黒パンと白パンの違いとは?英語やドイツ語やフランス語では何ていうの?ライ麦パンと全粒粉の小麦粉のパンの黒さ比べ
ご飯に白米と黒米(くろごめ)の違いがあるように、
パンにも白パンと黒パンの違いがあります。
そして、
日本語における「黒米」は、
精白してないお米、すなわち、玄米のことを指す言葉であると同時に、
近年では古代米としても注目されている種皮にアントシアニン系の紫黒色素を含む
稲の古い品種のことを指す言葉ともなっていますが、
それと同様に、
英語やフランス語における「黒パン」も、
全粒粉の小麦粉のパンや、普通の精白した小麦粉のパンに黒砂糖や糖蜜、カラメルやコーヒー粉末などを混ぜて黒い色にしたパンのことを指す言葉であると同時に、
小麦とは別種のイネ科の穀物であるライ麦の粉で作った黒褐色のパンのことを示す言葉ともなっています。
英語のブラウン・ブレッドとブラック・ブレッドの違いと
ドイツ語とフランス語における「黒パン」の表記
英語において「白パン」はそのままwhite bread(ホワイト・ブレッド)と呼ばれ、精白した小麦粉で作られる普通のパンを意味する言葉ということになりますが、
これに対して、「黒パン」を意味する言葉には、
brown bread(ブラウン・ブレッド)とblack bread(ブラック・ブレッド)という二つの単語があります。
このうち、brown bread(ブラウン・ブレッド)は、
小麦粉をひいて粉にするときに、小麦の表皮や胚芽ごと粉にした全粒粉に近いパンのことを意味することになりますが、
これに対して、black bread(ブラック・ブレッド)の方は、通常は、
ライ麦(rye)をひいた粉によって作られるライ麦パンのことを意味する言葉ということになります。
つまり、まとめると、英語においては、
white bread(ホワイト・ブレッド)=精白した小麦粉で作られる普通のパン
brown bread(ブラウン・ブレッド)≒whole wheat bread(ホール・フウィート・ブレッド)=全粒粉の小麦粉のパン
black bread(ブラック・ブレッド)≒rye bread(ライ・ブレッド)=ライ麦パン
となるということです。
また、
フランス語やドイツ語における
「黒パン」に関連する単語の表記については、
フランス語における「黒パン」は、”pain“(パン)+“noir“(ノワール、黒い)で、pain noir(パン・ノワール)となり、
全粒粉のパンは、pain complet(パン・コンプレ)
※“complet“(コンプレ)は、「完全な、すべてそろった」という意味
ライ麦パンは、pain de seigle(パン・ドゥ・セーグル)
※“seigle“(セーグル)は、「ライ麦」の意味
となります。
そして、
ドイツ語における「黒パン」は、”schwarz“(シュヴァルツ、黒い)+“Brot“(ブロート、パン)で、Schwarzbrot(シュヴァルツブロート)となり、
全粒粉のパンは、Vollkornbrot(フォルコルンブロート)
※“voll“(フォル)は「完全な」、”korn“(コルン)は「穀物」の意味
ライ麦パンは、Roggenbrot(ロッゲンブロート)
※“Roggen“(ロッゲン)は、「ライ麦」の意味
となります。
ライ麦パンと全粒粉の小麦粉のパンの黒さ比べと
ドイツの黒パン、プンパーニッケル
それでは、次に、
「黒パン」と呼ばれるパンの種類のなかで、
ライ麦パンと全粒粉の小麦粉のパンとではどちらの方がより黒いのか?
という問題について考えてみたいと思います。
結局、個々のパンの黒さは、小麦やライ麦、燕麦(エンバク)といったパンの原料や、黒砂糖や糖蜜といった添加物の配合具合によって異なってくることになるのですが、
英語におけるライ麦パンの別名がblack bread(ブラック・ブレッド)であるように、もともとライ麦には、小麦よりも黒い色素が多く含まれているので、
ライ麦パンは、小麦粉で作ったパンよりも概して、色が暗く、香りが強いパンになりやすい特徴を持っているといえます。
例えば、
ドイツの伝統的なライ麦パンの一種に、プンパーニッケル(Pumpernickel)と呼ばれるライ麦粉の全粒紛90%以上で作られるパンがありますが、
このプンパーニッケルと呼ばれるライ麦パンは、真っ黒とは言わないまでも、通常の茶色よりはかなり黒さが強く、まさにこれぞ「黒パン」といったパンの色になっています。※
※プンパーニッケルの実物の写真については、例えば、ウィキペディアの姉妹サイトであるウィキメディアコモンズのhttps://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Pumpernickelなどで見ることができますが、このサイト上では、”Pumpernickel.jpg“と書いていあるのがプンパーニッケルのパンをスライスした断面の写真で、”Pumpernickel reuben “と書いてあるのが、プンパーニッケルのパンで作ったルーベンサンド(Reuben Sandwich)と呼ばれるライ麦パンにコンビーフやチーズなどを挟んでグリルしたホットサンドイッチということになります。
このように、
ライ麦パンは、通常の全粒粉の小麦粉のパンと比べても
より黒い色が強いパンになりやすく、
ライ麦パンと全粒粉の小麦粉のパンのパンの黒さ比べでは、全体的な傾向としては、
ライ麦パンの方に軍配が上がると考えられることになるのです。
・・・
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