神にも比肩する存在の高みへと昇る英雄ヘラクレスと神々の戦いギガントマキア、古代ギリシア神話の英雄ヘラクレスの物語⑫
前回書いたように、リュディアの女王オムパレーのもとに仕える三年間の奉公を終えて晴れて自由の身となったヘラクレスは、
ギリシアの各地から武勇に優れた戦士たちを募って自らを将とする最強の軍団をつくり上げると、ギリシア全土をめぐる進軍の旅へと赴いていくことになり、
トロイアやエリスやピュロスといったエーゲ海沿岸とペロポネソス半島の有力な都市国家を次々に制圧していくことによって、
ヘラクレスはギリシア全土の大部分の領域を支配するギリシア世界の盟主として君臨していくことになります。
女神ヘラによるヘラクレスへの最後の復讐とゼウスから与えられた罰
ところで、
こうしたヘラクレスの進軍の旅のさなかには、トロイアを攻略してからギリシア本土へと赴いていく船旅の途上おいて、
これまで長くヘラクレスのもとにつきまとっては狂気を吹き込むなど様々な邪魔立てを繰り返し行ってきた女神ヘラが再び現れることになります。
そして、
女神ヘラは、今度は、ヘラクレスの一行が乗っている船団へと向けて猛烈な嵐を送ることによってその行く手を阻もうとすることになるのですが、
天空からその様子を見ていたゼウスは、こうした女神ヘラの再三にわたるヘラクレスに対する執拗な仕打ちを見るに見かねて、ついに彼女のことを自らの手で罰することを決めることになり、
ゼウスは、彼女のことを縄で縛りあげると、天界であるオリュンポスから女神ヘラを吊し下げてしまうことによって彼女の行いを厳しく罰することになったため、
これに懲りた女神ヘラは、それ以降は、ヘラクレスにつきまとって彼の人生の邪魔をするのはやめることになるのです。
神々の戦いであるギガントマキアへの英雄ヘラクレスの参戦
また、
こうした英雄ヘラクレスによる地上における大いなる進軍の旅のさなかには、エーゲ海を渡る船旅を終えて、ギリシア本土での戦いへと赴いていく際に、
ヘラクレスは、そうした地上の世界におけるギリシア諸国の王たちとの戦いだけではなく、天上の世界における神々の戦いにも参戦していくことになります。
この当時、天界においては、
ゼウスを盟主とするオリュンポスの神々による天界の支配に異を唱えたすべての神々の母でもあった大地の女神ガイアが、
自分のもとに仕えているギガースと呼ばれる十二体の巨人たちを呼び出して天空の支配権をめぐる戦いを挑んでいくというギガントマキアと呼ばれる神々の戦いが繰り広げられていたのですが、
そうした大地の女神ガイアが率いるギガースと呼ばれる巨人たちと、ゼウスを盟主とするオリュンポスの神々の戦いであるギガントマキアにおいて、
ゼウスの息子でもあった半神半人の英雄であるヘラクレスは、オリュンポスの神々の陣営の側から参戦していくことになります。
そして、
この戦いにおいては、オリュンポスの神々の側から参戦したヘラクレスが、巨人をも凌ぐ怪力を発揮することによって、巨人たちを次々に打ち倒していくことになり、
そうしたヘラクレスの活躍もあって、こうしたギガントマキアと呼ばれる神々の戦いは、オリュンポスの神々の大勝利に終わることになるのですが、
このように、ヘラクレスは、
地上の世界での大進撃によってギリシア世界の盟主として君臨すると同時に、天上の世界においても神々の戦いであるギガントマキアにおいて、ゼウスたちを助けるという大活躍を見せていくことによって、
英雄ヘラクレスは、地上の世界だけではなく天上の世界においても比類なき偉大なる勇者として君臨していくという神にも比肩する存在へと至る高みにまで昇りつめていくことになっていったと考えられることになるのです。
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