片利共生の具体的な仕組みとは?コバンザメとクジラにおける片利共生と同じテーブルで食事をとる小人と巨人との関係

片利共生(へんりきょうせい)とは、一言でいうと、

共生関係にある二つの種類の生物のうちどちらか一方の側だけが利益を得ていてもう一方の側は利益も害も受けていない状態のことを意味する言葉として定義することができると考えられることになります。

そして、

こうした片利共生と呼ばれる共生関係のうちに位置づけられる生態系における生物同士の具体的な関係性の代表的な例としては、

カクレウオナマココバンザメクジラといった動物同士の共生関係の例などが挙げられることになると考えられることになります。

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ナマコとカクレウオにおける片利共生の具体的な仕組み

まず、はじめに挙げた

ナマコカクレウオとの関係においては、

カクレウオ(隠れ魚)と呼ばれる体長80センチメートルくらい細長くて平らな形状をした小型の魚類は、昼間は主に海底付近で生活している底生魚の一種であるナマコの肛門に潜り込んでその腸内に隠れすむ習性があり、

その際、

サナダムシなどといった一般的な寄生虫の場合とは異なり、ナマコの腸内に隠れている間は、基本的には腸内に入ってきた栄養物を奪うこともなければ、腸内を傷つけるような悪さをすることもなく、

ただ単に自らの身を守るための洞窟のような住みかとして、そうしたナマコの腸内を利用していると考えられることになります。

そして、このように、ナマコカクレウオは、

カクレウオの側はナマコの腸内を自分の隠れ家として利用することによって利益を得ているものの、それに対して、ナマコの側は自分の腸内にカクレウオが入り込んでいることによって栄養を奪われたり腸内を傷つけられたりするといった害を受けるわけではないものの、特に何かの利益を得ているわけでもないため、

カクレウオの側だけが一方的に利益を得ているだけで、ナマコの側何の利益も害も受けていないという片利共生の関係のうちにある生物同士の組み合わせとして位置づけられることになると考えられることになるのです。

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コバンザメとクジラにおける片利共生とラテン語のコム・メンサ

また、その次に挙げた

コバンザメクジラとの関係においては、

コバンザメ(小判鮫)と呼ばれる体長80センチメートルくらい細長い形状をした小型の魚類は、背面に位置する小判形の吸盤を使ってクジラジンベイザメなどの大型の魚類の体表面に吸着したうえで、

そうした自らの共生相手であるクジラや大型の魚類が食べ残したエサのおこぼれなどにあずかることによって生活を営んでいると考えられることになります。

そして、その際、

コバンザメに張り付かれているクジラや大型の魚類の側は、コバンザメ程度の小さな生物がくっついているだけでは大して邪魔でもないものの、かといって、それによって何か得になることがあるわけでもないため、

こうしたコバンザメクジラの関係もコバンザメの側だけが一方的に利益を得ているだけで、クジラの側何の利益も害も受けていないという片利共生の関係のうちにある生物同士の組み合わせとして位置づけられることになると考えられることになります。

ちなみに、

こうした片利共生という言葉の英語の表現にあたるcommensalism(コメンサリズム)という単語の語源となった

ラテン語におけるcommensalis(コメンサリス)、あるいは、com mensa(コム・メンサ)という言葉は、もともと、「食卓を共にする」といった意味を表す言葉であったと考えられることになるのですが、

そういった意味では、

こうしたコバンザメとクジラの間に成立する片利共生の関係は、

まさに、そうした同じテーブルで食事をとっている小人と巨人との関係のようなものとして捉えることができると考えられることになります。

大飯食らいの巨人であるクジラがガツガツと食事をしている同じテーブルの隅では、小人であるコバンザメが巨人の邪魔にならないように息をひそめて巨人の皿からこぼれ落ちたパンくずを拾い集めて飢えをしのいでいるのですが、

自分の目の前に積み上げられた大量の料理を口に運ぶのに夢中な巨人の側は、そうした小人の細かい行動にはまったくの無頓着のまま、互いにそれぞれの立場で食事を続けていくことになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:片利共生と両利共生の違いとは?生態系における具体的な共生関係の例と地球上のすべての生物同士の間に成立する共生関係

前回記事:相利共生の具体的な仕組みとは?アリとアブラムシやヤドカリとイソギンチャクそして人間と腸内細菌における相利共生の具体例

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