食中毒原因菌として指定されている16種類の細菌の区分とは?厚生労働省の統計資料に基づく食中毒統計の歴史
食中毒の原因となる代表的な細菌の種類としては、カンピロバクターやサルモネラ菌、黄色ぶどう球菌や病原性大腸菌、O157などの病原性大腸菌といった様々な細菌の種類が挙げられることになるのですが、
こうした食中毒の原因菌についての具体的な分類の基準のあり方としては、厚生労働省の食中毒統計において実際に使用されている食中毒の原因物質についての統計資料において用いられている病原菌についての分類のあり方が挙げられることになり、
そこでは、
以下で述べるような16種類へと分けられる細菌の種族の区分に基づく形で、食中毒の原因となる病原菌についての統計的な分類が行われていくことになります。
食中毒原因菌として指定されている16種類の細菌の区分と厚生労働省における食中毒統計の歴史
冒頭で述べたように、
厚生労働省が毎年公表している食中毒統計資料における食中毒の病因物質についての詳細な分析のなかでは、
具体的には、以下に記したような全部で16種類の細菌の区分が、食中毒の原因となる細菌の分類のあり方として提示されています。
①サルモネラ属菌
②ぶどう球菌
③ボツリヌス菌
④腸炎ビブリオ
⑤腸管出血性大腸菌(VT産生)
⑥その他の病原大腸菌
⑦ウェルシュ菌
⑧セレウス菌
⑨エルシニア・エンテロコリチカ
⑩カンピロバクター・ジェジュニ/コリ
⑪ナグビブリオ
⑫コレラ菌
⑬赤痢菌
⑭チフス菌
⑮パラチフスA菌
⑯その他の細菌
そもそも、日本において、
こうした厚生労働省(当時は厚生省)による国家規模の食中毒統計が実際に行われるようになったのは、
1949年に食中毒の届け出の義務化がなされたのち、1952年にそうした保健所などへの届け出のあった食中毒において特定された病因物質についての集計が行われるようになったのがはじまりであったと考えられることになるのですが、
こうしたはじまった当初の食中毒統計においては、コレラや赤痢といった消化器系の伝染病として位置づけられていた細菌によって発生した食中毒や、ウイルスあるいは寄生虫や原虫によって引き起こされた食中毒などは統計からは除外されていて、
サルモネラ菌とぶどう球菌というたった二つの病原菌だけが、こうした食中毒の原因となる病原菌として集計されていました。
そして、その後、
ボツリヌス菌やカンピロバクター、ナグビブリオやウェルシュ菌といった様々な細菌の種族が大規模な集団食中毒などが発生した際の病原菌として次々に特定されていくことによって、新たな細菌の種族の項目がこうした食中毒統計のうちに段階的に加えられていくことになり、
最終的に、
1999年の時点において、現在において用いられている15種類の特定の細菌の種族とその他の細菌を含めた上述したような全部で16種類の細菌の区分がすべてそろうことになったと考えられることになるのです。
その他の細菌に分類される具体的な病原菌の種類とウイルスが原因となる食中毒も含めた食中毒統計における16種類の病原体の区分
ちなみに、
こうした16種類の病原菌の区分のうちの最後に挙げられている「その他の細菌」の中には、具体的には、
リステリアやビブリオ・バルニフィカス、エンテロバクター・サカザキ、あるいは、免疫力が低下した人にのみが発症する日和見感染症を引き起こす細菌としても位置づけられる腸球菌、シトロバクター、プロテウスといった細菌の種類などが挙げられることになります。
また、
こうした厚生労働省の食中毒統計において用いられている病原体の区分のあり方については、細菌だけではなく、ウイルスが原因となる食中毒も含めた形で提示することもできますが、
その場合には、
①サルモネラ属菌
②ぶどう球菌
③ボツリヌス菌
④腸炎ビブリオ
⑤腸管出血性大腸菌(VT産生)
⑥その他の病原大腸菌
⑦ウェルシュ菌
⑧セレウス菌
⑨エルシニア・エンテロコリチカ
⑩カンピロバクター・ジェジュニ/コリ
⑪ナグビブリオ
⑫コレラ菌
⑬赤痢菌
⑭チフス菌
⑮パラチフスA菌
⑯ノロウイルス
という全部で16種類の病原体が厚生労働省の食中毒統計において実際に使用されている食中毒の原因となる代表的な細菌やウイルスの種類として位置づけられることになると考えられることになるのです。
・・・
次回記事:食中毒の六大病原体とは何か?日本国内の食中毒患者の9割を占める病原菌とウイルスについての統計学的な分析
前回記事:クラミジア肺炎の三つの分類とは?病原菌の種類の違いに基づくオウム病や性感染症としてのクラミジアとの関係
「医学」のカテゴリーへ