ビブリオ・バルニフィカスの具体的な特徴と人食いバクテリアと呼ばれる理由とラテン語における名称の由来、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑬

前回の記事では、桿菌と呼ばれる細菌のグループに分類されることになる代表的な細菌の種類のなかでも、

皮膚炭疽と呼ばれる炭のような色をした皮膚の病変を伴う壊死の症状が進行していくことになる感染症や、肺炭疽と呼ばれる致死率が最大で90にもおよぶような重篤な細菌感染症の原因となる炭疽菌と呼ばれる桿菌の種類の具体的な特徴について詳しく考察してきましたが、

今回の記事では、それに引き続いて、

日本においては人食いバクテリアという呼び名によっても広く知られているビブリオ・バルニフィカスと呼ばれる桿菌の種類の具体的な特徴について考察していきたいと思います。

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ビブリオ・バルニフィカスの具体的な特徴と「人食いバクテリア」と呼ばれる理由

ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificusとは、0.3マイクロメートル長さ2マイクロメートルくらいの大きさをした細胞の周囲に鞭毛や繊毛が生えた構造をした少し湾曲した棒状の形状をしたグラム陰性嫌気性桿菌に分類される細菌の一種であり、

以前に食中毒急性胃腸炎の原因菌となる細菌の種類の一つとして取り上げた腸炎ビブリオなどと同様に、ビブリオ属(Vibrioと呼ばれる桿菌の種族へと分類されることになります。

そして、

こうしたビブリオ・バルニフィカスと呼ばれる細菌は、腸炎ビブリオなどといった他のビブリオ属に分類される細菌たちと同様に、自然界では海水などの水中に広く生育する常在菌の一種としても分類されることになり、

細菌によって汚染された魚介類などの海産物を加熱の不十分な生の状態で食べた場合などに免疫力が低下している状態にある人に対して経口感染するケースがあるほか、

海岸や岩場などにおける海水浴潮干狩りなどの際に、岩や貝殻などに触れて怪我を負った場合や、エイクラゲといった海洋生物に刺された場合などに、そうした傷口などから創傷感染してしまうケースもあると考えられることになります。

そして、

こうしたビブリオ・バルニフィカスによって引き起こされる細菌感染症においては、経口感染によって腸内へと侵入していった細菌によって、腹痛下痢といった急性胃腸炎の症状が引き起こされる場合があるほか、

まれなケースではあるものの、

口や傷口から侵入した細菌によって、壊死性筋膜炎敗血症といった全身性の致死性疾患が引き起こされてしまうケースがあり、

特に、細菌が血液中において増殖していくことによって全身感染を引き起こしていく敗血症の段階にまで至ってしまった場合には、致死率が50%~70にもおよぶことになるというように、

こうしたビブリオ・バルニフィカスと呼ばれる細菌は、非常に危険性の高い細菌の種類として位置づけられることになると考えられることになります。

そして、

ビブリオ・バルニフィカスを原因とする全身性の細菌感染症においては、発症してから数時間といった極めて短い期間のうちに、手足などの組織を中心に壊死性筋膜炎の症状が急速に進行していってしまうことになり、

そうした病状の急激な進行の様子が、まるで患者の身体を細菌が一気に食い尽くしていってしまうかのように見え、

たとえ命を取り留めたとしても、壊死した組織を除去していく手術を行っていく際に、手足の切断といった重い後遺症などが残ってしまうケースも多いことから、

こうしたビブリオ・バルニフィカスと呼ばれる細菌の種族に対して、「人食いバクテリア」といった呼び名が付けられることになったと考えられることになるのです。

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ビブリオ・バルニフィカスという細菌の名称のラテン語における二つの由来

また、

こうしたビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificusという細菌自体の名称の由来については、

前者のビブリオ(vibrioは、ラテン語において「震える」「振動する」といった意味を表すvibro(ウィブロー)という動詞に由来する言葉であり、

こうしたビブリオ・バルニフィカスを含むビブリオ属に分類される細菌たちが、海中において、鞭毛や繊毛といった運動器官を使って自由に泳ぎ回る様子のことを指して、こうしたビブリオ(vibrioという言葉が用いられることになったと考えられることになります。

そして、それに対して、

後者のバルニフィカス(vulnificusとは、もともとラテン語において「傷つける」「傷を負わせる」といった意味を表す動詞であるvulnificus(ウルニフィクス)というまったく同じアルファベットの綴りの単語に由来する言葉であり、

前述したように、こうしたビブリオ・バルニフィカスを原因とする感染症においては、海中や海岸などで傷を負った場合に、傷口から細菌感染が広がっていくことによって重篤な細菌感染症の症状が引き起こされる場合があるため、

こうしたバルニフィカス(vulnificusという呼称が用いられることになったと考えられることになるのです。

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次回記事:枯草菌と納豆菌の具体的な特徴と芽胞を形成する耐久性と生命力に優れた細菌の種族としての位置づけ、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑭

前回記事:炭疽菌の具体的な特徴と「炭疽」という病名の由来と三つの病態の区分、桿菌に分類される代表的な細菌の種類とは?⑫

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