らせん菌に分類される代表的な細菌の大きさの比較、細菌感染症の病原体となる全部で10種類のらせん菌の細胞体の長さの違い
前回の記事では、らせん菌(spirillum、スピリルム)と呼ばれる細胞の形がらせん状(螺旋状)のような形状した細菌のグループに分類される細菌の種類のなかでも、
人間に対して細菌感染症を引き起こす病原体となる代表的な10種類の細菌の種類について、それぞれの細菌によって引き起こされることになる感染症の具体的な症状や感染経路などといった点から一通りまとめて記述しましたが、
今回の記事では、こうした全部で10種類の代表的ならせん菌の種類について、
細菌の大きさ、すなわち、こうしたらせん菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになるそれぞれの細菌における細胞体の長さを互いに比べて図示していく形で、細菌の大きさの比較を行っていきたいと思います。
らせん菌に分類される10種類の代表的な細菌の大きさの比較
詳しくは、前回の記事でまとめたように、らせん菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる細菌のなかでも、人間に対する細菌感染症の病原体となる代表的な細菌の種類としては、
カンピロバクター、ピロリ菌、ハイルマニ菌、コレラ菌、ナグビブリオ、梅毒トレポネーマ、ライム病ボレリア、回帰熱ボレリア、レプトスピラ、ブラキスピラ
といった全部で10種類におよぶ代表的ならせん菌の種類の名を挙げていくことができると考えられることになるのですが、
このうち、はじめに挙げた
一般的な細菌性胃腸炎や食中毒の病原体となる細菌の一種として位置づけられることになる
カンピロバクターと呼ばれるらせん菌は、生物学的な分類においては、幅0.2~0.8マイクロメートル、長さ1~5マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の微好気性らせん菌に分類される細菌の種類として位置づけられることになります。
そして、それに対して、
その次に挙げた慢性胃炎や胃がんなどのリスクを高める要因として位置づけられることになる
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、幅0.5マイクロメートル、長さ2.5~5マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の微好気性らせん菌に分類される細菌の種類、
ハイルマニ菌(ヘリコバクター・ハイルマニ)は、幅0.6~0.7マイクロメートル、長さ3~6.5マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の微好気性らせん菌としてそれぞれ位置づけられることになります。
そして、その次に挙げた
命に関わる脱水症状を引き起こすような重症の下痢を引き起こすコレラの病原体として位置づけられることになる
コレラ菌(ビブリオ・コレラエ)は、幅0.4~0.6マイクロメートル、長さ1~3マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の嫌気性らせん菌、
そして、
そうしたコレラと非常によく似た胃腸炎の症状を引き起こすことになる病原体として位置づけられることになる
ナグビブリオは、細胞体の形状や大きさとしてはコレラ菌とほぼ同じ構造をしていると考えられるため、コレラ菌と同様に、幅0.4~0.6マイクロメートル、長さ1~3マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の嫌気性らせん菌として位置づけられることになります。
そして、
その次に挙げたスピロヘータと呼ばれるらせん菌の種族に分類されている梅毒の病原体となる細菌として位置づけられることになる
梅毒トレポネーマは、幅0.1~0.2マイクロメートル、長さ6~20マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の嫌気性らせん菌、
そして、その次に挙げた
マダニを媒介とするライム病と呼ばれる細菌感染症を引き起こす病原体として位置づけられることになる
ライム病ボレリアは、幅0.2~0.3マイクロメートル、長さ10マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の嫌気性らせん菌、
その次に挙げた
マダニやシラミ、ノミといった昆虫を媒介とする回帰熱と呼ばれる熱病を引き起こす病原体として位置づけられることになる
回帰熱ボレリアは、幅0.2~0.3マイクロメートル、長さ10マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の嫌気性らせん菌、
その次に挙げた
ネズミなどの保菌動物の尿によって汚染された水や土壌などを通じて経口感染または経皮感染するワイル病やレプトスピラ症といった細菌感染症を引き起こす病原体として位置づけられることになる
レプトスピラは、幅0.1マイクロメートル、長さ6~20マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の好気性らせん菌、
そして、最後に挙げた
人間に対して感染して消化器系疾患を引き起こすスピロヘータの種類として位置づけられることになる
ブラキスピラ・ピロシコリに代表されるブラキスピラ属に分類される細菌は、幅0.2~0.4マイクロメートル、長さ6~11マイクロメートルほどの大きさをしたグラム陰性の嫌気性らせん菌に分類される細菌の種類としてそれぞれ位置づけられることになると考えられることになるのです。
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そして、上記の図において示したように、
一般的ならせん菌の大きさは、だいたい幅0.1~1マイクロメートル、長さ1~20マイクロメートル程度の大きさをした細菌の種類が多いと考えられることになるのですが、
その一方で、
人間に対して感染する細菌の種類としては位置づけられていないものの、らせん菌の一種であるスピロヘータのなかには、
イカやタコなどといった水生の軟体動物に寄生するクリスティスピラと呼ばれる体長が100マイクロメートルを超えるようならせん菌の種類も存在していて、
こうしたスピロヘータに分類されるらせん菌の種族の最長の細胞体の大きさは、500マイクロメートルすなわち0.5mmといった肉眼でも十分に視認することが可能な大きさにまで成長する種類も存在するとも考えられています。
つまり、そうしたことを考え合わせていくと、一言でいうと、
こうしたらせん菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる細菌の具体的な大きさとしては、
体長が1~500マイクロメートル (0.001mm~0.5mm)の範囲内に収まる細菌の種類が分類されていくことになると考えられることになるのです。
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次回記事:球菌に分類される12種類の代表的な細菌の種類のまとめ、球菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑥
前回記事:らせん菌に分類される12種類の代表的な細菌の種類のまとめ、らせん菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑪
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