トロピカル方式とは何か?①西洋占星術における黄道上における太陽の位置のみを基準とした黄道十二宮の領域の画定
占星術における黄道十二宮の領域の配置のあり方においては、一般的に、トロピカル方式とサイデリアル方式と呼ばれる二つの方式のうちのどちらか一方の方式が用いられることになり、
基本的に、日本における一般的な星占いにおいても広く用いられている西洋占星術においては、こうした二つの方式のうちの前者であるトロピカル方式における十二宮の領域の配置のあり方に基づいて、各個人を占うための天体の配置図にあたるホロスコープが描かれていくことになると考えられることになるのですが、
それでは、こうしたトロピカル方式と呼ばれる黄道十二宮の領域の配置のあり方は、具体的にどのような特徴をもった十二宮の領域の配置のあり方として定義することができると考えられることになるのでしょうか?
天文学的におけるトロピカルという言葉の具体的な意味とは?
そうすると、まず、
こうした占星術におけるトロピカル方式と呼ばれる黄道十二宮の領域の配置のあり方のことを意味する表現において用いられているトロピカル(tropical)という言葉は、
例えば、
南国の果物のことを指してトロピカル・フルーツ(tropical fruit)という表現や、熱帯魚のことを指してトロピカル・フィッシュ(tropical fish)といった表現が用いられることがあるように、
一般的には、
こうした英語におけるトロピカル(tropical)という言葉は、熱帯や南国といった意味を表す単語として用いられるイメージが強い言葉であると考えられることになります。
しかし、その一方で、
こうした英語におけるトロピカル(tropical)という言葉は、天文学的な意味においては、
天球上において太陽が黄道を一周していく時間の長さにあたる太陽の運行に基づく一年の期間の長さのことを指してトロピカル・イヤー(tropical year)という言葉が用いられることがあるように、
それは、天球上における太陽の通り道のことを意味する黄道と極めて関わりの深い概念として位置づけられることになると考えられることになります。
そして、
こうした英語においてはトロピカル・イヤー(tropical year)、日本語おいては太陽年または回帰年と呼ばれることになる一年の期間は、
より正確には、
天球上における太陽の通り道にあたる黄道と天の赤道との昇交点の位置にあたり、地球上においては昼の長さと夜の長さがほぼ等しくなる日にあたる春分点を太陽が通過してから再びもとの春分点の位置へと戻ってくるまでの期間として定義されることになるのですが、
天文学におけるトロピカル方式においては、まさに、そうした太陽年の基準となっている春分点の位置が基点となって、黄道十二宮の領域の配置のあり方が定められていくことになると考えられることになるのです。
トロピカル方式における黄道十二宮の具体的な配置のあり方
それでは、
こうしたトロピカル方式と呼ばれる方式においては、より具体的にはどのような形で黄道十二宮の領域の配置のあり方が定められていくことになるのか?ということについてですが、
それについては、まず、
前述したトロピカル・イヤー、すなわち、太陽年の基準となっている黄道上における春分点の位置が黄道十二宮のうちの最初の領域にあたる白羊宮のはじまりの位置として定められたうえで、
そうした春分点を基点として黄道上を30度ずつに区切ったそれぞれの領域に対して、
白羊宮、金牛宮、双児宮、巨蟹宮、獅子宮、処女宮、天秤宮、天蝎宮、人馬宮、磨羯宮、宝瓶宮、双魚宮と呼ばれる黄道十二宮における十二の領域が割り当てられていくことになると考えられることになります。
そして、
こうしたトロピカル方式に基づく黄道十二宮の領域の区分のあり方においては、そうした白羊宮から双魚宮までの十二宮に対応することになる、おひつじ座からうお座までの十二星座のそれぞれが司ることになる暦の期間については、
白羊宮に対応するおひつじ座は、春分の時期にあたる3月21日から4月19日までの30日の期間を司る星座、
金牛宮に対応するおうし座は、 4月20日から5月20日までの31日の期間を司る星座、
双児宮に対応するふたご座は、 5月21日から6月21日までの32日の期間を司る星座、
巨蟹宮に対応するかに座は、夏至の時期にあたる6月22日から7月22日までの31日の期間を司る星座、
獅子宮に対応するしし座は、7月23日から8月22日までの31日の期間を司る星座、
処女宮に対応するおとめ座は、8月23日から9月22日までの31日の期間を司る星座、
天秤宮に対応するてんびん座は、秋分の時期にあたる9月23日から10月23日までの31日の期間を司る星座、
天蝎宮に対応するさそり座は、10月24日から11月22日までの30日の期間を司る星座、
人馬宮に対応するいて座は、11月23日から12月21日までの29日の期間を司る星座、
磨羯宮に対応するやぎ座は、冬至の時期にあたる12月22日から1月19日までの29日の期間を司る星座、
宝瓶宮に対応するみずがめ座は、1月20日から2月18日までの30日の期間を司る星座、
双魚宮に対応するうお座は、2月19日から3月20日までの30日の期間を司る星座
としてそれぞれ位置づけられていくことになると考えられることになります。
そして、以上のように、
こうしたトロピカル方式と呼ばれる日本における一般的な星占いでも広く用いられている西洋占星術において採用されている黄道十二宮の配置のあり方においては、
天球上において太陽が春分点に位置することになる春分の時期にあたる3月21日から白羊宮が司る期間がはじまっていくことになるというように、
天球上における太陽の運行の基点となっている春分点や秋分点、夏至点や冬至点などといった黄道上における太陽の位置だけに基づいて十二宮の配置のあり方が定められていくことになると考えられることになるのです。
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