魚の形がキリスト教のシンボルとなった三つの理由とは?新約聖書の記述と西洋占星術と古代ギリシア語に基づく三つの説明

キリスト教においては、古くは23世紀ごろの初期キリスト教の時代から、イエス・キリストの犠牲と復活を象徴する十字架と並んで、

二本の弧を描く線の組み合わせとして描かれる横向きの魚の形キリスト教のシンボルとして用いられてきたと考えられることになるのですが、

このように、

キリスト教の象徴として魚の形が用いられていくようになっていった具体的な理由については、以下で述べるような三つの観点から説明していくことができると考えられることになります。

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古代ギリシア語で「魚」を意味すると同時にイエス・キリストの尊称のことも意味するΙΧΘΥΣ(イクスース)という言葉

そうすると、まず、詳しくは前々回の記事で書いたように、

こうしたキリスト教のシンボルとなる図形の一つとして位置づけられている二本の弧を描く線の組み合わせとして描かれる横向きの魚の形は、

古代ギリシア語において、イクトゥスまたはイクスースと発音されることになるΙΧΘΥΣという言葉によって呼び表されることになるのですが、

 こうした古代ギリシア語におけるΙΧΘΥΣという言葉は、その言葉自体の本来の意味としては、「魚」「うお座」のことを意味することになる一方で、

「神の子にして救い主なるイエス・キリスト」

 といった意味を表すことになる

ησος Χριστός Θεο Yἱός Σωτήρ
(イエスース・クリストス・セウー・フイオスソーテル)

というキリスト教の始祖であるイエス・キリストの尊称となる呼び名を構成している五つの単語の頭文字を順番につなげていくと、上述したΙΧΘΥΣという単語が形づくられることになります。

そして、

そうしたギリシア語のアルファベットの組み合わせに基づく一種の宗教的な暗号のような意味合いから、

こうした古代ギリシア語におけるΙΧΘΥΣ(イクスース)という言葉と、その言葉によって呼び表されることになる魚の形のシンボルキリスト教の象徴として用いられることになっていったと考えられることになるのです。

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「魚をとる漁師」から「人間をとる漁師」となった使徒ペトロ

また、詳しくは前回の記事で書いたように、

こうした魚とキリスト教との関係については、キリスト教の聖典にあたる新約聖書の記述からも両者の間の深い関係性を読み解いていくことができると考えられ、

例えば、

新約聖書の四福音書のうちの一つとして数え上げられているマルコによる福音書の記述おいては、

現在のイスラエルに位置するガリラヤ湖のほとりで伝道活動をはじめていくことになったイエスが、彼の最初の弟子となるシモン・ペトロと出会い、

この地で魚をとる漁師として生きていたペトロが、イエスの言葉によって「人間をとる漁師」、すなわち、神の教えによって人々を導く伝道者へと生まれ変わっていく場面が描かれていくことになります。

そして、こうしてイエスの最初の弟子となった使徒ペトロは、

師であるイエスの死後においても、迫害を受けながらもローマ帝国内において広く伝道活動を行っていくことによって初期キリスト教における教会の礎を築いていったことから、カトリック教会においては初代ローマ教皇としても位置づけられることになるのですが、

そういった意味では、

こうした初期のキリスト教の教会は、かつて魚をとる漁師であったペトロによってその礎が築かれた、言わば、漁師の手によって築かれた教会としても位置づけられることになると考えらえることになるため、

そうした観点からも、前述したような魚の形をした図形のイメージカトリックを中心とするキリスト教の教会のシンボルとして信徒たちの間で広く受け入れられていくようになっていったと考えられることになるのです。

西洋占星術におけるうお座の支配の時代とイエス・キリストの誕生

また、こうしたキリスト教やその始祖にあたるイエス・キリスト魚のイメージとの関係のあり方については、

本来、キリスト教そのものとはあまり関わりのない西洋占星術の観点からも説明していくことができると考えられることになります。

西洋占星術の土台となる天球上におけるおひつじ座やおうし座といった十二星座に対応する白羊宮や金牛宮といった黄道十二宮の区分のあり方においては、

そうした黄道十二宮の基点となる春分点の位置は、天球上における太陽の通り道にあたる黄道上を少しずつ西へと移動していくことになり、

そうした天球上における春分点の位置は、だいたい2000年ほどの期間黄道十二宮における隣の領域へと移動していくことになると考えられることになるのですが、

イエス・キリストが生まれた紀元前後の時代は、ちょうどそうした黄道十二宮の基点となる春分点の位置がおひつじ座を過ぎて現在のうお座の領域へと入っていった時期とぴったり一致することになると考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

こうしたイエス・キリストを始祖としてはじまったキリスト教という宗教は、そうした西洋占星術に基づく観点からは、

言わば、天球上におけるうお座の支配と共に世界中へと広がっていったとして位置づけられることになると考えられることになるのです。

・・・

そして、以上のように、

キリスト教の象徴として魚の形のシンボルが用いられていくようになっていった具体的な理由について、一言でまとめると、

キリスト教の始祖にあたるイエス・キリストの尊称となる「神の子にして救い主なるイエス・キリスト」という呼び名を構成している五つの単語の頭文字を順番につなげていくと古代ギリシア語において「魚」「うお座」のことを意味するΙΧΘΥΣ(イクスース)という単語が形づくられることになる。

初期のキリスト教における教会の礎を築いた人物にして初代ローマ教皇としても位置づけられる人物である使徒ペトロ新約聖書の記述に基づくともともとは魚をとる漁師であったとされている。

西洋占星術において黄道十二宮の基点となる春分点の位置がおひつじ座からうお座へと入っていくことになる天球上におけるうお座の支配の時代イエス・キリストの誕生と共にはじまっていくことになる。

という全部で三つの観点から説明していくことができると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:トロピカル方式とは何か?①西洋占星術における黄道上における太陽の位置のみを基準とした黄道十二宮の領域の画定

前回記事:イクスースとは何か?②新約聖書の「人間をとる漁師」の記述とイエスの最初の弟子にして初代教皇となった使徒ペトロとの関係

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