も近い傾向にあるのは1918年~1919年のスペイン風邪の流行であると考えられる。
スペイン風邪の世界全体における致死率は2~3%程度であったとされていて、
ヨーロッパとアジアを中心とする世界全体で当時の世界人口の4分の1にあたるおよそ5億人の感染者と、1700万人~5000万人もの死者が出ることになったと推定されている。
そして、
こうしたスペイン風邪の世界的な流行においては、
より正確には、大きく分けて、
1918年の3月ごろにはじまる第一波と、それに続く1918年の9月ごろにはじまる第二派、そして1919年の3月ごろに再びはじまることになった最後の第三派という三つの流行の波に分かれていく形で感染拡大が進行していったのち、
世界的な規模での感染拡大の副次効果としてもたらされることになる感染症からの回復者の増加による集団免疫の強化や、突然変異と自然選択によるウイルスの弱毒化などの影響によって、
1919年の9月ごろまでには世界の大部分の地域におけるスペイン風邪の流行は、ほぼ完全に終息することになったと考えられている。
つまり、
こうした人類史上最大のパンデミックとされているスペイン風邪の流行においても、その流行は長いように見えて1年半という期間の後に流行の完全なる終息へと至ることになったと考えられるのである。
また、その他にも、
例えば、WHOがパンデミック宣言を出した直近の事例にあたる2009年の新型インフルエンザの世界的流行においても、
その流行は2009年の2月下旬ごろに最初の事例が発生したのち、4月下旬ごろのWHOによる新型ウイルスの確認と、6月11日におけるパンデミック宣言を経て、
翌年の2010年の8月10日にパンデミックの終結が宣言されることによって、最初の感染例からは、やはり1年半という期間で流行の終息へと至っている。
そして、
今回の新型コロナウイルスの流行については、中国の武漢で最初の感染例が報告された2019年の12月上旬ごろを起点とした場合、その1年半後にあたる2021年の6月ごろというのが一つの終息の目安となる時期として想定されることになる。
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以上のように、
今回の新型コロナウイルスの世界的な流行は、
早ければ、日本国内を含むアジアやヨーロッパといった地域において春から夏へと向かって気温と湿度が上昇していくことになる
2020年の6月~7月ごろの時期に流行が鎮静化へと向かっていく可能性があり、
遅くても、過去の事例における流行の期間と気温や湿度といった条件の両方の観点から見て、その翌年の
2021年の6月~7月ごろまでには、流行の完全なる終息へと至る可能性が高いと考えられることになるのである。
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次回記事:アウトブレイクとパンデミックの違いとは?英語とギリシア語の語源に基づく具体的な意味の違いと感染症の流行の展開の流れ
前回記事:現在の日本が目指すべき新型コロナウイルスの終息への道筋とは?四つのパターンに基づく流行の終息までのアウトライン
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