ウイルスの語源とは?ラテン語において「毒液」のことを意味する言葉と「感染性の体液」としてのウイルスの感染経路

風邪や肺炎などといった感染症を引き起こす原因となる代表的な病原体の種類としては、ウイルスや細菌などが挙げられることになりますが、

このうち、細菌よりもさらに微小な病原体のことを意味するウイルスという言葉は、もともとどのような語源を持つ言葉であると考えられることになるのでしょうか?

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ラテン語において「毒液」のことを意味するvirus(ウィールス)

そうすると、まず、ウイルスという言葉は、

ラテン語において「毒」や「粘液」「悪臭」や「苦味」といった意味を表すvirus(ウィールス)という名詞にその直接的な語源が求められることになると考えられ、

こうしたラテン語におけるvirus(ウィールス)という単語は、もともとは、スライムのようにぬるぬるとした粘液ゲル状の物質といったイメージを持つ言葉であったと考えられることになります。

つまり、そういった意味では、

ウイルスという言葉は、こうしたラテン語における語源となる意味に基づくと、もともとは、毒性を持ち悪臭を放つような粘液状の物質、すなわち、「毒液」のことを意味する言葉であったと考えられることになるのです。

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病原体としてのウイルスの発見までの微生物学の歴史と「感染性の体液」としてのウイルスの感染経路

そして、それに対して、

病原体としてのウイルスの発見までの微生物学の歴史においては、まずは、

1892に、ロシアの微生物学者であったドミトリー・イワノフスキーによって、タバコモザイク病と呼ばれる植物の感染症の病原となる液体が、通常の細菌濾過器を通過しても感染性を失わないことが発見されたことで、

光学顕微鏡では観察できない通常の細菌よりも微小な病原体の存在が示唆されることになります。

そして、その後、

1898に、オランダ微生物学者であったマルティヌス・ベイエリンクタバコモザイク病について行った同様の研究において、この未知なる微小な病原体のことを指して、

ラテン語「生命を持った感染性の液体」といった意味を表すContagium vivum fluidum(コンタギウム・ウィウウム・フルイドゥム)という言葉で呼び、

のちに、それが「感染性の体液」といった意味で、同じくラテン語におけるvirus(ウィールス)という言葉で呼び表されていくようになることによって、

こうした細菌よりも微小な病原体のことを意味する概念としてのウイルスという言葉が定着していくことになっていったと考えられることになるのです。

・・・

そして、前述したように、

こうしたウイルスと呼ばれる微小な病原体発見者の一人としても位置づけられるベイエリンク自身は、ウイルスのことを感染性の液体として捉えていたと考えられるのですが、

その後の微生物学の研究によって、こうしたウイルスと呼ばれる病原体は、電子顕微鏡によってしか見ることができない微細な構造をしてはいるものの、

カプシドと呼ばれるタンパク質の殻や、エンベロープと呼ばれる膜状の構造によって覆われた粒子状の構造をした病原体であることが明らかとなっていくことになります。

しかし、その一方で、

インフルエンザウイルスコロナウイルスなどといった多くのウイルスは、感染者の咳やくしゃみなどといった感染性の体液を介した飛沫感染接触感染などによって感染を広げていくことになると考えられるので、

そういった意味では、

ラテン語において「毒液」のことを意味するvirus(ウィールス)という言葉をこうした感染性の体液を通じて感染を広げていくことを主な特徴とする微小な病原体のことを意味する呼び名として用いていくことになったのは、

病原体としてのウイルスの本質をよく捉えた表現となっているとも考えられることになるのです。

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次回記事:ウイルスはどのような形をしているのか?球形やレンガ型や糸状や棒状といった代表的なウイルスの形状の種類のまとめ

前回記事:感染の成立にはどれくらいのウイルス粒子の数が必要なのか?インフルエンザウイルスやノロウイルスの感染に必要なウイルス量

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