ウイルスはどのような形をしているのか?球形やレンガ型や糸状や棒状といった代表的なウイルスの形状の種類のまとめ
ウイルスとは、単独では生命活動を営むことができずに、生きた細胞に寄生することによって自己複製と増殖を行っていく細菌よりもさらに小さな微小な病原体のことを意味する言葉ですが、
こうしたウイルスと呼ばれる微小な病原体たちは、具体的にどのような形をしていると考えられることになるのでしょうか?
球形やレンガ型、糸状やひも状や多形性といった様々な形をしたウイルスの種類が含まれるエンベロープウイルス
そうすると、まず、
こうしたウイルスと呼ばれる微小な病原体は、構造や形状という観点からは、
カプシドと呼ばれるタンパク質の殻の外側にエンベロープと呼ばれる膜構造を持つかどうかで、ウイルスそのものの全体的な構造や形状が大きく異なっていくことになります。
そして、こうしたエンベロープと呼ばれる膜構造を持つウイルスのうち、
風邪や肺炎などの呼吸器系の疾患の原因となるインフルエンザウイルスやコロナウイルス、さらには、ヘルペスウイルスやHIVウイルスやB型肝炎ウイルスなどといった多くのウイルスは、
正20面体のカプシドがエンベロープの膜によって包まれた球形の形状をしていると考えられることになります。
そして、それに対して、同じくエンベロープを持つウイルスのなかでも、
天然痘ウイルスや牛痘ウイルスといった比較的大きめのサイズのウイルスたちは、球形というよりはどちらか一方に膨らんだレンガ型あるいは卵形の形状をしている場合が多いと考えられることになります。
そして、それに対して、
こうしたエンベロープを持つウイルスのなかには、基本的には球形の形態をしていることが多いものの、はっきりとして形が決まっていない多形性を示すウイルスの種類も数多く含まれていて、
例えば、
麻疹(はしか)の原因となる麻疹ウイルスや、おたふく風邪の原因となるムンプスウイルスなどのパラミクソウイルス科に属するウイルスの種類などがそうした球形または多形性の形態をとるウイルスの代表的な種類として挙げられることになります。
また、その他にも、
エボラ出血熱の原因となるエボラウイルスや、マールブルグ熱の原因となるマールブルグウイルスなどが含まれるフィロウイルス科に属するウイルスなどは、非常に細長い糸状またはひも状の形状をしていると考えられることになるのです。
球形の形状が多いエンベロープを持たないウイルスと棒状の形状をしたタバコモザイクウイルス
そして、それに対して、
エンベロープと呼ばれる膜構造を持たないウイルスの場合は、多くの場合、タンパク質の殻である正20面体のカプシドがむき出しになった全体としては球形の形状をしていることが多いと考えられ、
そうしたエンベロープを持たない球形の形状をした代表的なウイルスとしては、
風邪や咽頭炎の原因となるアデノウイルスや、胃腸炎や食中毒の原因となるノロウイルスやロタウイルス、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスなどといったウイルスの種類が挙げられることになります。
しかし、その一方で、
こうしたエンベロープを持たないウイルスの中でも、比較的変わった形状したウイルスの種類も存在していて、
タバコなどの葉にモザイク状の斑点ができて葉の成長が悪くなる植物の感染症であるタバコモザイク病の原因となるタバコモザイクウイルスなどは、細長い棒状の形状をしていると考えられることになるのです。
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以上のように、
ウイルスと呼ばれる微小な病原体の具体的な形状のあり方について、
一言でまとめると、
基本的には、インフルエンザウイルスやコロナウイルス、ヘルペスウイルスやHIVウイルスやB型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルスなどといった大多数のウイルスは球形の形状をしているのに対して、
レンガ型あるいは卵形の形状をしている天然痘ウイルスや牛痘ウイルス、形が決まっていない多形性の形態をとることがある麻疹ウイルスやムンプスウイルス、非常に細長い糸状またはひも状の形状をしているエボラウイルスやマールブルグウイルス、そして、細長い棒状の形状をしているタバコモザイクウイルスなどのように、
ウイルスの代表的な形の種類としては、
球形のほかにもレンガ型や卵形、多形性の形態、さらには、非常に細長い糸状やひも状、棒状の形状といった多様な形をしたウイルスの種類が存在すると考えられることになるのです。
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次回記事:エンベロープウイルスの具体的な特徴とウイルス感染の仕組みとは?エンベロープの語源と宿主細胞の生体膜に由来する膜構造
前回記事:ウイルスの語源とは?ラテン語において「毒液」のことを意味する言葉と「感染性の体液」としてのウイルスの感染経路
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