ビフィズス菌と乳酸菌の関係と乳幼児期から大人へと成長するまでの腸内細菌叢を占める細菌の種類の割合の変化、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑮
前回の記事では、桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類のなかでも、
枯草菌や納豆菌といった人間に対して大きな害を与えることはほとんどない一般的な常在菌の一種として分類されることになる代表的な桿菌の種類について取り上げましたが、
こうした人体に対してほとんど害をおよぼすことがなく、むしろ、有益な効果をもたらすことが多い代表的な桿菌の種類としては、その他にも、
乳酸桿菌やビフィズス菌といった桿菌の種類の名が挙げられることになると考えられることになります。
乳酸桿菌の具体的な特徴と分類される代表的な細菌の種族
以前に乳酸球菌について取り上げた記事でも考察したように、
そもそも、
糖類を養分として分解することによって乳酸をつくる働きをする細菌の総称にあたる乳酸菌と呼ばれる細菌のグループは、その形状の違いに応じて、乳酸球菌と乳酸桿菌と呼ばれる二つのグループへと分類されていくことになります。
そして、このうちの後者にあたる
乳酸桿菌には、具体的には、ラクトバチルス(Lactobacillus)や、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)といった細菌の種族に属する
だいたい幅0.5~1マイクロメートル、長さ1~2マイクロメートルくらいの大きさをしたグラム陽性の嫌気性桿菌に分類される棒状の形状をした桿菌の種類が分類されることになります。
そして、
こうした乳酸桿菌に分類されることになる様々な細菌は、以前に取り上げた乳酸球菌などと同様に、ヨーグルトやチーズ、さらには、ピクルスやキムチ、ビールやココアといった多様な発酵食品の製造に利用されることになるほか、
人間や動物の口腔内や腸内においても広く生息している人体にとって有益な働きをおよぼす腸内細菌一種としても位置づけられることになるのです。
ビフィズス菌と乳酸菌の関係と乳幼児期から大人へと成長するまでの腸内細菌叢を占める細菌の種類の割合の変化
そして、
こうした人間の体内において人体にとって有益な働きをおよぼす腸内細菌の代表的な種類としては、こうした乳酸桿菌や乳酸球菌に分類されることになるラクトバチルスやラクトコッカス、エンテロコッカスといった細菌の種類のほかに、ビフィズス菌と呼ばれる細菌の種類の名も挙げられることになると考えられることになりますが、
そもそも、
こうしたビフィズス菌という言葉は、そのラテン語における学名がビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)となっていることからも分かる通り、
前述した乳酸桿菌と呼ばれる細菌の種族の一種として位置づけられているビフィドバクテリウム属に分類される細菌のことを意味する言葉であると考えられることになります。
そして、
こうしたビフィズス菌、すなわち、ビフィドバクテリウム属に分類される乳酸桿菌は、一般的な乳酸桿菌とは異なり、増殖していく際に単なる棒状の形状ではなく、V字型やY字型などに細胞が枝分かれした特徴的な形状を示すことがあるため、
一般的な乳酸菌とは少し区別される形で、ビフィズス菌というより限定された固有の細菌の種族のことを表す名称を用いて言及されるケースが多いと考えられることになるのです。
また、
こうしたビフィズス菌と呼ばれる細菌は、母乳に多く含まれている乳糖やオリゴ糖といった一般的な食品にはあまり多く含まれていない糖類を主な栄養源として増殖していくことになるため、
母乳を与えられている乳幼児期においては体内に存在する腸内細菌の大部分を占める細菌の種類として優勢を保つことになるのですが、
離乳期を経て子供から大人へと成長していくにしたがって、人間の腸内におけるビフィズス菌の数は大きく減少していくことになり、
それに代わって、
前述した最も一般的な乳酸桿菌の種類にあたるラクトバチルスや、乳酸球菌の一種であるラクトコッカスやエンテロコッカス、
その他には、バクテロイデスや大腸菌、ウェルシュ菌に代表されるクロストリジウムといった細菌の種類が腸内細菌叢の多くの部分を占めるように変化していくことになっていくと考えられることになるのです。
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次回記事:セラチア菌とエンテロバクターの具体的な特徴と日和見感染や院内感染の原因菌としての位置づけ、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑯
前回記事:枯草菌と納豆菌の具体的な特徴と芽胞を形成する耐久性と生命力に優れた細菌の種族としての位置づけ、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑭
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