スペイン風邪の第一波と第二波と第三波の具体的な時期と特徴の違いと流行の開始から終息までの実質的な期間
人類の歴史上における最大規模のパンデミックを引き起こすことになったスペイン風邪の世界的な大流行においては、
1918年~1919年の2年間にわたってヨーロッパとアジアを中心とする世界各地でウイルスが猛威を振るい続け、当時の世界人口の4分の1にあたるおよそ5億人の感染者と5000万人の死者を出したと推定されていますが、
こうしたスペイン風邪の世界的な流行は、大きく分けて、
1918年の春にはじまる第一波、
1918年の秋にはじまる第二派、
1919年の春にはじまる第三派、
という三つの流行の波に分かれていく形で感染の拡大が段階的に進行していくことになったと考えられることになります。
スペイン風邪の流行の始まりから終息までの歴史
そうすると、まず、
スペイン風邪の最初の流行は1918年の3月ごろにカンザス州を中心とするアメリカの中西部において始まったと考えられていて、
その後、ヨーロッパ大陸へと上陸したスペイン風邪は、1918年8月ごろにフランス西部の港湾都市であったブレスト近郊においてより致死率の高い強毒性のウイルスへと変異したのちに、
1918年9月ごろから、この感染症の名前の由来となったスペインを含むヨーロッパ全土やアジア地域を中心とする世界全体へと感染を拡大していくことになります。
そして、その後、
その翌年の1919年の1月ごろの1か月ほどの小休止の時期を経て、
1919年の3月ごろからは、再び、日本や中国といったアジア地域を中心に流行の拡大の波が訪れたと考えられていて、それ以降も世界各地において小規模な流行は散発的には見られたものの、
1919年の秋を過ぎるころになると、そうした散発的な流行も通常の季節性のインフルエンザの流行へとその座をゆずるようにして徐々に姿を消していくことによって、
スペイン風邪の流行は終息へと至ることになっていったと考えられることになるのです。
スペイン風邪の第一波と第二波と第三波の具体的な時期と特徴の違い
そして、
こうした1918年~1919年のスペイン風邪の世界的な流行における三つの流行の波の具体的な時期とそれぞれの時期における流行の特徴の違いについて、
一つずつまとめて書いていくと、
第一波の流行は、1918年の3月~8月ごろまで続き、残りの二つの流行の波と比べると致死率は低く、通常の季節性のインフルエンザの場合よりも少し症状の重い風邪といった程度であったと考えられ、
こうした第一の流行の波は、アメリカの中西部においてはじまり、その後、イギリスやフランス、ドイツやイタリアといったヨーロッパ諸国へと流行が広がっていったと考えられることになります。
そして、その次の
第二波の流行は、1918年の9月~12月ごろまで続くことになるのですが、こうした第二波の流行がはじまる直前の時期にあたる8月ごろに強毒性のウイルスへと変異したことによって、
スペイン風邪は、通常の季節性のインフルエンザの10倍~30倍にも相当する2.5%~3%という高い致死率によって世界各地で猛威を振るっていくことになり、
ヨーロッパやアジアなどを中心とする世界全体へと感染を拡大していくなかで、数多くの人々の命を奪っていくことになっていったと考えられることになります。
そして、最後の波にあたる
第三波の流行は、1919年の3月~5月ごろまで続き、第二波の流行と比べると感染の規模はやや小さかったものの、第二波の流行と同じくらい致死率は高く、
こうした第三の流行の波は、中国や日本といったアジア地域を中心に感染を広げていくことになり、日本ではこうした1919年の春にはじまり散発的な流行としては秋頃まで続いていくことになった第三波の流行とその余波による死亡者が最も多かったと考えられることになります。
そして、そういった意味では、
こうした第一波と第二波と第三波という三つの流行の波によって構成されることになるスペイン風邪の世界的な流行は、年としては1918年~1919年の2年間におよぶことになるものの、
実際には、その開始から終息までの実質的な流行のピークは、1918年3月~1919年5月という1年2か月の期間に集中していたと考えられることになるのです。
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