珪藻土の材質としての特徴と、珪藻土が原料となる日常的な生活用品の種類とは?

前回書いたように、水中で光合成を行う微生物である広義における藻類に含まれる生物の中でも、特徴的な生物体の構造を持った種族の一つとして、

珪藻と呼ばれるケイ酸質の硬い殻によって細胞が覆わた単細胞性の藻類の種族の名前が挙げられることになりますが、

こうした珪藻という広義における藻類のことを意味する言葉と関連する言葉としては、珪藻土と呼ばれる土や堆積物の種類のことを意味する言葉も挙げられることになります。

珪藻土とは、一言でいうと、

珪藻の遺骸海底や湖沼の底などに沈殿して積み重なり、堆積していくことに形成されていく珪藻の化石の集まりのようなものであると考えられることになるのですが、

こうした珪藻土と呼ばれる土や堆積物の具体的な特徴としてはどのような特徴が挙げられることになり、それは人間の日常生活においてはどのような所で利用されていると考えられるのことになるのでしょうか?

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珪藻土の主成分である二酸化ケイ素と骨の主成分となるリン酸カルシウムとの共通点と珪藻土の材質としての具体的な特徴

詳しくは前回の記事で書いたように、珪藻と呼ばれる単細胞性の藻類の生物体を覆っている殻の材質の主成分は、ケイ酸(二酸化ケイ素)と呼ばれるケイ素(珪素)の酸化物によって構成されていて、

珪藻の化石の集まりである珪藻土の主成分も、基本的には、こうした二酸化ケイ素によって構成されていると考えられることになります。

珪藻の殻の主成分となっている二酸化ケイ素は、動物などの骨の主成分となっているリン酸カルシウムなどと同様に、生物体を構成する物質としては、耐熱性と耐久性に優れた物質であり、

こうした二酸化ケイ素リン酸カルシウムの両者は、両方とも融点が1600程度であるという点や、常温では無色透明無定形物質であるといった点に共通点が見られることになるのですが、

生物体の中でも特に硬質の部分として知られるこうした成分から構成される骨や殻などの部分は、

生物体を構成していた細胞質や繊維質などの他の部分が地中において菌類や細菌などの他の生物によって分解されていくか、あるいは単なる化学変化によってそのまま風化していく中で、

長い年月を経ても、地層の中である程度原型をとどめたまま保存され続けていくケースが多くあり、

そうした微細な藻類である珪藻の殻の部分だけが残って地層の中で積み重なっていくことによって形成されていった微細な化石の集まりが、全体として、珪藻土と呼ばれる土状の堆積物を構成していくことになったと考えられることになるのです。

また、

こうした珪藻土と呼ばれる堆積物の材質としての具体的な特徴としては、前述したように、耐熱性と耐久性に優れていることのほかに、

珪藻土に含まれているケイ酸質の殻の構造は、もともとは生物体の一部でもあったため、内部に無数の中空の管が通っているような多孔質の構造となっていて、

そうした、微細な中空構造により内部で区画が細かく仕切られていることによって、断熱性や保温性、あるいは、吸水性や吸着性などにも優れた材質となっているといった点も挙げられると考えられることになります。

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珪藻土が原料となる日常的な生活用品の種類とは?

そして、

こうした珪藻土と呼ばれる藻類の微化石から成る堆積物は、その耐熱性や断熱性吸水性や吸着性といった特異的な性質を利用することによって、人間が日常生活において用いている様々な生活用品などの原料としても用いられていて、

例えば、

耐火性と保温性などを利用して、建物の建材や壁土などとして利用されることがあるほか、

吸水性や吸湿性を生かして、シリカゲルなどの乾燥材として利用されたり、入浴時に脱衣所などで用いられる風呂マットバスマットなどの敷物として利用されたりするケースもあります。

その他にも、

珪藻土は、その断熱性と保温性を生かすことによって、炭火によって煮炊きを行う土製のコンロである七輪(しちりん)の主な原料ともなっていて、

珪藻土を使用した七輪、あるいは、竈(かまど)囲炉裏(いろり)などは、前述したような珪藻土独特の微細な中空構造によって生じる優れた断熱性と保温性によって、赤外線が多く発生する熱効率が高い状態で調理を行うことができて、燃料の節約にもなるほか、

炉の内部は高温でも、中空構造によって仕切られた断熱性によって、炉の外側は比較的低温の状態のままに保たれることになるので、調理中や器具の持ち運び時における火傷の防止などにもつながっていると考えられることになるのです。

・・・

以上のように、

珪藻土と呼ばれる土や堆積物の正体とは、

珪藻という単細胞性の微細な藻類が地層の中で殻の部分だけが残っていく形で積み重なっていくことによって形成されていった微細な化石の集まりであり、

珪藻土の材質としての具体的な特徴としては、

珪藻土は、融点が1600℃程度の耐熱性と耐久性に優れた無色透明の無定形物質である二酸化ケイ素を主成分としていて、

内部に無数の中空の管が通っているような微細な中空構造が存在する多孔質の構造を持っているといった点が挙げられることになります。

そして、

こうした珪藻土と呼ばれる藻類の微化石からなる堆積物が原料となる日常的な生活用品の種類としては、

耐火性や保温性などを生かして建物の建材や壁土として利用されるケースや、吸水性や吸湿性を生かしてシリカゲルなどの乾燥材や、風呂マットバスマットなどの敷物として利用されるケースなどがあるほか、

七輪などの日本における伝統的な調理用の土製の炉などにも、こうした珪藻土と呼ばれる藻類の硬殻に由来する素材が用いられると考えられることになるのです。

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次回記事:藍藻(シアノバクテリア)とは何か?①青色の光合成色素を持つ原核生物に分類される単細胞性の微細な藻類、藻類とは何か?⑨

このシリーズの前回記事:珪藻とは何か?ケイ酸質の殻で覆われた単細胞性の藻類の種族、藻類とは何か?⑧

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